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(55)メリッサざまぁ、首輪のお仕置き地獄

 メリッサの悲鳴が王宮に響き渡る。彼女は必死に首輪に手をかけ、引っ張ったり捻じ曲げたりしていたが、まったく外れる気配がない。それどころか、首輪が徐々に彼女の肌に溶け込んでいくようだった。


「取れない......取れないわ!」


 彼女は混乱して周囲を見回した。目には純粋な恐怖が浮かんでいる。


「誰か......誰か助けて!」


 その瞬間、首輪から赤い光が放たれ、炎の魔力がメリッサの体を包み込んだ。彼女は痛みに顔を歪め、体を強張らせた。


「あっ......痛い!」


 メリッサの体が硬直し、首輪から伝わる魔力に彼女は身を震わせた。


「ケイン! ルーク! サイモン! 何ボサっと突っ立ってんの!? 助けなさい!」


 彼女は先ほどまで奴隷として扱っていた三人の若者たちに助けを求めた。三人は互いの顔を見合わせ、ケインが一歩前に出た。


「メリッサ様、あなたは覚えていらっしゃいますか?」彼の声は震えていた。「あなたは俺たちにも首輪をつけ、服従させていたことを」


「そ、そんなことより! 今は......」


 メリッサの言葉は、首輪の痛みに途切れた。


 ルークも前に出た。彼の繊細な顔には、悲しみと怒りが混ざっていた。


「一日中、あなたの気まぐれに付き合わされ......僕たちの気持ちなど一切考えずに命令ばかりして......」


「もう、誰か助けて!」


 サイモンも眼鏡を押し上げながら言った。「あなたは私たちを人間として見ていませんでした。首輪を付けた、ただのペットであり、道具として......。あなたは今、自分で作った首輪に囚われています。私たちが味わった屈辱を、今度はあなた自身が体験するのです」


 三人の目には涙が浮かんでいた。恨みと解放感が入り混じった複雑な表情だった。


「カトリーヌ! お願い、この首輪を......!」


 小さな悲鳴が漏れる。メイド長のカトリーヌも、複雑な表情で遠巻きに見ているだけだった。他のメイドたちも、女騎士たちも、同じような反応を示している。王宮の人々は全員、恐る恐るとメリッサの様子を見守るだけで、助けようとする者は一人もいなかった。


「みんな......どうして......!」


「どうして? まだわからないのですか?」カトリーヌが冷ややかな声で言った。「あなたの横暴に振り回されるのは、もうウンザリなんです! 今まで逆らわなかったのは、あなたの魔力が怖かったからです! 誰もあなたのことなんて本気で助けようと思いませんよ!」


 メリッサによって恐怖と服従を強いられてきた王宮の人々。彼女が困っているのを見て、密かに喜んでいる者さえいるに違いない。


「痛い......! 熱い......!」


 メリッサの全身からは汗が噴き出し始めた。首輪の魔力が彼女を苦しめ、抵抗すればするほど、それを抑え込むように苦痛が増していく。彼女の魔法少女の衣装が炎の影響で焦げ始めた。もともとエレノアの攻撃でボロボロだった衣装は、さらに崩壊していく。


「こんなの......耐えられない......!」


 メリッサの体が震え、汗が滴り落ち、石畳の上に小さな水たまりができ始める。まるで"おもらし"の跡のように……。エレノアを"おもらし姫"と呼んで蔑んできた彼女にとって、最大の屈辱だった。彼女の赤い瞳は恐怖で見開かれ、顔は苦痛で歪んでいた。


「アポロナイト様! お願い......助けて!」


 今度は俺に助けを求めてきた。


「あなたなら、この首輪を壊せるはず! さっきグローゾの首輪を破壊したように......!」


 俺は蒼光剣を握りしめながら、冷静に状況を分析した。


「いや、無理だな」俺は静かに言った。「その首輪を破壊すれば、お前ごと消滅させてしまう。さっきのグローゾがそうだったように」


「そんな......!」


 メリッサの顔から血の気が引いた。彼女の首輪からは、突然、炎の細い光線が何本も伸び始めた。それらは意思を持つように動き、メリッサの肌の上を這い回る。


「やめて......! 痛い......!」


 光線は彼女の体を焼きつけるように痛みを与え続ける。彼女の魔法少女の衣装はどんどんボロボロになり、肌が露わになっていく。その姿は、王宮の高貴な魔法少女としては、あるまじき醜態だった。


 彼女の顔は恥辱と屈辱で真っ赤に染まっていた。リリアは悲痛な表情で目を逸らし、ミュウは猫耳を震わせながら見つめていた。


「うっ......くぅっ......」


 メリッサは必死に声を抑えようとするが、痛みに耐えきれず、ついに石畳の上に膝をついた。


 エレノアが冷静に分析した。「あの首輪は凶暴な魔獣を従わせるためのもの。抵抗すればするほど、首輪の魔力が強まるのね」


「そのようだな」俺も状況を理解し始めた。「あの魔獣、グローゾもこうやって力を抑えられていたのか。炎の魔力で痛めつけ、抵抗する気力を奪い、服従させる......」


「何冷静に分析してるの! エレノア! アンタ許さないわよ! こんな姿を......!」


 メリッサは膝をついたまま、必死に抵抗したが、その抵抗が光線をさらに活性化させる。光線は彼女の衣装を焼き、彼女を苦しめ続ける。


「見ないで......! 見ないでよ......!」


 彼女の叫びにもかかわらず、王宮の人々は彼女の姿を凝視していた。長年抑圧されてきた恨みが、この光景に救いを見出しているようだった。


「こ、これは......」


 ミュウが顔を赤らめて目を逸らした。その純白の猫耳がバタバタと恥ずかしさで動いている。


「あちゃー......。自業自得だね」リリアも目を細めて言った。


「痛い......! やめて......!」


 光線がさらに激しく動き、彼女は痛みに耐えきれず、前のめりになった。額を石畳につけ、震え続ける。完全に屈服した姿は、王宮の魔法少女としての威厳など微塵もなかった。


「アポロナイト様......見ないで......! お願い......見ないで......!」


 メリッサの懇願する声が王宮に響く。彼女の目からは涙が流れ落ち、その表情には屈辱と痛みが入り混じっていた。首輪の魔力が彼女の意志を徐々に侵食し、彼女を従順にさせていく。


「ルーク......ケイン......サイモン......ごめん......なさい......!」


 彼女は奴隷たちに謝罪の言葉を口にするが、もはや遅すぎた。


「思い知りなさい」エレノアが冷たく言い放った。「人を蔑んできた報いよ」

本日は連載開始1カ月を記念して、1日に複数話、投稿中! 最後までお付き合いください。

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