お困りドラゴン夫婦。
「協力してほしい事ですか?」
「はい。最近、街の近くに、ある魔物が住み着いてしまっていて街の安全を脅かしているのです」
また魔物か。
この世界は物騒だな。
「討伐をしたいのですが、なにせ強力で倒せないのです」
「そんなに強力な魔物なのですか?」
「ええ、なにせ相手は、ドラゴンですから」
ド、ドラゴン!?
そんなものを俺に何とかしろというのか!?
「それで、賢者殿にどうにかしていただきたく、今日は来ました」
「ふふ、お任せください!賢者様ならそんなトカゲいちころです!」
ちょ!何言ってんだ!?この娘!?
俺にそんな化け物を相手しろって言うのか!?
無理無理!絶対無理!
俺は必死に手を振って拒否する。
「そうか……やはり賢者殿でもドラゴンは無理か……」
全力拒否が伝わったのか、ライラは肩を少し落とす。
悪いことしたかな?
でも、できないものは仕方ないしな。
「そんなことありません!賢者様は謙虚なだけです!」
「そ、そうなのか?全力で拒否してるように見えたが?」
「いいえ!あれは賢者様流のジョークです!」
また、何言ってるんだこの子は!?
やばい!この流れはやばい!
「賢者様ならいけます!ね?」
お、おお……
はい、頑張ります……
静かに俺はサムズアップする。
「おお!さすが賢者殿!」
そうして今は俺は馬車に揺られて移動中である。
「ど、どうですか賢者殿?」
「キュイキュイ!」
俺はライラの腕の中で抱かれていた。
程よい硬さと柔らかさがリリーとも違っていていい。
「ぐふっ!?」
ライラがまた鼻血を出す。
これで二回目である。
「ライラ様そろそろ交代ですよ?」
「そうか……」
次はリリーの腕の中に行く。
「ふふ、やはり賢者様は抱き心地は最高です」
満足げに笑っている。
そうして腕の中をリレー形式で行き来していると目的地に着いたのか馬車は止まる。
「ここです。賢者殿」
馬車を降りて少し離れたところに大きな古い塔があった。
壁はボロボロでツタが生えている。
いかにもな場所であった。
「ここにドラゴンがいるのですか?」
「はい。ここをドラゴンが巣にしているのです。街の住人はいつ何時、ドラゴンに襲われるか分からず怯えているのです」
ふむ、確かに街はすぐそこで危ないが……
別に巣ならほっておけばいいのでは?
「キュイキュ?」
「??」
あ、忘れてた。
リリー以外はわかんないんだった。
「賢者様は放っておいてもかまわないのでは?といっております」
「私も初めはそうしていたのだが……」
ドーン!
その言葉の途中で大きな爆発音が塔の中でする。
な、なんだ!?
「キュキュイ!?」
「ああ、あれはドラゴンの夫婦の喧嘩です」
「キュイ?」
喧嘩?
「ドラゴンは夫婦で喧嘩することがよくあるのですよ。賢者様」
世知辛いな。この世界。
つまりこちらにも被害が出かねないからどうにかしてほしいと言う事か。
「あれが街に及べは被害は甚大ですからね」
うむ、放っておけないか。
だが、言葉が通じない相手をどうすればいいのか。
やはり退治するしかないのか?
「いいえ、幸いドラゴンは知能が高くて人語も話せます。故に、おそらく賢者様の言葉も理解できるかと」
おお!それなら何とかなるかもな。
とりあえず話を伺うか。
俺はとてとて、歩いて大きな門をノックする。
「キュイーー!」
声をかけると中から声がする。
「ほら、あんたお客様よ!出てよ!」
「何でわしが…」
「いいから出るの!」
「ひ、ひいい。分かったわい」
すると大きな門が開く。
奥からはとてつもなく大きなドラゴンが出てくる。
「??、誰もいないのか?」
「キュイーーーー!」
下から声をかける。
「おお、そこにいたか。で、小さきものよ。なに用じゃ?」
俺は必死に鳴いて、事情を伝える。
「ふむ、なるほど」
おお、話が通じた!!
これならなんとか……
「だが断る!!」
「キュイ!?」
は?
なぜ?
「お主は勘違いしておるようじゃが、ドラゴンは誇り高き生き物じゃ、自分より弱い生き物の言う事など聞かぬのじゃ!」
め、めんどくせーー!!
「ふん、弱きものには分からぬことよ」
「キュキュイ?」
強ければいいのか?
「うん?おお、そうじゃな」
ならあれが効くかもしれない!
ここはいっちょやるか!
「キュイ!」
俺は魔物たちを追い払ったときのように気合を入れて鳴いてみる。
「ほお、なかなかの威圧じゃな?」
「キュイー!?」
効いてない!?
やばい!?こけおどしが効かないとどうすればいいのか。
「ふ、この程度かのう?」
くっ!?
こうなればあれをやるしかない!
覚悟を決める。
その足は震えていたのだった。
拝啓、父さん、母さん。
僕は元気でやっています。
ドラゴン?はは、なんてことないよ?
ほんとだよ?うん!嘘!
情緒が安定していない息子より。
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