(175)魔法少女狩り[4]〜魔法書で自滅するアイリーン〜
アイリーンは絶望感に打ちひしがれながらも、最後の気力を振り絞って反撃を試みた。
「まだ......まだ諦めません......! 第三章:最大攻撃術『アルカナ・デストラクション』発動......!」
魔法書から放たれた巨大な光の柱が、クラリーチェに向かって真っ直ぐ突進した。アイリーンが持つすべての知識、すべての理論を結集した究極の攻撃魔法だった。
しかし、クラリーチェは微笑みを浮かべたまま、片手でその攻撃を受け止めた。
「素晴らしい威力じゃ。じゃが――」
クラリーチェが手首を捻った瞬間、光の柱が完全に反転し、アイリーンに向かって跳ね返ってきた。
「そんな......私の最大攻撃が......」
自分自身の必殺技に呑み込まれたアイリーンは、激しい光に包まれて吹き飛ばされた。舞台上を転がりながら、ようやく光が収まった時――彼女の愛用の魔法書『グリモワール・アカデミア』に異変が起きていた。
「何......これ......」
魔法書が勝手に宙に浮上し、ページをばたつかせながら巨大化し始めたのだ。通常の手のひらサイズから、直径数メートルの巨大な円盤状に変貌していく。まるで生き物のように蠢く魔法書は、無数のページを翼のように羽ばたかせながら、アイリーンの頭上を旋回し始めた。
「やめて......お願い......」
アイリーンが震え声で懇願するが、巨大化した魔法書は彼女の制御を完全に離れていた。クラリーチェの深淵魔法によって操られ、主人であるアイリーンを攻撃対象として認識している。
突然、魔法書の分厚いページの一枚が、鞭のようにアイリーンを打った。
「きゃあっ!」
紙とは思えない衝撃でアイリーンの身体が空中に弾き上げられる。彼女がまだ落下の途中にいるうちに、今度は別のページが下から突き上げるように彼女を打ち上げた。
「うぁあああ!」
アイリーンの身体がさらに高く舞い上がる。まるでバレーボールのように、巨大な魔法書のページによって空中で弄ばれていた。落下しようとする度に、別のページが彼女を打ち上げ、空中での屈辱的な遊戯が延々と続く。
「うぅ!......くぅぅ!......あぁ!......」
五回、六回、七回――空中で弾かれる度に、アイリーンの制服はさらに乱れていった。スカートが捲れ上がり、ブラウスのボタンが外れ、乱れた髪が顔にかかって涙と混じり合う。
そして八回目――ついに魔法書のページがアイリーンを受け止めるのを止めた。
「あっ......」
重力に従って落下してきたアイリーンは、巨大化した魔法書の分厚い表紙の上に跨る形で着地した。
「んっ」
表紙の硬い角が彼女の太腿の間にめり込み、激しい衝撃が下腹部を襲う。
「......うぁああああ!」
アイリーンの顔が苦悶に歪んだ。両膝をガクガクと痙攣させながら、表紙に跨ったまま身体を震わせている。汗ばんだ太腿が舞台の照明を浴びて輝いている。知的で上品な生徒会長の顔は、耐え難い刺激で完全に理性を失っていた。
「や、やめ......こんなの......恥ずかし......んっ......」
魔法書の表紙が微妙に振動し、その度にアイリーンは小さく声を漏らして身体を震わせる。はだけたシャツの間から、反らした両胸が露わになって揺れている。観客席からは、この光景も演出の一部として拍手と歓声が送られており、彼女の屈辱はさらに深まっていった。
やがて、魔法書が突然元のサイズに戻り始めた。支えを失ったアイリーンは、舞台上に叩きつけられるように落下する。
「うっ......」
四つん這いの格好で舞台上に倒れ込んだアイリーンは、下腹部を両手で押さえながら小刻みに震えた。スカートは完全に捲れ上がり、下着が丸見えの状態だったが、彼女にはそれを隠す余裕もない。
「はぁ......はぁ......」
荒い息を吐きながら、屈辱的な格好で呻き続けるアイリーンの姿は、これまでの知的で上品な印象を完全に払拭していた。ただの無力な少女として、舞台上で醜態を晒している。
その時、クラリーチェがゆっくりと歩み寄ってきた。足元に転がっている通常サイズに戻った魔法書を拾い上げる。
「これがおぬしの相棒か。なかなか立派な魔法書じゃな」
クラリーチェが魔法書を手に取ると、四つん這いのアイリーンの背後に回り込んだ。そして、魔法書の表紙でアイリーンの後ろ側を軽く叩く。
「ひっ......」
アイリーンの身体がびくりと震えた。
パン、パン、パン――
クラリーチェは執拗に、リズミカルに魔法書でアイリーンの背後を叩き続けた。まるで教師が悪い生徒を叱る時のように、容赦ない体罰を与えている。
「や......やめて......お願い......」
「これが生徒会長の姿か? 情けないのう」
パン、パン、パン――
魔法書による打撃が続く度に、アイリーンは小さく悲鳴を上げて身体を震わせる。プライドも尊厳も完全に剥ぎ取られ、ただ許しを請うことしかできない。
「うぅ......許して......もう......」
意識が朦朧とし始めたアイリーンは、四つん這いの格好のまま腰を震わせて呻いていた。下着を突き出した無様な格好で、ただひたすら屈辱に耐えるしかない。
「つまらぬ」
クラリーチェが飽きたような声で呟くと、魔法書を地面に投げ捨てた。そして、四つん這いのアイリーンを足で蹴り飛ばす。
「きゃああああ!」
アイリーンの身体が宙を舞い、舞台装置として設置されていた巨大な本棚セットに激突した。本棚の隙間に後ろ向きで突っ込み、下半身だけが外に突き出した格好で動けなくなってしまう。
「う......うぅ......」
本棚の奥から聞こえる、か細い呻き声。アイリーンの下半身は力なく垂れ下がり、時折小刻みに震えるだけだった。魔法書で叩かれすぎたせいで、下着が完全に双丘の谷間に食い込んでしまっている。
「これが生徒会長の実力か。この程度の器で学園を統率しようなど、笑止千万よ」
クラリーチェが冷酷に言い放った。
「真のリーダーとは、どのような困難にも屈しない強さを持つ者のこと。おぬしのように、ちょっとした試練で這いつくばる軟弱者では、生徒たちを導くなど不可能じゃ。生徒会長失格じゃな」
本棚の奥から、アイリーンの微かな嗚咽が聞こえてくる。生徒会長として、魔法少女カフェの店長として積み重ねてきたすべての実績と誇りが、この瞬間に完全に粉砕されていた。
俺は蔦に拘束されたまま、この惨状を見せつけられるしかなかった。魔法少女たちが次々とクラリーチェの前に屈していく光景は、七歳の体に戻された俺には、あまりにも無力感を与えるものだった。
「アイリーン......」
俺の心に、深い怒りが込み上げてくる。しかし、この小さな体では何もできない。ただ、仲間たちが一人ずつ倒されていく様を見守るしかないのだ。
クラリーチェの魔法少女狩りは、まだ始まったばかりだった。