とある村のオカシナ常識
この物語は、フィクションであり、現実の団体・人物と一切の関係はありません。
また、この物語は、設定ミスで再度投稿しております。
路地裏にあるとある店、相談屋と書かれているが、人の気配は全く感じない。しかし、1人の青年が、お店に入るようだ。
カラン、コロン。静寂の中、ドアが開いた音が鳴り響く。
「どうしたんですか。青年は、何か悩み事ですか。」
「はい。誰に言っても信じてくれない話がありまして。どうか、聞いてくれませんか。」
「もちろん、いいですよ。ですが、こちらにサインしてくれないか。」
そう言って出された、契約書には、いろんな事が書いてあった。
「何故、契約書を書く必要があるんですか?」
「昔、めんどくさいことになりましてね。一応、形式上書いてもらうだけなんですよ。別に偽名でもいいですよ。法の効力があるわけでは、無いので。」
「分かりました。」
偽名でもいいなら、何故書く必要があるのか。全くもってわからない。しかし、何かしら、書かないと先に進まないだろう。嘘を書くのは、嫌だから、本名を書くことにした。
「サイン、ありがとうございます。では、ご相談は、なんでしょうか?」
「僕は、この前交通事故に遭い3日間病室で眠っていたらしいです。その時、夢の中でとある村にお世話になっていたんです。しかし、その村には、なんとも言えない違和感がつきまとっていたんです。だから、今でも気になるんです。あれは、夢の中なのか。それとも、別世界の村だったのか。」
「ほう、興味深い話ですね。でも、何故私に相談しに来たんでしょうか。家族や病院の先生などもっと適した人がいると思うんですが。」
「いや、私が相談した人は、そんな夢いつの間にか忘れてるよとか、ゲームのやりすぎじゃないのとかで、あまり本気にされなくて。病院の先生には、話すタイミングが無くて。」
「なるほど。話を遮ってすみませんね。ぜひお話し聞かせてください。」
とある日。気がついたら、知らない天井が目に入って来た。ここは、何処なのか。直前まで何をしていたのか思い出そうとするけれど、なにも思い出せなかった。少しでも、手掛かりがないか周りを見渡すと、少し古めかしい家だった。ガラッと扉が開き、おばあさんが入って来た。
「おお、お目覚めかい。体は、大丈夫かい。」
「はい、大丈夫です。」
「おお、それは良かった。」
「助けてくれてありがとうございます。それより、ここは何処ですか?何も覚えてなくて。」
「ここは、西挨村だよ。私が、山に山菜を探している最中にたまたま見つけたんだ。運が良かったね。今頃、私が見つけてなければ、獣に喰われてたかも知れないよ。」
「そ、そうなんですね。本当にありがとうございます。」
そんな話をしているとガラッと音を立て、扉が開いた。
「いつも元気だね。今日は何しに来たの。」
「暇だったから、遊びに来たの。」
「さっちゃんは、いつも暗い子だね。」
「そうだよ。いっつも楽しいの。」
会話に違和感を覚えながら、さっちゃんと呼ばれていた少女が、こちらに気づいた。
「初めまして、私は佐知子って言うの。おばあちゃんの知り合い?」
「違うよ。おばあちゃんに助けて貰ったんだ。」
「怪我とかしてない?」
「うん。大丈夫だよ。」
「良かったね!!おばあちゃん、向こうで遊んでくる!後でおばあちゃんも遊ぼうね。」
「明るい子ですね。」
「何言ってるんだい。あの子は、暗い子だよ。」
私は、違和感の正体に気づいた。
「暗い子ってどういう意味ですか?」
「外で暗くなるまで元気に遊ぶから、暗い子。逆に、家の中で遊ぶ子は、暗くなっても電気をつけて遊ぶから明るい子だよ。君の言う明るい子ってどういう意味かい?」
「・・・なんでだっけ。」
