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もしこれから起こる不運をあらかじめ知っていれば、誰もが回避を選ぶだろう。

だが残念なことに、俺の回避手段そのものに問題があり、その結果として、今の俺は完全に行き場を失っている。


体育館の片隅にしゃがみ込み、朝読が終わるチャイムが鳴るのを待ってから教室へ走って戻るつもりでいる。

遅刻を確定させたくない、という情けない理由でだ。

出勤したばかりかもしれない体育教師の姿を警戒しつつ、校舎に取り付けられた、ずっと動いたことのない大時計の針が、ほんのわずかでも進んでくれないかと期待して見上げていた。

もっとも、あの時計が果たしている役割は、結局のところ「それっぽい顔で時間を主張すること」だけなのだが。


脳内の時針を、今朝へと巻き戻す。

もしあのバカが、朝になっても玄関先でインターホンを押すだけで終わらせなければ。

まだ夢の中にいる俺は、固く閉ざされた寝室のドア一枚によって完全に現実世界から隔離されているというのに。

予備の鍵の場所まで教えておいたはずなのに、それでも使わなかったのは、ほんのわずかな矜持のためか?


……いや、待て。

そもそも、その道徳基準は本当にこの犯罪者に適用できるのか?


中学時代、試験対策のために試験問題を盗み、深夜に警備室へ忍び込んで鍵を盗む前には、わざわざベランダを飛び越えて俺を叩き起こしに来た女だ。

頭に忌々しいストッキングを被った強盗が、月明かりを反射して銀色に光る凶器を胸元に下げて立っているのを見た瞬間、俺は本気で「ついに我が家も侵入されたか」と思った。――本気で、だ。

これだけの手段を持っていながら、どうして一度も正道に使おうとしないのか。


……話を本題に戻そう。


放課後、俺は自分が遊んでいるゲームで、ちょうどクリスマスイベントが開催されているのを目にした。

なぜか「クリスマスイベント」という名前なのに、実際のクリスマスよりも丸々二週間も早い。

世の中には、常識では理解できないことがあまりにも多い。


たとえば、そもそもクリスマスというものが、多くの人にとっては単なる負担、あるいはごく普通の一日でしかないにもかかわらず、なぜこれほどまでに万人に持ち上げられるのか。

宗教的な理由だとしたら、日本が該当するはずもない。

単に雰囲気に流されているだけなのか、それとも資本主義の陰謀で、もともと薄っぺらい俺たち青少年の財布を、さらに搾り取ろうとしているのか。

この程度の金額が主因だとも思えない。

見た目の華やかさを気にする大学生たちのためか?

それとも、祝日でなければ不倫相手と縁を切るきっかけを作れない社会人のためか?

万事には理由がある。


たとえば今、俺がダチョウのように頭を低く垂れ、大きく息をすることすら控え、音が二棟先、三階にある二年生教室にいる抗いがたい教師の耳に届かないよう祈っている理由も、すべてそうだ。


要するに、ゲームイベントのせいで夜更かしをし、夜更かしをしたせいで起きられず、日本中にいる多くの青少年と同じように、俺はその重責を信頼している幼なじみに預けることにした。

芽生え始めた恋心のせいで生じた、ほんのわずかな距離を埋める意味も込めて、彼女に起こしてもらおうと考えたのだ。


……何?

普通の青少年なら、この時点で裏切らない機械装置に責任を預けるだろうって?

確かに、それは良い提案だ。今後は前向きに検討しようと思う。

ただし、今日でも昨日でもない。


というのも、俺はまったく理解していなかったのだ。

両親は不在で、彼女は鍵を持っている。

この状況で、なぜ直接俺の家に押し入り、手で体を揺すって俺を起こし、「バカ」と二、三回罵り、最後に毎朝欠かさず持ってきている弁当箱を、照れた顔で俺の手に押し付けてくれないのか。

そんなの夢の話だ、現実ではありえないって言うのか?

