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女友達  作者:
2/17

貴也の浮気

綾と貴也、あの二人に関わるのはもう嫌だった。



あの2人は、貴也の浮気で一度別れている。


貴也は、同じ相手と二度も浮気したのだ。


その度に振り回された私は、2人との付き合いは最低限のものだ。



サークルの後輩と貴也が一度目の浮気をしたのは、二年前の秋頃だった。


そのとき私は泣いて崩れ落ちてしまいそうな綾を支えるように、たくさん話を聞いた。

別れる決心がつかない綾に、2人で話し合うことを勧めた。何度か話し合った2人は、付き合い続けることを選択した。2人はぎこちないながらも、少しずつ元に戻っていったように見えた。




二度目は一年前の夏頃。発覚が夏というだけで、実際に事が起こったのは春の終わり頃だったらしい。


貴也の浮気が発覚した日、綾は泣きながら私の家に来た。その時私は寝ようか、もう少し起きて本の続きを読もうかと迷っていた。


平日の夜11時。明日のために寝ようと決めたところで、LINEの通知音が鳴った。

確認すると・・・綾からだった。




 ―― 私このままだと死んでしまう




内容はそれだけ。

驚いた私はすぐに綾の携帯を鳴らした。



『唯。私もうダメだ。耐えられない。』

『どうしたの?何があったの?』

『貴也がまた浮気した!』

『うわ・・・信じられない・・・』

『本当だって!しかも同じ相手と!!!』



綾は取り乱していて、最後のほうはほとんど叫んでいた。家の目の前まで来ていた綾をこのまま放っておくことが出来ず、部屋に上げた。一人にしてはいけないような気がした。


そして綾が嗚咽をあげながら、途切れ途切れに話すのを聞いていると、なんとなく状況を知ることができた。


貴也が二度目の浮気をしたこと。しかも、一度目と同じサークルの後輩が浮気相手であること。実は発覚が今なだけで、春にあったサークルの合宿(という名のお泊まり会)の時に浮気したこと。今回は後輩から「貴也と別れてくれ」と直談判されて発覚したこと。


私はあの可愛らしくふわふわとした見た目と違い、気が強く、思ったことは口にしてしまう、後輩を思い浮かべてかなり引いていた。


口を挟まずにただ話を聞いていただけだったが、綾は少し落ち着いてくると「そんなに好きなら後輩と付き合えばいい。別れる」と呟き、別れる決心をした。



数日後、本当に2人は別れた。



それからというもの、綾は時々私の家に来ては、自分がどれだけ頑張ったのか、どれだけ努力して関係の修復に気を使ったのかを語り、怒って、泣いた。


「私は頑張ってもダメだった。意味ない。」

「でも頑張らないと私じゃない。」

「どうしたらよかったの。無理」


と言ったと思うと、


「また頑張れば良いよね!もう大丈夫!」

「新しい恋すればいいんだから!」

「実は私もモテるの!佳成とかどうかな」


とテンション高く笑ったりと、明らかにメンタルが不安定で、こちらも不安な気持ちになったりした。それに佳成の名前が出たことも、私を不安な気持ちにさせた。



そんな日々を繰り返しているうちに綾は少しずつ前を向いて、崩しがちだったメンタルも体調も回復し、少し気になる発言はあるものの、日常生活へと戻っていった。


戻っていったと思っていた。


正直この出来事は私も堪えた。綾のメンタルに付き合っている内に、心が少し疲れてしまっていた。

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