それが私の常識だったらしい。明るい子を使う事に違和感は、感じない。しかし、意味を聞かれても、答える事が出来なかった。
「分からないのかい。まぁ思い出したら教えてくれないか。」
「少し、歩いてきます。何か思い出すかも知れないので、」
「そうかい、怪我には気をつけてなぁ。」
「分かりました。」
「ちょと待て、ちょと待て。私の名前は、凛子
ガラッと音を立て、扉を開けるとあたり一面に田んぼが広がっていた。今時、こんな広い田んぼを持つ人がいるのかと考えていると1つ疑問が生まれた。
(僕は、何故ここにいるんだ。)
自分は、今までこんなに広い田んぼを見たことがない。人の家も周りを見渡す限り、少ないように思える。この事から、田舎なのだろうと考える。しかし、自分の記憶から探ると、自分は都会に住んでいたはずだ。そして、車でも遠いところにしか、山が無いはずだ。なのに、おばあさんは、山で倒れていた僕を助けくれたらしい。何故、僕は山に行き、倒れていたのだろう。疑問は、たくさん出てくるのに答えは、一向に出なかった。
時がしばらく経った時、ふと、話かけられた。
しばらく歩いていると、畑作業をしている人と目が合った。
「お兄ちゃん、この辺で見ない人だな。なんかあったのかい。」
「記憶喪失でして、おばあさんが言うには、山の中で倒れていたみたいです。」
「お兄ちゃん、運が良かったなぁ。そうだ、うちの畑見ていくかい。」
「いいんですか、是非お願いします。」
(もしかしたら、ここの農作物や自然の風景で何か思い出すかも知れない。)
そんな期待を胸に畑を見ると、獣に畑を荒らされていた。
「おじさん、大丈夫ですか。獣に荒らされてますよ。」
「あぁ・・大丈夫だけど。なんでそんな焦ってるんだ。」
「いや、焦るでしょう。おじさんの大事な畑荒らされているんですよ。」
「はぁ…そうなのか。獣に食べられるのは、いいことのはずなんだけどなぁ」
「何故、いいことなんですか。」
「獣が食べると言うことは、美味しいから、食べるんだろ。確かに、収穫量は減るさ。だけど、山の恵みを貰ってるんだから、これくらい大したことじゃ無いさ。」
「そっ、そうなんですね。」
「ああ、むしろ交換する時に箔がつくからいいことだよ。」
「この村は、食べ物とかを交換するんですか。」
「基本、物々交換だよな。まぁいい、おばあさんに言っといてくれ、今度、野菜と肉を交換してくれって。」
「分かり、ました。」
時間もそろそろお昼になりそうだったので、おばあさんの家に一旦帰ることにした。
おばあさんの家に帰った時、すごく、悲惨な光景が目に入った。それは、おばあさんが、生きていた動物を解体している様だった。
「ああ、お帰り。そろそろ、ご飯にするかい。」
「...はい。」
僕は、それ以上何も言うことができなかった。
僕は、お昼を食べた後、再度散歩する事にした。先程とは、逆方向へ探っていくつもりだ。そちらの方向にも、様々な畑や田が広がっていた。ある程度経った時、向こうに見覚えがある少女が立っていた。でも、1人でいるようだった為。話しかけるのはやめておいた。何故かって、変に思われたく無いからだ。そして、横を通ろうとした時に向こうから話しかけられた。
「おばあちゃんの家にいた、お兄さんだ。」
「こんにちは。確かさっちゃんだっけ。」
「そうだよー。お兄ちゃんは、何をしているの。」
「お兄さんはね、少し休憩しているの。さっちゃんは、何をしているの?」
「さっちゃんはね、友達の家で勉強会をしてきたの。さっちゃんは、1番の鳥頭だから。」
「そうなんだね。勉強会は、楽しかったの?。」
「うん。楽しかったよ。やっぱり、教えるのって難しいね。」
「そうだねー。教えるには、しっかり理解していないとだからね。」
「お兄さんも、教えるのって難しいんだ。教える時ね、みんなから鳥頭だから頼られたの。けど、教えるのが、大変なの。」
