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聖女物語  作者: 野ウサギ座
Chapter1 北の大陸
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第8話

 カスティード北の海岸にて、四柱帝ガブリエルのクリーチャー軍団が現れた旨の報告を受けたエクレール。

 ガトーをはじめとする高官達に戦える者達を北の海岸に集めるよう、指示を出した。

 そして、エクレールの指示のもと、アルディア達含め、一同は北の海岸へと集ったのであった。


 ―――カスティード国・北の海岸

 エクレールの指示により北の海岸へと集められた一同。

 ガブリエルのクリーチャー軍団を迎え撃つため、既に配置についていた。

 アルディア達はというと、まず、前線での戦いが可能なザフィーアとルービィは、陣の前衛、その中でも高い戦闘能力を評価されていることもあり、最前線に立っていた。

 エスメラルドは、陣の中衛に立っており、前線員の援護の役回りを担うこととなった。

 そしてアルディアはというと、陣よりも更に一歩下がった位置で、アルディアに魔法指導をしていた学者風の男性と共に立っていた。

「アルディア。今回はとりあえず戦場というものがどういうものか、知ってもらうためのものです。余程ここまで被害が及ぶことはないとは思いますが、万が一の際は、私が対応しますので、そこは安心してください」

「わかりました」

 初めての戦場に緊張した様子で返事をするアルディア。

 そうしているうちに、海の方からどんどん、無数のクリーチャー軍団が海岸へと押し寄せてきた。

 クリーチャーの容姿は様々ではあるものの、宙を浮いているのは紋様のような形状をしている一部のクリーチャーのみで、多くのクリーチャーは、海を泳いでやって来た。

「海からやって来ただけあって、魚のような形状のクリーチャーが多いな」

「もしかして水属性? あたし不利じゃん!」

 やって来たクリーチャーの様子を見て、会話をしているザフィーアとルービィ。

 属性の相性を理解している辺り、ルービィもまた、カスティードにおいて魔法について学んだのであろう。だからこそ、今回の相手が自身にとっては不利であるという事もわかったのであろうが……。

「不利な相手なら無理に攻めず、来た相手を迎撃すればいい」

「はーい。そーさせてもらいまーす」

 ザフィーアのアドバイスに、そのように返すルービィ。

「さて、それよりも同属性の私の方が問題だが……」

 ザフィーアはそういうと、腰に差した刀に手をかける。

 そして、

「さて、開戦の一撃、私が頂戴します」

 周りの兵士、傭兵達に声をかけると、手にかけた刀の柄を更に強く握る。

 そして、ガブリエルのクリーチャー軍団が一同の居る海岸へといよいよ近づいた時、

「居合・氷波ひなみ

 ザフィーアは右足を一歩、前に出し、腰の刀を抜刀すると同時に、クリーチャー軍団へ横一文字の氷の斬撃を放った。

氷波ひなみ』という名の通り、氷の波状の斬撃は、クリーチャー軍団を襲い、一瞬にして最前線のクリーチャーを吹き飛ばし、切り裂き、そして、氷漬けにした。

 その威力は、本来であれば同じ水属性の相手には効果が薄いものであるはずだが、属性の概念をものともしない、それほどの効果のものであった。

 そして、ザフィーアの一撃をもって、双方の戦闘開始の合図となった。


 ―――戦場より一歩後ろにて

「噂に違わぬ強者……。流石、ザフィーア殿、でしょうか」

 学者風の男性は、眼鏡をクイッと上げながらそう言う。

「今の魔法は?」

「今のが以前に教えた『溜めて』『放つ』という動作ですよ」

 アルディアの問いかけに対し、学者風の男性はそう答える。そして続けて

「魔剣士であるザフィーア殿は、帯刀している刀に魔力を溜め、そして抜刀と共に放った、というわけですね。言葉にしてしまえば簡単ですし、一端の魔剣士であれば造作のないことではありますが、いやはや流石というか、同属性の相手に有効打となるとは……」

