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女友達  作者:
8/17

命を天秤にかけるとき 2

丁度話し終わった頃、綾の部屋側から、ベランダの引き戸をカラカラと開く音が聞こえてきた。


まさか飛び降りるつもりか!?


焦った私達はベランダ側に回り込み、綾の部屋がある2階部分を見上げた。


2階じゃ死ねないと思うかもしれないが、このアパートは急な坂道の途中に建てられており、かなり底上げされている。そのため、2階と言っても通常の建物の4階程の高さがある。


十分死ねる。


ベランダから身を乗りだし、綾がこちらに向かって叫ぶ。


「もうやめて!皆帰ってよ!私は今から死ぬんだから!明日の朝死体で見つかるかもね!」


そう叫んで、ベランダの引き戸を閉めてしまった。


かもねってなんだ?と思いつつ、


「もう一度チャイム鳴らす。」

「諒太は携帯鳴らして。」

「万が一反応が無かったら、隣の部屋のベランダ伝いに綾の部屋のベランダへ渡る。そうなったらガラス割らなきゃいけないから、貴也の車からスパナ持ってきてて。」

「佳成は警察に発信できるように携帯準備してて。」


と素早く指示を出し、近所迷惑を気にするのをやめ、チャイムを鳴らし続け、綾に呼び掛けた。


「綾!ドアを開けて!開けないと警察呼ぶよ!」


ドア越しに『もうやめてよー!』と綾が叫ぶ声が聞こえてきた。


私は一旦チャイムを鳴らすのをやめ、諒太にも携帯を切るように伝えた。


そしてドアに向かって、私は叫ぶ。


本当に死ぬつもりなら、私の言葉に少しでも耳を傾けて欲しい。今死ぬことについて考えて欲しい。


「死ぬって言っている人を前にして、止められるなら止めるでしょ。止めて欲しいんでしょ?そうじゃなきゃ何で死ぬなんて宣言すんの!」


無言だった。


「綾、綾の命は誰のもの?今何のために死のうと思っているの?」


返事はない。


「綾、今が綾の全てなの?命を天秤にかける時は今なの?」


綾のすすり泣く声が聞こえてくる。


「お願い唯。ドアから離れて。他の皆も家から離れて。考えるから。頑張って考えるから。」


綾の言葉を聞き、私達は綾の家が見える程度に離れた。そして、これからどうするか話し合った。



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