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【完結】特撮ヒーローの中の人、魔法少女の師匠になる【PC推奨高画質画像650枚以上公開・随時更新中】  作者: 久遠琥珀
第1章 異世界転移篇

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(3)魔法少女VS変態ヒーローのバトル★

 特撮ヒーロー同士、魔法少女同士の作品の枠を越えたクロスオーバーは数多くある。『蒼光剣アポロナイト』も、同じ映画会社の他の特撮ヒーローと共演したことがある。だが、特撮ヒーローと魔法少女の世界の融合なんて、聞いたことがない。そんな荒唐無稽な状況に、俺は今まさに直面していた。


「悪しき魔獣さん! ボクが浄化してあげる!」


 少女は杖を振りかざし、宙に跳びながら宣言した。その眼差しは俺自身に向けられている。


 跳躍の瞬間、短いピンクのミニスカートが大きく翻り、純白のフリルがちらりと覗いた。しかし少女——リリアは全く意に介さず、屈託のない笑顔で杖を振り回している。十五歳という年齢に相応しい無邪気さと、危険な魔力を併せ持つその姿に、俺は困惑を覚えていた。


「待て。俺は魔獣じゃない。ヒーローだ」


 一歩後ずさり、両手を上げた。いつもの演出通りなら、アポロナイトのスーツのカッコ良さを目の当たりにすれば、誰もがヒーローだと認識するはずだが、この少女の目には別のものが映っているらしい。


「知らないもん! 見たこともない変な魔獣さん!」少女は杖を小さな手で握り締め、挑発的な笑みを浮かべた。「白い鎧に青い模様……なかなか洒落た魔獣だね。でも残念、ボクの魔力はあなたみたいな魔獣にはとっても効くんだよ」


 なんという皮肉なものだ。現実世界では正義のヒーローを演じていたのに、この世界では悪者扱いとは。


「あなたの穢れた魔力なんかに負けないよ!」


「これは魔力じゃない。超科学の力だ」俺は胸の紋章に手を当てた。


「うるさいなぁ。魔獣さんは黙って浄化されればいいの!」少女は片手を腰に当て、杖を軽く回転させた。その動作で、細い腰から広がるフレアスカートが弧を描いて舞い上がる。「ボクの魔力は聖なる力なんだから、あなたみたいな変態な魔獣なんてすぐにやっつけちゃうんだから!」


「変態……?」


 ——このド変態ヒーロー。


 明日香に言われた屈辱のセリフが蘇る。この魔法少女まで、俺を変態呼ばわりか? それもよりによってアポロナイトの姿の俺を……。


 魔法少女は容赦なく杖から魔法の光線を放った。


挿絵(By みてみん)


「いいか、俺は敵じゃない。話を聞いてくれ」


 華麗なステップで光線を回避しながら、俺は淡々と説明を試みる。スーツアクターとしての経験が、この場面でも活きていた。


「聖なる光の守護者・リリアの魔法を避けられるなんて……やっぱり只者じゃないね!」少女——リリアと名乗った彼女は一瞬驚いたが、すぐに意味ありげな笑みを浮かべた。「あなた、ボクを襲おうとしてるんでしょ? それとも……ボクの純潔を奪おうとしてる?」


 純潔を奪う? この少女は何を言っているんだ?


「もう一度言う。俺はヒーローだ。お前と同じ側に立つ者だ」威圧感を減らそうと蒼光剣を下げた。


 その時、背後から冷たい声が響いた。


「リリア、下がりなさい。この相手は私が引き受ける」


 振り返ると、そこには別の魔法少女が立っていた。彼女は小高い岩の上から、まるで舞台の上の女王のように俺を見下ろしている。


 氷のように透き通った銀青色の長い髪に切れ長の氷のような青い瞳。身長は170cmほどで、スラリとした長身に引き締まった体躯。黒と青を基調とした魔法少女衣装は、肩を露出したレオタードスタイルで、腰からはシースルーの透明なスカートが風に揺れていた。


 そのスカートの内側には、ぎりぎり下着が見えるか見えないかの超ショート丈のブルーのミニスカートを履いている。風が吹くたびに、透けるスカートの下のブルーのミニスカートに包まれた太腿の曲線がくっきりと浮かび上がり、その下には純白の下着が肌に密着している様子がかすかに見えた。