だが、目の前にいる彼女を見ていると、オウムガイで三千日三千夜潜航し、神秘な幼なじみの生態を日夜調査しているこの俺が、どんな期待を抱いたっていいじゃないか――そんな気にさえなってしまう。

……しかし、この人は。

……まあいい。今は彼女のことを「ミミック」と呼ぶことにしている。

いつも通り、その外見で周囲の全員を欺く存在だ。

長年一緒に過ごしてきたにもかかわらず、いまだに現実離れした期待を抱いている俺自身も、その例外ではない。


ついでに言っておくと、ミミックの両親は、俺の両親と同じく出張中だ。

さらに彼女は普段ほとんどコンビニに行かないし、料理もまったくできない。

つまり今朝は、十中八九、空の弁当箱を背負ったまま学校へ向かったはずだ。


そのことに気づいた俺は、すでに一時間目が半分過ぎた時間に起きたという最悪の状況の中で、八百メートルを全力疾走し、彼女の極端な偏食でも文句を言わずに済む、周囲で唯一の弁当屋へ駆け込んだ。

(なお、「嫌がる」という行為は、箸でおかずを原形がなくなるまで突き崩すことで表現される)


その後、百メートル走の勢いで、本来なら路線上で一駅分に相当する距離の駅へと突っ込んだ。


今の俺は、リュックを背負い、腕の中に二つの弁当を抱え、黒く、人目につかない――いや、どうか人目につきませんように――そんな学校の端っこで身を縮め、一秒一秒、チャイムが鳴るのを祈っている。

うつむいて地面を見つめていた、何秒だったのか、何分だったのかも分からない時間の後、ようやく電子音の授業終了チャイムが鳴り響いた。


役に立たない機械時計の正体は、実のところ校内放送室と接続されているだけで、巨大な文字盤は単なる外観用の装飾にすぎない。

表面だけを見ている人間なら、この一切ノイズのない鐘の音が、機械の衝突や打撃によるものだと思うかもしれないが、実際には、インターネット上の無料素材がスピーカーを通じて各教室へ流されているだけだ。


それでも、出どころや成り立ちなどどうでもいい。

将軍の集結号はすでに吹き鳴らされた。

いよいよ、丸一晩ぶりの教室へと向かう、長く苦しい遠征の始まりだ。


後ろの扉を開け、灰色の存在感を漂わせながら、壁に食い込むように設置された最後列の自席へと、こそこそと滑り込む。

この席は、二年生になってから手に入れた、俺にとって最大の収穫だった。

誰かが一日中放ってくる副作用を浴びるくらいなら、長年の歳月に傷つけられた石灰の壁に触れている方が、よほど俺の精神には優しい。


今日も、そこに一本、記録を刻む。

これで、月子の今月の「犯罪記録」は、すでに十二回目に到達した。

今日は十二月十五日。

一日に二本刻まれる日が来る可能性も、十分にある。

これはすべて、俺の気分が高揚した証だ。

もちろん、ドキドキするような日常など存在しない。

だが、怒りで頭が沸騰する日常の比率は、実に百パーセント。喜ばしい限りだ。


平然と、カバンから一日分に必要な教科書を取り出し、後ろの机の上へと積み上げる。

さきほど少し触れたが、まだきちんと説明していなかった。


俺が誇りに思っているこの席は、消火栓の配置の都合なのか、それとも階段脇にある最初の教室という立地の問題なのか、教室の後ろ扉のすぐ横が、室内に向かって一段分、妙に凹んでいる。

そして、俺の机は、その凹地という名の難所に、生まれるべくして生まれた。

その結果、俺の右隣――つまり「空気席」が存在することになる。


その席は、ずっと空席のままで、誰も座らない。

なぜなら、正面には凹んだ壁があり、黒板がまったく見えないからだ。


だが、この席は実に優秀だった。

試験中、監督の先生からも、その「空気席」の存在は見えない。

なんて優れた環境だろう。

だから空気席は、試験のたびに、当然のようにスマホを取り出す。本当に、なんてお茶目なやつだ。

そして俺も、その恩恵にあずかることで、どうしても好きになれない科目であっても、最低限の合格点だけは確保できている。

ありがとう、空気席。


……話はここまでだ。


なぜか、机の上に、一気に影が落ちた。

空気席の主――いや、俺の想像上の同居人が、急に固まったようにも見える。

病気だろうか? それは大変だ。今すぐ保健室に連れて行かないといけない。

人助けに余念のない、善良なクラスメイト――それが俺だ。


いつも騒がしい教室も、まるで真空に放り込まれたかのように、一瞬で静まり返る。

そして、決して不快ではないはずなのに、今この瞬間だけは、やけに鋭く鼻を刺す香水の匂いが、俺の無意識の呼吸に紛れ込んできた。


少し表情を整えてから顔を上げよう――いや、やめておこう。

まずは昨日の宿題を出すべきだ。そう、宿題。

……あれ? ない。どこにもない。

絶対にカバンの中に入れたはずなのに。

この辺りに無いなら、あっちか? それとも、こっちか……?


