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いじめてないと思う少女

この物語は、フィクションであり、現実の団体・人物と一切の関係はありません。

 また、現実の問題とも一切の関わりがありません

路地裏にあるお店。そこに小学生くらいの子どもが店に入って行った。

 カランコロンと扉が勢いよく開くおとがする。

「いらっしゃい。」

「お兄ちゃん、分かってくれるよね。」

 扉から出てきた少女が興奮しっぱなしの様子で同意を求めてくる。

「どうしたんですか、落ち着いてください。」

 目の前にいる少女を落ち着かせるために、椅子に座らせ、お茶と洋菓子を目の前に出した。すると、途端に目をキラキラに輝かせる。

「ねえ、お兄ちゃん。これ、食べてもいい?」

「ええ、構いませんよ。」

 そう言うと、少女は、無我夢中で目の前にあるお菓子を全て食べ切ってしまった。

「お兄ちゃん。もっとちょうだい。」

「ええ、構いませんよ。」

 今度は、チョコレートを出すと。誰かに奪われる前に食べ尽くす勢いで無くなってしまった。

「お兄ちゃん。これ、美味しい。なんて言うの。」

「チョコレートっていうんですよ。」

「そうなんだ。こんな美味しい食べ物、初めて食べた。」

 少女は、純粋な目でもっと欲しいとコチラを見てくる。

「家では、こんな物、食べなかったな。」

「そうなんですか。」

「うん。友達が言っていた。ちょこれーとってこんなに美味しかったんだ。」

「そうですか。何故、ここに来たんですか。」

「学校で、噂になってるんだ。どんな悩みも聞いてくれる場所があるって。」

「では、どんな悩みがあるんですか。」

 少女は、お菓子をもっと欲しいという顔をハッとさせて。

「そうだった。お兄ちゃん、聞いてみんなひどいんだよ!!」

「どうしたんですか。」

「みんな私の事を責めてくるんだよ。」

 少女の見た目から、小学生低学年の様に見える。普通に過ごしていれば、特に大きな問題に巡り合わないもではと考えていると。

「お兄ちゃん、私ね。すごく優秀なんだ。」

「おお、そうなんですね。いい事ですね。」

「そうなの、どの教科でも、100点満点なの。」

「周りの人は、どんな感じだった。」

「みんな、すごいね。って褒めてくれたの。けど、今は、そんな事をする子だと思ってなかった。と言われるの。」

「何か、変な事をした覚えはあるの。」

 少女は、首を横に振った。

「変なことなんてしてないもん。」

 そう言い、少女はほっぺたをプクーっと膨らませた。少女は、不機嫌になってしまったようだ。

「そうでしたか。すみません。学校では、どんな事があったんですか。」

「もっとお菓子くれなきゃ話さないもん。」

 少女は、完全に拗ねてしまった。しかし、これ以上お菓子をあげるとご飯が食べられなくなってしまう。

「ごめんね。これ以上、食べたらご飯が食べられなくなってしまうから、他の方法は無いかな。

「いいもん。ご飯なんか食べなくて。」

「どうしてかな。」

「だって、ご飯まずいんだもん。」

「そうなんだけど、栄養が偏るから、これで我慢してね。」

 と、僕は、野菜ジュースをコップ一杯についで、少女に渡した。

「あ!!これも美味しい。お兄ちゃん。なんで、こんな美味しい物持ってるの。」

「普通に売っている物ですよ。お店で見た事ありませんか。」

「見た事ないよ。いつも家にいるからね。」

「いつも家で何をしているんですか。」

「いつも、遊んでるよ。」

「いつも楽しいですか。」

「ううん。つまんない。」

「そうなんですね。なんで、つまんないんですか。」

「つまんないものは、つまらないの。」

 すごい、ワガママな子だ。どうして、ここに来たんだろう。こういう子は、大変苦労する。自分が、世界の中心だと思い込む子が多い。こういう子を理解できる様に説明するのは、難しい物だ。どういう風に説明すれば、理解してくれるのだろう。と、考えていると。噂でこの店に来たことを少女は、語っていた。実在する確証はないだろうに。

