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プロローグ

新小説『カイブツより』

「キミも、僕も、醜いカイブツなんだ」


 この言葉が、最近よく蘇る。


 親から、先生から、嫌いな生徒から、好きな子から言われた言葉ではない。オレの最初で最後の親友から発せられた、訳の分からない言葉。


 文面だけ見ればとんでもない悪口と自虐のように聞こえるが、聞いた張本人の意見ではとてもそうは感じられない。むしろ世界の窮屈さに辟易しているような雰囲気と、そこに生きる自分たちの生きづらさを合理させようとしているみたいだった。


 その時の親友の顔はどこか諦観したような、それでも希望を失わないように抗いているような、とにかく月夜が似合う表情だった。


 ここ数年忘れていたが、ある事件をきっかけに思い出した。

 SNSで出回っている自殺教唆の動画事件。動画に映っている青年が『サヨナラ』と言い放ったあと、ゆっくりと首を吊る。そのまま一〇分間なにもなく動画が終わる。


 影響された老若男女が同じように首を吊った。飛び込んだ。手首を切った。要するに、日本人の自殺者数が、一本の動画がきっかけで例年以上に多くなっている。


 そして、その動画に映る人物こそが、オレの親友だった。


 清水一人(しみずひとり)


 お前は、なぜ死んだんだ。そしてなぜ、こんなことになったんだ。

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