「おばあちゃんの家に来た時は、友達の家に行く途中だったの?」
「うん。おばあちゃん家の前を通ったから、挨拶をしようと思ったんだ。」
「そうなんだ。いつもおばあちゃんは、元気なの?」
「うん。元気だよ。じゃあ、またね、お兄ちゃん。」
「またね。」
そう言うと、さっちゃんは、向こうへと元気よく走って行った。
鳥は、確か頭が良かったはずだ。カラスは、車に固いきのみを割ってもらい、中身を美味しく食べるはずだ。だから、鳥頭は頭がいいと言う意味になるはずだ。しかし、やはり違和感は、消えなかった。何故、違和感が付きまとうのだろう。この村の常識は、村人にとって普通のようだった。しかし、自分は恐らくここの村人では無いのだろう。ここの村人ならば、誰かが僕を知っているはずだ。なのに、誰も僕の事を初めて見るようだった。もうひとつは、自分が持つ考えと、この村特有の考えの違いだ。今日一日だけでも、いくつかの違和感があった。もし、この村の住人ならば、もっと考えが、一致しているはずだ。だから、違う所の住人なのだろう。おばあさんにこの村の周辺について教えてもらおう。おばあさんの家に帰宅することにした。
「おばあさん、この村の周辺について教えてくれませんか。」
「ああ、構わないよ。だけど、周辺に住処はなかったようなきがするぞ。」
「そうなんですね。でも、教えてください。」
「この村は、山に囲われている。獣が多いから山の向こうに行く人物は、少ない。」
「少ないと言うことは、何人か行ったんですか。」
「分からないんだ。山の向こうに行こうとした人は、何人かいるよ。でも、1人も帰ってきてないんだよ。山でくたばったのか、それか帰る気がないのか分からないんだ。」
「そうなんですね。それは、悲しい事ですね。」
「いや、そうでも無いよ。自分で決断した結果だよ。そこにとやかく言うことは出来ないよ。そうだ、明日少し手伝ってもらうよ。」
「分かりました。でも、何をするんですか。」
「少し、山に行って作業するだけだよ。じゃあ、そろそろ寝な。」
「はい。分かりました。では、おやすみなさい。」
翌日の朝、おばあさんにぐっすり寝ているところに叩き起こされた。
「起きな。手伝いの時間だぞ。」
周りは、まだ暗いのにおばあさんに叩き起こされた。
「なんで、こんな朝早いんですか。」
「獣達が寝ているからだ。気づかれただけで、どうなるか分からないからな。」
「了解です。」
「よし、これを持って着いてこい。」
そう言って、おばあさんに渡された荷物はぎりぎり背負う事が出来るくらい重かった。
「こんなに重い荷物何が入っているんですか?」
「山の中で使うんだ。危険の物は、入っていないよ。そろそろ、出発するから準備しな。」
おばあさんは、自分と同じくらい重そうな荷物を軽々といくつか持って、山の方へ向かった。僕は、置いていかれない様に、後をついて行った。しばらく、おばあさんの後についていくと山の中に入ろうとした時。
「ここからは、静かにしな。気づかれたら終わりだから。」
「危険なところなんですよね。なんで僕も行くんですか。」
「働く者こそ食うべきだ。だからだよ。」
「そうなんですね。」
しばらくすると、おばあさんが荷物を渡す様に合図をしてきた。僕は、どの指示に従い、荷物を渡すと、中身を周り一帯に撒いた。何を撒いたのかと思ったら、それは果実や肉類であった。おばあさんに意図を聞く前に別の場所へ向かって行った。そこでも同じように周りに持って行った袋の中身を撒き移動する。
「おばあさん、何をやっているんですか。食べ物がもったいないですよ。」
「静かにしてな。意味のないことは、やらないんだよ。帰ったら説明するから。」
次のポイントまで、歩く途中でおばあさんが、ふと立ち止まった。
