思いがけない報告
サークルとも綾とも距離を置いたまま時間が過ぎて行き、冬の気配が漂うようになった頃、ようやく私の心も落ち着き、あの2人のことも過去のこととして受け止め始めていた。
そんなとき、綾と貴也が2人揃って私に話したいことがあると連絡してきた。
まさかと思った。
2人はよりを戻したそうで、迷惑をかけた私に最初に報告して、謝りたいのだそうだ。
私は何度も断ったが、2人がどうしてもと引かず、短い時間ならと了承した。
連絡から二日後に時間を合わせて、綾と貴也は私の家へとやってきた。
2人は少し気恥ずかしそうな笑顔を浮かべ、迷惑をかけて申し訳なかったと頭を下げた。
恥ずかしくて仕方なかったのかもしれないが、申し訳ないと思っている顔には見えなかった。2人の世界に酔いしれているようにしか見えない。
本当に申し訳ないと思っているのなら、せめてそれらしい顔をして欲しかったと思いつつ、顔を上げてもらった。
私に許されたと思ったのか、それから2人は聞いてもいないよりを戻すことになった切っ掛けを嬉しそうに話した。
そして貴也は、当たり前だがもう浮気はしない、迷惑をかけるようなことはしないと決意表明をして、満足そうに帰っていった。
私は2人の前で、どんな顔をして座っていたのか思い出せない。
2人の話もほとんど聞こえていなかったが、満足そうに帰っていったことから、にこやかに対応できていたのだと思う。
後日、綾には本当に大丈夫なのかと確認した。
あの時綾は、体調を崩すほどに思い詰めていたのだ。心配しないわけがない。
それに二度も浮気をするような人が、もう二度としないなんて、簡単に信じることはできなかった。
しかし綾は、今度は大丈夫。気持ちを確かめあったから。また頑張ればいいのだからと、自信ありげに答えた。
私はそれ以上何も言えなかった。