「そういえば、なんでこの店にいらっしゃったんですか。」

「あー。そうだった。学校でね。先生もクラスメイトにもお母さんにも味方がいないの。」

「周りは、そんな感じなんですか。」

「みんながね、冷たい目で見てきたり。お母さんがね、なんでそんなことしたの‼︎って叱ってくるの。いつもお母さんはね、優しいのに。」

「言われるような、心当たりは、ありますか。」

「ないもん。」

「そうですか。」

 無自覚な子が1番大変だ。恐らく、無自覚なイジメだろう。学校でも遊んでばかりらしい。きっとこの子は、遊びの範囲を超えてしまったんだろう。無自覚だから、悪い事をした、という認識がない。何かがキッカケでイジメが発覚。だから、先生が叱ったり、周りの人が冷たくなったのだろう。先生から、親に連絡が行き、そこで初めて親が知った。という事だろう。

「お母さんもひどいんだよ。貴方が、そんな子だと思わなかった。いつもいい子にしていたのにって。」

「そうなんですね。学校では、家と違うことをしていたんですか。」

「してないもん。家でも学校でも同じ事をしただけだもん。」

 ずっと違和感が付きまとう。相手の事を決めつけすぎではないか。少女には、問題は無く。環境に問題があるのでは無いか。自分の固定化された考え方から、抜け出すために客観的に見る必要がある。そんな事を考えていると、ピピピ、ピピピ、っとどこからかアラームの音が聞こえてくる。

「あ、ごめんお兄ちゃん。あそびのじかんになっちゃたー。だから、お兄ちゃん、遊んでもいい。」

「ええ、構いませんよ。」

 遊ぶ時間を決めてるって奇妙だなと思っていたら。少女は、市販で売られているワークを取り出した。

「これで、遊んでいるんですか?本当に?」

 と、声をかけても、少女はまるで聞こえていない。どれほど、集中して目の前の問題を必死に解いている様だった。

 少し時間が、たった時。

「やっと、おわったー。今日のお遊びは、終了。」

「これが、遊びなんですか。」

「そうだよー。これが、遊びだよ。」

「勉強、じゃなくてですか。」

「勉強は、もっと難しい問題の事を言うんだよ。」

「そうですか、」

「勉強は、ちゃんと解けなかったら、ペナルティがあるんだから。」

「そうでしたっけ。」

「何言ってるのー。当たり前だよ。でも、学校はペナルティ無いんだよねー。」

「まぁ、そう、でしょうね。」

「友達との遊びもこれですか、」

「もちろん。だから、遊びの時間も早めてたんだ。」

「友達は、なんて言ってたんですか。」

「こんなの遊びじゃ無いよー。とかだったかな。でも、何回も仲良く遊んだよ。」

「よく、付き合ってくれましたね。」

「そういえば、友達がね、成績上がるかもだから、いっか。とか、言ってたんだ。」

「どこで、遊んだんですか。」

「学校の図書室だよー。」

「家で、遊ばないんですか。」

「家に、呼んだら、勉強に巻き込むの嫌だもん。」

「そうですか。」

「お母さんに何て言われるかわからないし。」

 少女の言う、お母さんは、どんな存在なのだろうか。話を聞く限り、そのお母さんは、ヤバイ人なのだろう。勉強と遊びを同じものにしていると会話から、推測できる。少女の言う、勉強と遊びの違いは、レベルだろう。レベルが、高い問題が勉強、低い問題が、遊びという推測ができる。このことから、少女は勉強以外の事を教えられずに育てられてきた。と考える。

 前提として、少女は、学校でも遊んでいた。と言っていた。しかし、少女にとって、学校の授業のレベルは、遊びに値するのだろう。ああ、もう。自分でも、頭が混乱する。少女は、周りより、勉強のレベルが、バレたから、周りから冷たい目線で見られる様になったのか? まだ、断定するのは、早い。少女から、話をもう少し詳しく聞き出したい。