「和也。」


若い女性の声だった。聞いただけで分かる。

身長はおそらく百七十一センチ前後、年齢は二十九歳。職業は英語教師――そんな属性を自然と連想させる声だ。

俺の名前を呼ぶその音程の変化からして、わざと引き延ばしている。

顔を上げられずにいる、哀れな男子生徒――つまり俺――を、意図的に威嚇しているように聞こえる。

もちろん、錯覚だ。錯覚であってほしい。


一度、呼吸を整え、表情を作ってから、ようやく顔を上げる。


「おはようございます。一時間目で、何か見落としてしまったことはありますか。Christie先生。」


できるだけ冷静な口調。三十度を意識した完璧な笑顔。

……まあ、目が細くなっているせいで、相手をあまり敬っていないように見えるかもしれないが、きっともう怒ってはいないはずだ。

完璧な交渉プランである。


「今日は居残りで掃除ね。」


――今のは、聞かなかったことにしよう。くそババア。


毎日きちんと起きて、学校へ行き、飯を食い、家に帰って、ゲームをする。

そんな規則正しい生活を送っている男子高校生の俺にとって、居残り掃除の宣告よりも、さらに精神を削ってくるものがあるとすれば――それは、朝、わざわざ遠回りして買ってきた弁当が、忌々しい幼なじみによって、今日も容赦なく箸で突き崩されることだ。