 と、改めて関心した様子でそう言った。

「同属性相手だと何かあるのですか?」

 属性の関係性についてまだ理解の浅いアルディアは、学者風の男性に問いかける。

「同属性の場合、ダメージが通るか否かは、単純に実力差になるのですよ。属性にはそれぞれ相性があるのは過去、既に説明していますが、属性の優位についてはあくまで『魔法の効果が通りやすい』というものなのですよ。ですから優位属性の相手に劣位属性の攻撃を行ったところで、効果に変わりはないのですよ」

「へぇ~。じゃあルービィの攻撃は通るって事ですか?」

「そういう事です。ただ、ルービィ殿も気をつけて戦わないと、他属性の攻撃よりも大きなダメージを負いやすいので、その点は注意が必要ですがね」

「なるほど……」

「さて、話を戻しますよ。先ほど優劣については『魔法の効果の通りやすさ』と説明をしました。しかしながら、同属性の場合、今度は『魔法の効果が通りづらい』という現象が起きます。厳密には『魔法の魔力を無意識に吸収してしまう』という方が正しいでしょうか。そのため、同属性同士の攻撃はどうしても効果が落ちてしまう事が多いのですよ。特に下位の術者の攻撃で上位の相手に攻撃した際は、殆ど効果が期待できないと思って良いでしょう。そのため、攻撃が通るか否かは完全に実力差、しかも攻撃する側が上位である、という事が条件となります」

「なるほど。だからザフィーアの攻撃が通ったということは」

「そうです。ザフィーア殿が相手のクリーチャーよりも上位の術者であった、という事なのです」

「なるほど……」

 学者風の男性の説明を受け、アルディアは改めてザフィーアの凄さを理解したのであった。


 ―――戦場・前線にて

 ザフィーアの魔法『氷波』によってカスティード側が優位な状況で始まった戦い。

 その後も前線の兵士、傭兵の活躍により、状況は変わらず優位なまま、戦闘が進んでいった。

 しかしながら、やはりザフィーアの活躍は著しく、他者とは一線を画す実力を見せつけ、圧倒していっていた。

 そして、そんなザフィーアに迫る活躍をしていたのは、唯一、ルービィのみであった。

「いくよ、『火炎拳かえんけん』」

 炎を纏った右拳を突き出し、敵クリーチャー軍を焼き払うルービィ。

 自身の属性である『火属性』が苦手とする『水属性』のクリーチャー軍団が相手であっても、彼女は怯むことなく、最前線へと突き進んでいた。

 そして、そんな彼女の戦闘を補助していたのが、陣の中衛にて前線員のサポートをしていたエスメラルダであった。

「ちょっと、ルービィさん!? 僕の魔法で保護しているとはいえ、前線出過ぎじゃあないですか!?」

「だいじょーぶ、だいじょーぶ。エスメラルダの魔法で水属性対策もバッチリなんでしょ?」

「いや、完全防御じゃないんですけど……」

 エスメラルダの魔法『紋様ルーン』の効果により、総員はある程度水属性の攻撃が緩和されるようになっていた。それもあり、ルービィは水属性のクリーチャー軍団相手に怯むことなく、突き進んでいたのであった。……多分。


 ―――再び、戦場より一歩後ろにて

「あの……ルービィのあの戦い方は何でしょうか?」

 ルービィを指差し、アルディアは学者風の男性に尋ねる。

「あれは『魔拳法まけんぽう』というものですよ。身体の一部に魔力を纏わせ、体術と組み合わせて魔法を発動させる戦闘スタイルですね」

 学者風の男性はアルディアにそう答える。

「へぇ~。ザフィーアのとは何か違うんですか?」

「基本は一緒ですよ。戦い方としては共に魔力を纏わせ、発動する。それが刀剣に纏わせれば魔剣技、自身の身体に纏わせれば魔拳法ですね」

「ふ~ん」

「物や身体の一部に魔力を纏わせる、と聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本は『溜める』と『コントロール』ですね。ザフィーア殿やルービィ殿のレベルまでもってくるのは至難の業ですが、練習すれば魔剣技や魔拳法もできるようにはなりますよ」

「そうなんですね……」

「さて、本日は中々の成果ですが、果たしてこのまま無事に済むでしょうかね……」

 学者風の男性は、戦場を見ながらそう呟くのであった。

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