 まるで美しい氷の彫刻のようなその佇まいに、俺は一瞬見惚れた。朝倉明日香も美しかったが、この少女の凛とした美しさは、それをも凌駕する。しかし、その美貌の奥に宿る冷徹な意志を感じ取り、俺の心は警戒を強めた。


挿絵(By みてみん)


「お姉様! この魔獣、とっても強いの! ボクの魔法が効かないの!」


 リリアが駆け寄り、姉の後ろに隠れるように立った。姉妹というわけか。


「我々聖なる魔法の守護者が知らぬ力を持つ者……」銀髪の少女は冷ややかに言った。彼女の周囲には細かな氷の結晶が舞い、その姿をより神秘的に演出していた。「あなたは何者? 新種の魔獣ね。これまで見たこともない姿だわ」


 明らかな敵意と軽蔑を含んだ銀髪の少女の問いに、俺は蒼光剣を収めた。ヒーローとしてお決まりのアレを披露すれば、彼女たちも俺をヒーローと認識するだろう。


 一歩前に出て、これまで何百回と演じてきた決めポーズを取った。右膝を少し曲げ、左手を腰に当て、右手を天に向けて突き出す。声も特撮で使っていた低く力強いトーンに変えた。


「星々の導きも、太陽の加護も、この一太刀に宿る!——蒼光剣アポロナイト!」


 名乗りとポーズを完璧に決めた俺は、そのまま動かずに二人の反応を待った。通常なら敵が驚き、怯む場面だ。


 しかし——


 シーンと静まり返った森の中、銀髪の少女とリリアは首を傾げ、キョトンとしていた。


挿絵(By みてみん)


「お姉様、この魔獣、何してるの?」リリアが小声で姉に尋ねた。


「さ、さあ……」銀髪の少女も困惑気味に答え、わずかに眉を寄せた。


 俺は思わず正気に戻り、ポーズを解いた。「今、名乗りとポーズを決めたんだが」


「ポーズ?」二人が同時に首を傾げる。


「そうだ。ヒーローの名乗りポーズだ。もう一度やろうか?」


 俺は再び同じポーズと名乗りを繰り返そうとする。が、銀髪の少女がチラリとリリアに目配せするのが見えた。


「隙あり!」


 突然、彼女が俺に向かって氷の矢を放った。リリアも花びらの魔法を放つ。


「うわっ!」慌てて横転して回避した。立ち上がりながら叫ぶ。「おい、待て待て! 名乗りの途中で攻撃するなんて反則だろ!」


「反則?」銀髪の少女が眉をひそめた。「戦いに反則などないわ。敵が隙を見せたら攻撃するのは当然でしょう?」


「そうだよ!」リリアが元気よく言い、軽くスキップしながら姉の横に並んだ。スキップの度に、彼女のスカートが揺れて白い太腿が覗く。「ボクたちはね、純潔を守るために戦ってるの。だからこそ、隙を見せたらダメなの」彼女は意地悪そうな笑みを浮かべた。「まさか……あなた、そのポーズでボクたちの目を釘付けにして、襲おうとしたの? ホント、男の魔獣って下心ばっかり」


 俺は混乱を覚えた。「そうじゃない!」両手を振りながら説明を試みた。「ヒーローや魔法少女には、名乗りを上げてポーズを決めるのが定番なんだ!」


 二人はますます混乱した表情になった。


 俺は冷静になろうと深呼吸した。「そもそも、お前たちは変身ポーズはないのか?」


「変身……ポーズ?」


「そうだ! 魔法少女に変身するときの、カッコいいポーズだよ!」


 銀髪の少女は明らかに軽蔑の眼差しを向け、杖を軽く振った。「変身は魔力を込めるだけよ。星の祝福を受けた私たちに、そんな卑猥なポーズは必要ないわ」


「卑猥?」俺は驚いた。「いや、変身ポーズは卑猥なものじゃない。ファンを魅了するカッコ良いものなんだ!」


「ふーん」リリアが不敵な笑みを浮かべた。「あなた、女の子がポーズをとるところを見て興奮するタイプなの? ホント、下心しかないのね」


挿絵(By みてみん)


 俺はまたしても明日香の言葉を思い出した。


 ――ねえ、現場で私の下着を見て、どう思ってたの? いつも真面目腐った顔してるくせに……本当はムラムラしてたんでしょ? 男なんて、みんなそうよ。


 違う。そんなつもりはなかった。今だってそうだ。


 しかし、彼女たちの反応から、この世界の「魔法姫」は、俺の知る特撮やアニメの世界観とは根本的に異なると理解した。そして、彼女たちは男性に対して強い不信感と敵意を持っている。


