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(161)クラリーチェざまぁ、武流のおしおき返し

 俺の蒼光剣から、青白いエネルギーの鞭が意志を持った蛇のように伸びた。そのうちの二本が、クラリーチェの細い両腕を背後で絡め取り、身動きを完全に封じる。まるで生け捕りにされた獲物のように、宙に吊るされたクラリーチェの姿に、俺は冷たい視線を向けた。


「くっ! は、放せ……!」


 彼女の両手首は背後で固く縛られ、身をよじって抵抗しようとしても、鞭はまるで彼女の身体の一部であるかのようにぴくりとも動かない。その体勢は、彼女がこれまで築き上げてきた絶対的支配者としての威厳を、根元からへし折るには十分すぎた。


「放せと言われて、放すヤツはいない。良い眺めだな、クラリーチェ」


「……っ!」


 汗で濡れた顔に張り付いた髪が、僅かな光を反射して濡れた肌の艶やかさを際立たせる。その首筋からは、真珠のような汗が筋となって滴り落ちていた。クラリーチェは歯を食いしばり、必死に抵抗しようともがいていたが、エネルギーの鞭は彼女の力を容易に無効化し、ただ虚しく身体を揺らすだけだった。


「こ、こんなはずは……! なぜだ! なぜわらわは抵抗できない……!?」


「自分の状況も分析できないのか? お前はエレノアをいたぶるのに深淵魔法を使いすぎた。いくら最強のお前でも、無限に魔力を放出できるわけがない」


「まさか……それでらわざとずっと傍観しておったのか」


「その通りだ。エレノアには悪いことをしたがな」


 俺は見守るエレノアを一瞥し、クラリーチェに向き直る。


 「幼女をいたぶる趣味はない。そもそも、そんなのは倫理的に許されないからな」


「ならばさっさと解放せんか!」


「お断りだ。本当のお前は幼女じゃない。このスターフェリアで誰よりも長く生きている女だ。容赦はしないぞ!」


 俺の言葉は、まるで氷のように冷たかった。それはクラリーチェへの憎しみではなく、エレノアを傷つけたことへの、静かで燃えるような怒りだった。


 俺は蒼光剣を繊細に操った。


 すると、空中で無防備に晒されたクラリーチェの身体を、光の鞭が鋭く打った。


 ピシッ!


「あぁ……!」


 甲高い悲鳴が夜空に響き、クラリーチェの全身がビクンと激しく震えた。その細い身体が空中で小刻みに跳ねる。絶対的支配者が、このような屈辱を受けるなど——その一撃は、百年以上の威厳と誇りを一瞬で打ち砕くには十分すぎた。


「クラリーチェ、さっきエレノアにした仕打ちを忘れたわけじゃないだろう。お前がやったことを、お前自身が思い知れ!」


 俺の冷たい声が響く。鞭は容赦なく彼女の肌を打ち据える。


 パシッ! ピシッ! ビシィッ!


 空気を切り裂く鋭い音が連続して響き渡った。


「ひゃっ! くはっ! ぬぁっ!」


 鞭が当たる度に、クラリーチェの身体は激しく跳ね、その度に悲鳴が漏れる。漆黒のローブはさらに細かく破れ、星の装飾が夜空に舞い散る。その下に着込んだ白い衣装も、繊維が擦り切れ、破れていく。汗で濡れた白い衣装が、薄く肌に張り付く。生地が裂けて舞い散る様子は、まるで星屑のようだった。


 鞭の衝撃が全身を震わせ、空中に吊るされた身体が何度も揺れた。


「くっ……くぅ……」


 クラリーチェの意識は朦朧とし始めているようだった。降り注ぐ鞭の衝撃と、絶対的支配者としての尊厳を剥ぎ取られる屈辱に、彼女の頭の中は真っ白になっていく。


「や、やめ……っ」


 かすれた声で懇願するが、もはや言葉になっていない。ただただ、与えられる衝撃に翻弄され、情けない悲鳴を上げることしかできなかった。彼女の頬には屈辱と苦悶の涙が流れ、口元からは一筋の涎がこぼれ落ちていた。