ごめん、えびせん……。本当にごめん。

今朝、「大根を入れるな」と念押しするのを忘れたせいで、お前は不慮の殉職を遂げた。

原形を失い、ぐちゃぐちゃに砕かれた残骸と、彼女の箸先に残った、かろうじて形を保っている二本の脚。

どうか安らかに眠ってくれ。


俺が持ってきた弁当を受け取った月子は、特に表情を変えることもなかった。いつも通りだ。

彼女は、一日に発する言葉が二十にも満たない。

それなのに、なぜか理解できない笑いのツボにだけ、やたらと無遠慮な音を立てて笑う。

たとえば、時間がなかったせいで、俺も彼女と同じ弁当を買ってしまい、その結果、俺のえびせんまでもが、彼女の標的になってしまった時。


……ごめん、えびせん二号。守れなかった。守るべきだったのに、俺は無力だった。


今日、彼女と正面から向き合って顔を合わせたのは、これが初めてだ。

休み時間にも席を立たず、ずっと机に向かってスマホを見ていたし、朝も、結局顔を合わせることができなかった。


目の前では、月子が楽しそうに無機物を虐待している。

横で揺れる、一本だけに束ねたポニーテール。それに合わせて、目と眉が、上下に忙しなく跳ねている。

その様子を眺めているうちに、俺の手が先に疲れてしまい、ようやく顔を上げた。


月子が、こちらを見ていた。

学校でしか見せない、化粧気のない、思春期の女子生徒らしい顔。

だが、ガラス玉のような瞳の奥には、どこか世俗から切り離されたような視線が宿っている。

初めて見た人なら、「空虚」だとか、「透明」だとか、そんな言葉を思い浮かべるかもしれない。

だが俺には分かる。あれは、午後のテストに一切手を付けていないせいで、ただ途方に暮れているだけの目だ。


ほら、少しの間俺を見つめて、俺が何も言わないと察した途端、すぐに視線を落として、

何事もなかったかのように蒸し野菜を箸でつまみ始めた。


顔を伏せたことで、別の角度から、彼女の頬を観察することができる。

俺たちは身長が近い。だから普段、俯瞰するような視点で話すことは、実はあまりない。

だが今なら見える。細く通った鼻梁の、独特なライン。

正面から見れば、ただ小ぶりで可愛らしい鼻なのに、横から見ると、鼻翼と鼻背がはっきりと分かれ、妙に造形的だ。

暖房がまだ入っていない冬の教室で、彼女の頬は、ほんのりと桃色に染まっている。

まるで丁寧に彫り込まれた彫刻のようだ。

月子は化粧ができない。……いや、しないほうがいい。

月子の周囲を飛び交う、いつもの笑い声や、俺たち二人をからかう声を、すべて無視できるのなら。

これはきっと、平凡で、そして幸福な日常なのだろう。

とりわけ、毎日欠かさず、「仲良し夫婦!」だの、「ラブラブ!」だのと、大声で囃し立ててくる男子――六代翼。

あいつの執念は、ある意味で、本当に大したものだ。


放課後を告げる電子チャイムが、いつもと同じように鳴り響いた。

クラスメイトたちは、これまたいつも通り、素早く鞄をまとめ、何事もなかったかのように教室を後にしていく。

掃除当番という不幸を背負わされた人間に、部活の賑やかな伴奏が用意されることはない。

しばらくしてゴミを捨てに行ったとき、可愛い美少女が困ったような顔でこちらを見る、そんな都合のいいイベントも起こらない。

あるのはただ、居残りの警備員のおじさんが、「早く捨ててこい」と急かす声だけだ。


校庭には、体育系の部活がいくつか残っている程度で、生徒たちの笑い声が空気を伝い、三階分の高さまで昇って、そのまま俺の耳に届いてくる。

授業が終わっても家に帰らず、部活にも所属していないのに、毎日のようにバスケットボールだけはやっている連中。

正直、理解できない。それならいっそ部活に入ればいいだろう。

ほんのわずかな自由な空間のために、そこまで自己中心的な選択をするものなのか。

……もっとも、今この瞬間、すでに黄金色ではなく、紫がかった夕焼けの下で、階段を上り下りしながら二往復もしている俺自身が、

クラスと学校のために捧げているこの貢献と犠牲を思えば、他人のことを言えた立場ではないのだが。


ゴミ箱を提げて教室へ戻る途中、また由紀と鉢合わせた。

改めて、この人物を紹介しておこう。

ベージュ色のウールのセーターの上に、赤いジャケットを羽織り、下は黒のスカート。

芸術的センスは皆無で、そのくせ生徒をいたぶることが大好きな二十九歳。

早婚のせいで歪んだのか、あるいは早く子どもを産んだことで、鬱憤を無関係な生徒にぶつけているのかは知らないが、とにかく羅刹のような女だ。

だが、黒く真っ直ぐな髪を持つその頭部と、比較的引き締まった頬。

話すたびに浮かぶえくぼと、本人の性格とはまるで釣り合わない、やけに優しげな眼差し。

それらは、この「三十マイナス一歳」の女が放つものとは思えないほどの、妙な活力を感じさせる。


「もう帰るの?」

由紀が、わりと柔らかな調子で、俺の耳元に声を差し込んできた。

俺は軽く頷き、そのまま彼女の横をすり抜けようとする。


「だったら、上に行くなら、ついでに一つ取ってきてくれない?」


……人使いが荒すぎる。俺だって暇じゃない。

きっぱり断る言葉を用意しかけたが、ある一つのことを思い出し、結局そのまま引き返すことにした。


二階まで上がり、角を曲がって、第二校舎へと続く渡り廊下に入る。

「学校図書館」と書かれた札を見つけて中へ入り、カウンターにいる生徒と、互いに作り笑いを交わしながら、一応、周囲を見渡してみる。

……いない。

スマホを取り出して、一本電話を入れたくなったが、まだ学校の中だ。

それに、ほぼ毎日、家に帰る頃には隣の家の明かりが点いている。

今さらここで深く考えるのも馬鹿らしくなり、結局そのまま何もせずに引き返した。


教室へ戻り、見た目はそれほど大きくないショルダーバッグを手に取る。

だが中身は、何が入っているのか分からないが、両腕で抱えて運ぶのがちょうどいいほど、ずっしりと重い。

それを由紀に手渡して、ようやく今日一日の労働が終わった。


一階まで降りると、漂ってくる白い煙の正体など、考えるまでもない。

それでも一応、視線を向けて確認してから、俺は口を開いた。


「消せよ。……臭い。気持ち悪いんだ」


彼女は俺を一瞥しただけで、何も答えなかった。

そのまま近づいてきて、俺の手からバッグを奪い取り、踵を返して歩き去る。

途中、まだほとんど燃えきっていない煙草を地面に投げ捨てながら。

そして正門とは逆方向、学校の駐車場の方へと向かっていった。


……だから俺は、あの女が嫌いなんだ。


俺は彼女が通った道を辿り、地面に落ちた吸い殻を指でつまみ上げ、

誰にも見られないように、校内のゴミ箱を探してそっと捨てた。


家に帰ると、やはり隣の家には灯りが点いていた。

俺は自分の机に向かい、また一筆、記録を残す。

これで今月、彼女が俺と一緒に帰らなかったのは、十回目だ。


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