「私はエレノア・フロストヘイヴン。この子は妹のリリア・フロストヘイヴン。星輝王国フロストヘイヴン家の魔法姫よ」


 銀髪の少女——エレノアがようやく名乗った。その名を告げる姿勢は完璧だった。背筋をピンと伸ばし、顎を僅かに上げ、杖を胸の前で構える。高貴なる魔法姫という立ち居振る舞いだ。


「フロストヘイヴン家?」俺は驚きを隠せなかった。「お前たち王族なのか?」


「ええ、言うまでもないことだけど」エレノアは冷ややかに答えた。「魔法姫は王族の血筋を持つ者だけが選ばれるの。私たちは王女なのよ」


「王女……だと?」俺は驚愕した。現実世界の朝倉明日香も高飛車だったが、彼女は単なる芸能人に過ぎない。目の前にいるのは本物の王族だった。


 エレノアは杖を構え直すと、その美しい顔に険しい表情を浮かべた。


「あなたのような理解不能な存在こそ、私たちの世界にとって最大の脅威よ」


挿絵(By みてみん)


 その瞬間、エレノアが動いた。


 氷の魔法が炸裂する。しかし彼女の攻撃は感情的で、狙いが定まっていない。俺の足元に氷柱が突き上がったが、その軌道は予想しやすく、左右から迫る氷の刃も動きが単調だった。俺は軽やかに跳躍し、回転しながら全ての攻撃を回避する。


 武術家としての俺には、彼女の攻撃パターンが手に取るように分かる。力はあるが、実戦経験が不足している。感情に任せて魔法を放っているだけだ。


「やはり只者ではないわね」エレノアが冷静に分析しながら、今度は空中に無数の氷の矢を生成した。


 矢の雨が降り注ぐ。しかし、これも散漫だ。俺は地面を転がる必要もなく、最小限の動きで一本一本を躱していく。彼女の攻撃は威力があるが、精密性に欠けている。


 俺は内心で分析していた。この程度なら、本気を出せば一瞬で決着をつけられる。しかし、それでは話し合いの機会を失ってしまう。


 エレノアは宙に舞い上がると、シースルーのスカートが風に舞った。


 巨大な氷の槍が俺めがけて飛来する。しかし、その軌道は直線的で読みやすい。俺は横に一歩移動するだけで回避した。槍は地面に突き刺さり、そこから氷の棘が放射状に広がったが、俺はすでにその範囲外にいた。


 このままでは埒が明かない。


「俺は戦いたくない!」俺は叫びながら攻撃を避け続けた。


「戦いたくない?」エレノアが一瞬攻撃の手を止める。「それこそが魔獣の狡猾さよ。油断を誘って隙をつくつもりでしょう」


 彼女は再び攻撃を開始した。今度は氷の刃を連続で放ちながら、自らも杖を手に接近戦を仕掛けてくる。


 エレノアの杖術は見た目こそ美しいが、やはり荒削りだった。長い手足を活かした流麗な動きで、杖を槍のように突き、薙刀のように振り回すが、その攻撃は直線的で、フェイントに乏しい。俺は最小限の動きで全てを見切っていた。


 杖の先端が俺の胸を狙う。俺は僅かに身体を逸らして避ける。今度は足払いが飛んでくるが、これも予想通りだ。エレノアの長い脚が弧を描いて俺の足元を掃うが、俺は軽く跳躍して回避した。その美しい脚線美に見惚れる余裕さえあった。


 俺は忍耐強く、彼女の攻撃を受け流し続けた。


「まだまだ!」


 エレノアは感情的になって杖を振り上げる。俺の頭上から振り下ろされる一撃を、俺は片手で軽く受け止めた。


 ガキン!


