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共通テストで便意に襲われた話

 二科目ある数学のうち得意な方が1Aで、多少失敗したところで七割前後取れるとたかを括っていた。

 数学1Aは過去問とか、安定してたから。



 解答用紙に名前を書いて、数学1Aを選択する。


 それなりに待つ時間がありつつも、数学1Aの試験は始まった。 


 得意な教科の得意な方の科目なので、意気揚々とページを捲る。目に飛び込むのは、数学というより読解に近い問題だ。



 もちろん、カクヨムに入り浸るような人間なので文を読むのは大得意。そのはずだが……。

 

 下半身の活火山が煮えたぎる。


 その時点で意識はもはや問題に向いていない。ケツ、ケツのことしか考えていなかった。便意である。

 

 第一問、いわば読解小問集合といえるような問題相手に、そんな状態で太刀打ちできるはずもない。


 便意の波が引いた隙に解く。そして、便意の波が戻ってきたところで、目が問題用紙の上を滑っていった。

 そのまま戻ることもなく、第一問のうち最後の二つの問題は未回答となった。


 第二問も、第一問と似た構成の問題である。それはつまり、第一問と同じような目に遭ったということであった。



 後半は終わりだ。便意との戦いで消耗した時間と思考力には、図形をこねくり回す第三問と、単純計算を重ねる第四問は荷が重かった。



 その時の自分には荷が重かったとしかいえない。ここらの問題のことは何も覚えていないんだ。

 ただ、第三問を飛ばしてやってきた第四問の最中で、手が止まったことだけは覚えている。


 それらしい数字で塗りつぶしてやろうと浅知恵を画策したところで、試験は終了した。


 試験が終わってすぐにお手洗いに駆け込んで、踏ん張りながら頭を抱えて焦燥した。


 もしもこの世に神がいて、私がその神によって《《これ以上ないほどに祝福されていた》》とすれば、60点を取ることができる。

 そんな体感だった。


 そしてこれは自己採点のおかげでわかったことだが、私は祝福などされていなかった。




 共通テストの次の日。中途半端に時間が空いてしまい、何となくSNSで話題の「ベルばら」問題が気になって、授業を受けたこともない世界史を解いた。

 男子高校生らしい、勉強めいた冗談である。


 もちろんその点数は芳しいものではなかった。勉強したことなど一度もないから。


 数学1Aの点数は、その世界史よりも低かった。

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