「お兄ちゃん。考え込んで、どうしたの。」

「いや、なんでも無いですよ。」

「そうなの?」

「はい、ところでお母さんは、どんな人なんですか。」

「うーん、わかんない。お母さんのこと、考えた事がないから。」

「え、お母さんと会話しないんですか。」

「えーとね。多少会話するけど、同じ事しか言わないから、何も思わないんだよね。」

「お母さんは、何と言っているんですか。」

「あなたは、将来功績を残せるように今頑張りなさい。とか、稼げる職業に就くためには、今頑張るしかないから頑張りなさい。とかかな。」

「厳しいことをお母さんは、言ってるんですね。」

「いやいや、こんなの普通だよ。」

「私は、そうは思いませんよ。」

「え、どうしてなの。お兄ちゃん。

「私は、稼げる職業には就いてませんからね。」

「じゃあ、なんでそんな仕事就いてるの。稼げない仕事は、世の中苦労するから選ぶなってお母さんが言ってたもん。」

「確かに私の仕事は、稼げませんよ。この相談屋の料金は、基本後払いですし。」

「じゃあ、なんで、この仕事についてるの。」

「私は、師匠の様な人になりたいと感じたからですよ。」

「その人ってどんな人なの?」

「私の人生に意味を与えてくれた人です。だから、私は、師匠の様に他者を助けれる様になりたくて、弟子入りして、この店で働かせてもらってます。」

「お兄ちゃんは、立派な人なの?」

「まだまだ、未熟な人間ですよ。」

「そうなの?」

「ええ、私も主観的に判断してしまう癖が抜けてない様ですね。」

「なんで、主観的に判断しちゃダメなの?」

「主観的に見てしまうと、得られる情報が極端に狭くなってしまいますからね。だから、客観的に判断して情報を増やさないといけないんですよ。」

「客観的ってそんなに大事なの?」

「ええ、大事ですよ。自分の思い込みの思考から抜け出すのには、とても重要ですから。」

「私は、思い込みなんてしてないから大丈夫。」

「いや、あなたは思い込みというより、自分を中心の考えているんですよ。」

「??」

「あなたの教育は、私から見るととても歪んでいるんです。その歪みは、母親の貴方の将来へ道を作るためだと考えます。」

「じゃあ、いいことじゃないの?」

「いいえ、違います。周りと違いすぎて、ダメなのです。母親の思いは、行きすぎて、悪路に進んでいる様に思います。貴方の遊びは、私は、勉強だと思います。」

「お兄ちゃん。冗談は、やめてよ。」

「いえ、冗談では、ないですよ。あなたが、言っていた、周りの目線が冷たくなった原因は、認識の違いですよ。」

「認識の違い?」

「ええ、貴方の友人は、一緒にボールや校庭で遊ぼうとしたのでしょう。ですが、あなたは、母親からの教育で、簡単な問題を解く事だと認識したんですよ。」

「そんなわけないじゃん。」

 そう言い、少女は、最初のようにほっぺたを含まらせた。

「私が、持っている情報じゃから、推測するとそうなります。」

「お兄ちゃんは、私の事を騙そうとしてるんでしょ。」

「いえ、そんな事ありませんよ。あなたも自分の事を客観視すれば、わかるようになると思いますよ。」

「そうなのー。でも、なんだかスッキリした。お兄ちゃん話聞いてくれて、ありがとう。」

「どういたしまして。」

「お兄ちゃん、じゃあねー。」

 そう言い、少女は、勢いよく扉を開けて、店から出て行った。

 少女に必要だったのは、親身に聞いてくれる存在だったのだろう。少女は、私との会話で満足し、去ったのだろう。もしくは、内容が難しくなり、帰りたくなって、帰る決断をしたと考える。

 少女は、親の言いなりになっている。しかし、他人の家庭に関わるような事は、できない。

 だから、私は、願うことしかできない。

  


   どうか少女の道が自分の選ぶ未来へと

    つながりますように

ここまで読んでいただきありがとうございます。

 自分でも少し難しい小説になったと思います。

 楽しんで読んでいただけたら幸いです。これからも不定期投稿で頑張って行きます。

 それでは、次の作品でお会いしましょう。

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