 金属音が響く。エレノアは全力で攻撃したつもりだろうが、俺にとってはさほど重い一撃ではない。


「なかなかやるじゃない」エレノアが僅かに笑みを浮かべた。「でも——」


 彼女は今度は蹴り技に転じた。右足を高く振り上げ、俺の顔面めがけてハイキックを放つ。その動きは大振りで、予備動作が長すぎる。


挿絵(By みてみん)


 その瞬間、エレノアのスカートが大きく舞い上がった。透明なスカートの下のブルーのミニスカートが翻り、その下の純白の下着が完全に露わになる。シルクのような滑らかな生地が彼女の肌にぴったりと密着し、その形をくっきりと浮かび上がらせていた。しかし彼女は全く気にしていない。純粋に敵を倒すことだけを考えている。


 俺は余裕で身体を後ろに逸らしてキックを避けた。エレノアの足が俺の鼻先をかすめていく。


「お姉様、カッコいい!」リリアが手を叩いて喜んでいる。


 エレノアは着地すると、今度は左足で回し蹴りを放った。この攻撃も直線的で読みやすい。俺は軽く腕で受け流すだけで済んだ。


「次はこれよ!」


 エレノアは跳躍すると、空中で回転しながら連続蹴りを繰り出してくる。まるでバレエダンサーのような優雅な動きだが、実戦的ではない。


 彼女は着地すると、今度は至近距離から膝蹴りを放ってくる。俺は軽く横に移動して避けるが、エレノアは予想通り踵落としに転じた。


 俺の頭上から降り注ぐ蹴り。俺は咄嗟に腕を上げて受け止めたが、これは演技だった。本当なら簡単に避けられる攻撃だが、彼女に「やれている」という錯覚を与えるために、敢えて受けた。


 エレノアは俺を見下ろすと、最後の一撃として渾身のハイキックを放った。


 しかし、この攻撃も俺には完全に見えていた。エレノアの美しい脚が弧を描いて迫ってくる。


挿絵(By みてみん)


 俺は、武術家としての技量で、その蹴りを腕の甲で受け止めた。


 パシン!


 乾いた音が響く。エレノアの足と俺の腕が静止する。


 いや、正確には「受け止めた」のではなく、「受け止めてやった」のだ。本気なら、この程度の攻撃など触れることすらできない。


 緊張した空気が流れた。エレノアは片足を高く上げたまま、俺を見下ろしている。俺は膝をついたまま、彼女の蹴りを受け止めている。


 お互いに動けない状況。


「お姉様、油断しないで!」リリアが叫んだ。


 その声に、エレノアははっと我に返った。自分が今、男の前で大胆な格好をしていることに気づいたのだ。


 彼女の頬が僅かに赤くなる。慌てて足を下ろし、スカートを押さえながら後退した。


「……見たわね……」


 初めて見せた、少女らしい狼狽だった。


 俺は立ち上がりながら言った。「いや、俺は戦うことに集中していて——」


「嘘よ! 男はみんな下心しかないのよ!」エレノアが顔を真っ赤にして叫んだ。


 そして彼女は続けた。


「魔獣は私たち魔法姫の純潔を奪うことを目的としている。純潔を奪われれば、私たちの力は失われる……だからこそ、あなたのような男の姿をした魔獣は最も危険な存在なのよ」


 俺は動揺を覚えた。「純潔を奪う」——それが何を意味するのか、理解するのに時間はかからなかった。この世界は俺が想像した以上に歪んでいた。魔獣は魔法姫の力の源である純潔を狙い、魔法姫は男性を魔獣と同一視する。


 女神よ、お前は俺を一体どんな世界に放り込んだんだ? 特撮ヒーローの格好をした俺が、女性に恐れられ、魔獣と呼ばれる世界に。全てが否定される世界に。嘲笑っているのか、それとも試しているのか?


 俺は両手を上げて降参のポーズを取った。「わかった、わかったよ。すべて正直に話そう。俺は別の世界から来た。名前は神代武流。特撮ヒーロー『蒼光剣アポロナイト』のスーツアクターだった」


「特撮……ヒーロー?」


「スーツアクター?」


 二人の魔法姫姉妹は困惑する。その表情からは、彼女たちが全く理解していないことがわかる。


「俺はアポロナイトというヒーローを演じていたんだ。境界を司る女神によってこの世界に導かれた。女神は俺に力を与え、新たな世界で生きる機会をくれた」


「境界を司る女神?」エレノアの表情がわずかに変わった。「……スターフェリアの伝説の女神だわ」


「ええ!」リリアが目を丸くした。「異世界から来た光の勇者!?」


挿絵(By みてみん)


「ようやく話が通じてきたな」俺はホッとため息をついた。


「だとしても、それはあなたが味方だという証明にはならないわ」エレノアは冷ややかに言い、氷の槍を形成し始めた。「リリア、下がって」


「待て待て! 待ってくれ。まだ話は終わってないぞ!」


 俺の言葉は二人の魔法姫に届いているのか、届いていないのか……。


挿絵(By みてみん)

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