「やっぱり、少しやり過ぎているのか。誰が、原因なんだ。」
おばあさんは、そう言っていた。しかし、僕は何も感じなかった。恐らく、自分の周りには、おばあさん以外の生物の気配は、感じることが出来なかった。少し、周囲を見渡しても見当たるのは、木や草などしか見つけることが出来なかった。
おばあさんの家に戻った時、昨日会ったおじいさんが玄関で待っていた。
「凛子さん、交換しに来たよ。」
「ああ、今から持ってくるから。」
「良いものと交換してくれよー。獣が食ってくれたんだから。」
「おお、珍しいね。いつも、山から離れてるから、滅多に食われないのに。」
「そうなんだよ。しかも、食われる量も以前より多かったから、嬉しいんだよ。」
「はい、じゃあこれね。」
「おお、こんなに良いのかい。」
「別に構わんよ。それより、他の家の作物はどうなんだい?」
「確か、ほとんどの家が獣が食って喜んでたよ。」
「ああ、そうかい。皆に注意しなと言っときな。鳥頭な奴なら理解できるから。」
「...分かった。お互い生きていると良いね。」
「ああ、そうだね。」
「それじゃあ、またねー。」
おばあさんが、こちらをみた時、山の中に昼前より神妙な顔つきだった。
「捧げるのが少し遅かったかねぇ。まったく、どこのどいつだ。」
「おばあさん、大丈夫ですよね。この前、動物を捌いていたから、狩猟具もありますもんね。」
「分からん。狩猟具は、確かに持っているが。こんな街中で使えないよ。それより、使ってはいけないからな。」
「山の中でしか、使えないんですね。」
「ああ、そういう決まりなんだ。」
「手伝いは、もう終わりですか?」
「そうだよ。今日は、もう終わりだね。今日もどこかに行くのかい?」
「この村に図書館は、無いんですか?」
「立派なもんじゃ無いが、あるにはあるよ。」
「本当ですか、そこに行ってみます。」
おばあさんき図書館までの道を教えてもらい、図書館に行くことにした。
図書館の通り道で、春の訪れのように小鳥の鳴き声が、色々なところから聞こえてくる。この村には、様々な小さな生き物がいるようだ。小鳥の姿を見ようと見上げるとカラフルな姿が見えた。そこには、幸福を運ぶ青い鳥の姿を見ることが出来た。これからの未来に少しだけきたいを抱き、何かの進歩がある事を期待して図書館へ向かって行った。
図書館に着くと、司書さんと思われてる人が1人いるのみでシーンとした様子であった。図書館の中を少し見てみるとどこもかしこも難しそうな本ばかりだった。試しに、手に取って少し読んでみてもまったく理解出来ない。もう少し、簡単な本がないかと探しまわると、隅の方に小さな子供向けのコーナーがあった。そこには、懐かしい絵本のコーナーがあり、これなら読めるかもと手に取る本が『幸福を運ぶ烏』という本だった。こんな本あったっけと思いながらページを開いてみると見つけると幸せが訪れるという烏を探しに行く話だった。しかし、この話って烏だったかぁ。自分が知っている話と違う、違和感ばかりが襲ってくる。他の絵本のタイトルをみても自分の知っているのと少し違う本ばかり何が正しいのか分からなくなる。こんな事をしていると外がオレンジ色になってきた。おばあさんの家に戻らなくては、静かに図書館を出て、おばあさんの家へ出来るだけ早く向かった。
おばあさんの家に着いた時には、もう暗くなっていた。ガラガラと音を立てて、家に入ると
「明日は、どこにもいかない方がいいよ。」
「何かあるんですか。」
「杞憂だったらいいんだけれどねぇ。とにかく明日は静かにしとくのが身のためだよ。」
そう言い、おばあさんは眠ってしまった。聞くためにおばあさんを起こすのは、申し訳ないため、眠りについた。
