(180)魔法少女狩り[9]〜砕け散るルルの純情〜
クラリーチェがゆっくりと手を降ろし、身体をリラックスさせた。十七歳の美しい顔に、教師が生徒に配慮を示すような優しげな表情を浮かべている。
「小さなお嬢様、ルルと言ったか。おぬし、まだ十三歳であろう?」
クラリーチェの声に、これまでとは違う響きが宿った。まるで年上の姉が妹を気遣うような、慈愛に満ちた語調だった。
「わらわも、鬼ではない。歳下の相手に、大人げない深淵魔法を使うのは武人として恥ずべき行いじゃ」
クラリーチェが漆黒のローブの袖をまくり上げた。白く美しい腕が露わになり、その筋肉の美しいラインが舞台の照明に映える。続いて足元のローブの裾も持ち上げ、長く伸びた美脚をあらわにした。十七歳の少女らしい健康的な肉体美が、観客の視線を釘付けにする。
「よって、おぬしには特別に配慮してやる。魔法は一切使わず、この肉体だけで相手をしてやろう」
ルルの瞳が輝いた。疲労で朦朧としていた意識が、一瞬で覚醒する。
「本当!? 魔法を使わないなら……」
「そうじゃ。わらわは純粋な肉弾戦で決着をつけよう。これなら、小さなお嬢様にも勝機があるやもしれぬ」
クラリーチェが優雅に戦闘態勢を取った。十七歳の美しい身体を流麗に動かし、まるで舞踊家のような優美な構えを見せる。その姿は戦士というより、芸術作品のような美しさだった。
「やった! これならルルにも勝てる!」
ルルが一気に元気を取り戻し、ハイテンションで杖を構え直した。小さな身体が興奮で震えている。
「武流先生、見ててね! ルル、今度こそやっつけるから!」
ルルが俺に向かって元気よく手を振った。その笑顔には、勝利への確信が満ちている。しかし、俺の心には不安が募っていた。クラリーチェが魔法を封印したとはいえ、油断は禁物だ。彼女の肉体そのものが、既に常人の域を超えている。
「それでは、始めようか」
クラリーチェが軽やかに跳躍した。その動きは重力を無視したかのような優雅さで、まるでバレエダンサーが空中で舞っているようだった。
「えい!」
ルルが土の魔法で岩石を作り出し、クラリーチェに向けて投げつけた。しかし――
クラリーチェがくるりと回転しながら、その岩石を素手で粉砕した。まるでアクション女優のような華麗な動きで、ルルの攻撃を軽々と無効化してしまう。
「きゃー! そんなの反則よ!」
ルルが慌てて連続攻撃を仕掛けた。土の魔法で無数の小石を作り出し、機関銃のようにクラリーチェに向けて放つ。
「ふふっ、面白い攻撃じゃな」
クラリーチェが楽しそうに笑いながら、舞うような動きで小石をすべて回避した。時には回転しながら、時には側転しながら、まるで体操選手のような美しい動きを見せている。
「では、わらわからも挨拶をしよう」
クラリーチェが軽やかにルルに接近し、優雅な拳を繰り出した。その動きは武術というより芸術に近く、美しささえ感じられる攻撃だった。
「ソイルウォール!」
ルルが慌てて土の壁を生み出し、クラリーチェの攻撃を防ごうとする。厚さ一メートルはある頑丈な土の壁だったが――
ドガァン!
クラリーチェの拳が土の壁を一撃で粉砕した。まるで紙でできた壁を破るような簡単さで、ルルの必死の防御を打ち破ってしまう。
「嘘!? そんなに強いの!?」
ルルが驚愕の表情を浮かべた。魔法を使わないクラリーチェが、これほど強いとは思っていなかった。
「驚くことはない。わらわは百年以上生きておる。その間に身につけた武術の心得は、並の戦士など足元にも及ばぬレベルじゃ」
クラリーチェが自信に満ちた笑みを浮かべながら、今度は優美な回し蹴りを繰り出した。その足技は、まるでカンフー映画の主人公のような華麗さだった。
「きゃー!」
ルルが必死に回避しようとするが、彼女の反射神経では限界があった。クラリーチェの美しい足が、ルルの脇腹を打った。
「うあっ!」
その軽い一撃でも、ルルの小さな身体は大きく吹き飛ばされた。舞台の端まで転がっていき、舞台装置の残骸にぶつかって止まる。
「痛い……でも、まだ負けない!」
ルルが立ち上がりながら、さらに大きな土の壁を作り出した。今度は複数の壁を重ねて、より強固な防御を構築する。
「アースバリア・マルチプル!」
五重に重なった土の壁が、ルルを守るようにそびえ立った。これだけの防御なら、さすがのクラリーチェでも――
「なるほど、学習能力はあるようじゃな」
クラリーチェが感心したように頷いた。そして、ゆっくりと助走をつけ始める。
「じゃが、それでも甘い」
クラリーチェが勢いよく跳躍し、空中で美しく回転しながら連続蹴りを繰り出した。その足技は芸術的な美しさを持ちながら、破壊力は凄まじかった。
ドガガガガン!
