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「待て! 盗賊共めーーーー!!」
背後から上がる衛兵たちの叫び。だが、俺の口角は吊り上がっていた。
俺の跨るこの馬は、異世界最速。誰にも追いつけるはずがない。
「はっはっはっはっはーーー!!!! 馬鹿共めがーーー!! 俺の世界最速の愛馬からは逃げ――」
俺は余裕たっぷりに後ろを振り返り、追っ手を嘲笑ってやった。
風が唸り、景色が猛烈なスピードで後ろへ流れていく。
だが、俺は一つだけ忘れていた。
このスピードで森を駆け抜けるなら、「前」を向いていなければならないという基本中の基本を。
「お――」
バキィッ!!!! グッッッッチャ!!!!
馬の速度に、振り向きざまの遠心力が加わった。
突き出していた太い木の枝が、無防備な俺の顔面を真っ向から捉える。
衝撃は一瞬。
逃げる言葉すら発する間もなく、俺の首の骨は最速の加速に耐えきれず、粉々に砕け散った。
(完)