朝になるとウィーンウィーンのような村中に響き渡る音で慌てて目が覚めた。おばあさんはとっくに起きており、何かに祈るように屈んでいた。
自分もおばあさんのようの真似をして、何かが過ぎ去るのを待っていた。少し経った時、ウィーンウィーンというけたたましいアラームが響き終わった。これで終わりかと祈りのポーズをやめるためにおばあさんの方をチラッとみるとまだ祈りを解いていなかった。
「申し訳ございません。申し訳ございません。山の恵みを刈り過ぎてしまい。申し訳ございません。」
ぶつぶつと何回も祈りながら同じ言葉を繰り返してる。アラームも終わったのにいつ終わるのか。
ズドーン、ズドーンと重い足音が鳴り響く。獣の音だったら、気づかれないように静かなはず。なのに、ここにいるぞと周囲に示すように存在感を放ってくる。足音が止みどこか遠くに行ったのかと思った瞬間。メキメキと音を立てながら熊が扉が少しずつ壊れていった時、
「巻き込んでごめんなさいね。この村の責任なのに。」
おばあさんが、そう言っている最中。熊は、私の目の前に立ち、大きな手を高く振りかぶり、手を下ろす瞬間まで、覚えている。
しばらくの間、意識が暗闇の中を彷徨っていた。おばあさんが自分に何回も謝ってる風景、熊が山の方に帰って行く風景や山の神にひたすら祈っている人の風景が時々現れては、消えていった。しばらくすると視界が真っ暗になり、虚無の空間に立っている気分だった。そこに、黒い光が、中央から徐々に広がっていった。黒い光に目が慣れてくると知らない黒く光る天井がそこにあった。ふと、周りを見た時に目に入った窓には月が映っていた。夜なのを認識したら睡魔が襲ってきてまた黒い空間に気を落とした。
翌日、目が覚めると白い天井が目に入り、寝ぼけていると看護師さんだと思われる方が入ってきて顔を合わせた後。すぐにどこかに連絡を入れている様子でした。しばらくすると、お医者さんがやってきて、
「どこか、痛いところはないかい。」
「はい、なんで病院にいるんですか。」
「あなたは、家で過ごしている時に失神して、頭を強く床に打ちつけたんです。お母さんが気づいて大急ぎで病院に来てくれたんですよ。特に異常は、なかったのですが、目を覚まさなかったため、一応入院という措置をさせていただきました。」
「そうなんですね。ちなみにどれくらい入院してたんですか。」
「3日間です。でも、異常がないか、検査するかもです。」
「分かりました。」
ドアが急に勢いよく開かれる
「大丈夫。痛いところはない。」
「では、私は少し離席させていただきます。」
僕の心配をしてくれただろう。母が来てくれて少し元気が出た。
「お母さん、夢の話聞いてくれない。」
「いいよ。ゆっくり聞かせて。」
お母さんに村の話を話すと、
「大丈夫、疲れてない。」
「うん、大丈夫。」
「体に限界が来ていたから、変な夢を見ていたのよ。いつの間にか忘れているから気にしなくていいよ。」
「分かった。」
この後、先生のところに行きいくつかの検査をし無事に退院する事が出来た。
しかし、時が経ってもあの村の記憶が抜けることがなかった。身の回りの人は、真剣に対応してくれないと考えてた時に相談屋の噂を聞いたんです。ここなら、真剣に対応してくれるかもしれない。僕は、少しの希望を持って向かうことにしたんです。
「これが、ここに来るまでの話です。」
「なかなかに興味深いですね。物語として面白いですね。」
「親にこの話をしたら、途中で疲れているんだよ。気にしない方がいいよ。いつの間にか忘れているから。と言われて、病院の先生と会う時は、親と同伴だったので言いづらくて。先生は、どう思いますか。」
「どう、思うかとは、どう言うことでしょうか。」
「先生は、本当に夢の中の話だと思いますか。」
「ああ、なるほど。別世界の村では、ないかと考えているんですね。」