五重の土の壁が、まるで連鎖爆発を起こしたかのように次々と破壊されていく。クラリーチェの華麗な足技の前に、ルルの必死の防御は無意味だった。
「そんな! ありえない!」
ルルの声が震えていた。これほどまでに力の差があるとは思っていなかった。魔法を封印したクラリーチェが、これほど強いなんて……
「調子に乗ったお嬢様には、お仕置きが必要じゃな」
クラリーチェが楽しそうに微笑みながら、最後の攻撃を準備した。空中で美しく回転し、究極の回し蹴りを繰り出す。
「これで終わりじゃ!」
その一撃は、まるで芸術作品のような美しさだった。十七歳の少女らしい美脚が、完璧な弧を描いてルルに向かう。
「ルル! 逃げろ!」
俺が蔦に拘束されたまま、必死に叫んだ。しかし、もう間に合わない。
「きゃああああ!」
クラリーチェの華麗な回し蹴りが、ルルの小さな身体を直撃した。
ルルは舞台を横切って勢いよく吹き飛ばされ、そして先ほど自分が魔法で生み出した土の壁の崩れた山に、頭から真っ直ぐ突っ込んだ。
ズボッ!
鈍い音と共に、ルルの上半身が土の山に完全に埋まってしまう。茶色とピンクの可愛らしいスカートを履いた下半身だけが、土の山から突き出している状態だった。
「うーうー」
土の中からくぐもった声が聞こえてくるが、ルルは完全に身動きが取れない。しかも、逆さまに埋まったせいで、重力の影響でスカートが捲れ上がり、白いフリル付きの下着が観客席から丸見えになってしまった。
「きゃー! 恥ずかしい! 見ないで!」
ルルの声が土の中から響くが、その屈辱的な格好は変わらない。可愛らしいピンクのリボンで装飾された両足が、恥ずかしげにもぞもぞと動いている。
「ほほう。なかなか愛らしい格好ではないか」
クラリーチェが満足そうに頷きながら、土の山に埋まったルルの前に立った。そして、十七歳の美しい顔に冷酷な笑みを浮かべる。
「小さなお嬢様、まだ意識があるようじゃな。それは結構。最後にもう一つ、特別なご褒美を与えてやろう」
クラリーチェが精神を集中し、右手を鋭い刃のような形に構えた。魔法は使わないと宣言したが、長年培った武術の極意により、素手でも十分な威力を発揮できるのだろう。
「武術奥義、天地崩壊手」
クラリーチェの美しい手が、電光石火の速度でルルの太腿の間、最も敏感な部分に振り下ろされた。
鋭い手刀が、ルルの足の付け根を的確に打った。魔法を使わない純粋な物理攻撃だったが、その威力は魔法以上だった。
「んああああああああ!」
土の中からルルの絶叫が響いた。その声は、これまで聞いたことがないほど甲高く、苦悶に満ちていた。可愛らしい両足が激しく痙攣し、まるで電気ショックを受けたかのように震え続ける。
「や、やめて……そこは……」
ルルの泣き声が土の中から聞こえてくるが、クラリーチェは容赦しなかった。
「小さなお嬢様——これが現実の厳しさじゃ。調子に乗った子供には、相応の罰が必要よ」
もう一度、クラリーチェの手刀が同じ部分に炸裂した。
「うあああああああ!」
今度はさらに激しい反応だった。ルルの両足が空中で激しくばたつき、下着が完全に露わになってしまう。可愛らしいフリルの奥に隠された箇所が、観客席から丸見えになってしまった。
「やめて……お願い……」
ルルの懇願する声が土の中から漏れてくるが、既に意識が朦朧としている。二度の強烈な衝撃で、彼女の精神は限界に達していた。
「これで勝負あり、じゃな」
クラリーチェが満足そうに手を払った。
その瞬間、ルルの両足が脱力し、だらしなく開いたまま垂れ下がった。可愛らしい下着を晒したまま、彼女はダウンしてしまったのだ。
「武流先生……ごめんなさい……ルル……やられちゃった……」
最後のか細いつぶやきと共に、土の山に埋まったルルは完全に静寂に包まれた。十三歳の天真爛漫な魔法少女は、クラリーチェによって完膚なきまでに打ちのめされてしまった。
俺は蔦に拘束されたまま、この屈辱的な光景を見せつけられるしかなかった。ルルが――あの元気いっぱいの彼女が、こんな無様な状態で――。
観客席からは、この光景すら演出の一部だと思い込んだ拍手と歓声が響いている。
「素晴らしい演技だ!」
「ルルちゃんの体当たり演技、感動的!」
「クラリーチェ様の勝利!」
彼らの無邪気な称賛が、俺の心をさらに絶望で満たしていく。ルルの屈辱も、仲間たちの無様な敗北も、すべてが観客たちにとってはエンターテイメントでしかなかった。
土の山に埋まったルルの両足が時折小刻みに震え、彼女がまだ生きていることを示している。しかし、その震えは明らかに屈辱と苦痛によるものだった。
「これで、また一匹片付いたな」
クラリーチェが冷酷に呟きながら、次の獲物を物色し始めた。
俺の心は怒りと絶望で満たされていた。このままでは、すべての魔法少女たちが――