「くぅ……うう……やめろ……やめてくれ……!」


 もはやそれは支配者の懇願ではなく、一人の幼い少女の、痛みに耐えかねた悲鳴だった。荒い息だけが、彼女の口から漏れていた。汗で濡れた顔は苦悶に歪み、普段の冷酷さは微塵も残っていない。絶対的な支配者の威厳は、もう見る影もなかった。


 しばらくして、俺はようやく蒼光剣を止めた。それに合わせて、エネルギーの鞭も止まる。


「これで……終わり……?」


 クラリーチェが安堵の息を吐いた瞬間——。


「そんなはずないだろう。寝言は寝て言え」


 俺の冷たい声が響く。


 再び蒼光剣を操った。クラリーチェの太ももが蔦によって左右にぐっと開かれる。そして、一本のエネルギーの鞭が意志を持ったように急上昇し、空中で身動きを封じられたままのクラリーチェを、下から強烈に縛り上げた。


「ひゃああああっ!」


 今度は今までとは比べものにならないほどの衝撃が、クラリーチェの全身を駆け巡った。カエル脚を空中でばたつかせながら、身体を大きく仰け反らせる。エレノアに強制したのと同じ体勢だ。


 必死にもがくが、エネルギーの鞭はまるで粘着質な蛇のように全身を締め付け、太ももが開脚し、どんどんと屈辱的な体勢へと変わっていく。


 もちろん、その鞭は、命を奪わず、懲らしめるためだけにとどめるよう、絶妙に計算されていた。


「はぁ……はぁ……」


 クラリーチェは羞恥のあまり、顔が真っ赤に染まっている。


「お前にも羞恥心ってやつがあるんだな? だったらわかるだろう。お前がエレノアにした仕打ちの罪深さが」


「ふっ……。わらわに羞恥心などあるか」


 クラリーチェが強がりを見せた。


「ほお。ならば手加減無用ということだな」


 俺は蒼光剣に力を込める。


 エネルギーの鞭はさらに強力に締め付け、クラリーチェの身体を上下反転させた。空中でカエル脚のまま、頭を下にして拘束されたその体勢は、プロレスの「恥ずかし固め」という技をかけられているかのようだ。


「うわぁぁぁ……!?」


 足を閉じようと抵抗するが、膝から先がバタバタと暴れるだけだ。しかも、鞭は彼女の身体に深く食い込んでいく。衣服の生地も、その鞭によって肌に奥深くめり込んでいる。素肌は汗でぬらぬらと輝きを放ち、彼女の身体は制御を失い、空中でただ震えることしかできなかった。


 最強の支配者として君臨してきた彼女が、今、俺の掌の上で、ただ弄ばれるだけの存在と化している。その屈辱に、クラリーチェの脳裏は真っ白になっているようだった。


 俺と魔法少女たち、そしてエレノアの視線が、無様に晒されたクラリーチェの姿に注がれている。


「うあああ……こんなの……こんなの……!」


 絶対的支配者としての威厳など、もはや影も形もない。汗だくになった小さな身体が、ただ与えられる刺激に翻弄されるだけの存在と化していた。


 俺は蒼光剣を静かに構えた。剣の切っ先が、逆さまになったクラリーチェの心臓部へと向けられる。衣類と蔦に覆われていたが、その小ぶりな胸の内側では、心臓が脈動しているはずだった。


「クラリーチェ、スターフェリアの支配者様が、まさかこんな姿で晒されるとはな。さぞかし、屈辱だろう?」


 俺の皮肉めいた言葉に、クラリーチェの身体が硬直した。恐怖で涙が滲み、全身の震えが止まらない。


 命を奪われる――。そう絶望したクラリーチェは、恐怖に目を閉じた。


 俺は蒼光剣の切っ先を、クラリーチェの心臓部に向けて力いっぱい突き出した。

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