「はい。あの世界は、自分の知らない常識がありました。夢は、自分の無意識が混じると聞きます。でも、自分は、無意識でも考えないと思うのです。」
「では、私の見解を述べましょう。」
「はい、お願いします。」
「そんな物、私にはわかりません。」
「え、じゃあ話した意味が、無いじゃないですか。何故教えてくれないんですか。」
「まぁ、まぁ。落ち着いてください。貴方は、1つ勘違いをしている。」
「勘違いですか。」
「ええ、あくまで、ここは相談屋です。貴方に答えを出す。答え屋では、ないのですよ。しかし、貴方の怒りも納得できます。だから、私の考えの理由を説明しましょう。」
「先生の考えですか。それは、僕にとって意味があるものなんですか。」
「それは、私にはわかりません。でも、私から伝えることは、私の専門外なので、ここで言い切ることは出来ません。しかし、貴方に答えを与えて解決できる問題でしょうか。」
「言ってる、意味が分かりません。」
「ならば、答えにどんな価値があるでしょうか。」
「どんな事にも、結果があるでしょう。その結果から、反省してその時どうすれば良かったのか答えをだして、次に活かすんでしょう。」
「なるほど。では、答えのない問題は、どうすればいいと思いますか。」
「答えのない問題ですか。そんな物、あるわけ無いじゃないですか。人生は、必ず結果が残るんですよ。テストの結果が悪かったらもっと勉強すれば良かったと答えが出て、次に活かすんじゃないんですか。」
「確かに、答えが明確に出てる問題だと活かす事ができますね。しかし、対人関係や説明できない現象だとどうでしょか。対人関係なら、相手によって多くのことが左右されますし。人によって違うため、全員に当てはまる答えが存在しません。分からないことには、予測の答えしか出ませんしね。先が、見えないのに経験から答えを求められるなんて普通にありますよ。だから、私は貴方に答えを提供する事ができません。」
「はい。ありがとう、ございます。」
「でも、私は過ごした村で違和感は大事だと思いますよ。」
「...どういう事ですか。」
「貴方は、違和感を感じて、受け入れなかったでしょう。それが大事なんですよ。もし、貴方が受け入れていたら、何も疑いもせずあの村で過ごしていたかもしれないでしょう。」
「そうかも、知れませんね。」
「でも、これからの生活で役に立ちますよ。貴方は、何か指示をされた時、違和感を感じる様になると思いますよ。違和感を感じる様になれば、上からの指示を受けるロボット人間になる事はないですから。」
「先生は、それがいい事だと思うんですか。」
「もちろん、それが全てではないですが。でも、疑う事により、何らかの悪事に巻き込まれる事を回避できるかも知れませんしね。」
「そういう事が、ない人生を送りたいですが、確かにいい能力かも知れませんね。」
「他に相談したい事は、ありますか。」
「大丈夫です。」
「そうですか。では、貴方の人生に幸福が訪れる様に。」
「ありがとうございました。」
扉がまた、カランコロンと鳴り響く。
「面白い話でしたね。彼が、語ってくれた話は本当に興味深い物でした。彼が語った村が、何処にあるのかは、それぞれの判断に任せましょう。貴方はどう思いますか。」
店の誰もいない空間なのに、独り言と思えない声量で彼は言う。
「なんて言ってみるのも面白いですよね。他のお客さんが来るまで作業でもしましょう。」
相談屋は、一つの部屋に明かりを灯し次の客を待ち続ける。
混乱するかも知れない作品を読んでくださりありがとうございます。
この作品は、一部現実の言葉の意味と変わっています。その部分も楽しんでくださると幸いです。
では、次回作も楽しみに待ってくださると幸いです。