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聖女物語  作者: 野ウサギ座
Chapter1 北の大陸
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第7話

打倒四柱帝を掲げ、カスティード国を訪れたアルディア達。

カスティード国女王エクレールに謁見し、四柱帝と戦えるだけの能力を有しているか見定められるため、数ヶ月間、カスティード国で魔法訓練を受けることとなった。

基本的な戦闘術を持っているエスメラルダ、ルービィ、ザフィーアの3人は簡単な説明の後、早速実戦的訓練を開始、魔法に関する基礎知識も持たないアルディアについては、まず、座学から始まった。


―――1ヶ月後・カスティード宮殿玉座の間にて

「あの4人の様子はどうですか?」

エクレールはガトーに尋ねる。

「はい。まずザフィーア殿、彼についてはここカスティードにも耳にするほどの実力者でもあり、噂通りの力の持ち主であります。問題なく前線で活躍いただけるでしょう。また、魔族の娘、ルービィ殿についても、東の大陸北部では有名な野盗であったこともあり、ザフィーア殿同様、前線にて活躍いただけるでしょう」

「有名な野盗、ですか……」

ルービィが野盗であるという話を聞き、言葉を濁らせるエクレール。

「気になりますかな? しかしながら、今は猫の手も借りたい時期。戦力になるでのあれば野盗であれど味方につけたいのではないですかな?」

「そう……、そうですね。今は誰であれ、あの四柱帝と戦える者を味方にする時ですものね。ごめんなさいガトー、続けてください」

エクレールがそう言うと、ガトーは軽く一礼をし、報告を続ける。

「失礼します。さて、他2名についてですが、エスメラルダ殿については、得意とする魔法の性質上、前衛としての活躍は難しいと思われますが、彼の使うルーンの魔法は後方支援としての活躍は期待できるでしょう」

「そう、では3名については問題なさそうですね」

「そうですね。この3名については直ぐにでも実戦に入っていただいても問題ないでしょう」

「では、アシェル出身の娘は?」

「アルディア殿、ですな。彼女については、正直何とも言えない、というところでしょうな」

「そう」

「といいますのも、そもそもが日常生活含め魔法を使った経験があまりにもなく、基本の部分からの教育を行っている状態であります。恐らく今のままでは日常レベルでの魔法がようやく使えるようになる程度。戦闘レベルでの活躍は見込めないかと……」

「そうですか……」

アルディアの状況報告をガトーから受けたエクレールは、そう言うと、一息つき、目を閉じた。

「気になりますかな?」

ガトーは、エクレールの様子を見て、そう尋ねる。

「ええ。故郷を失い帰る場所のない彼女をこのまま帰す、というのも……」

「まぁ、まだ時間はあります。様子を見つつ、戦闘での活躍が見込めない場合の処遇についても考えてゆけば良いかと……」

「そうね。そうしましょう」


―――別の日、カスティード宮殿の一室にて

宮殿の小さな一室にて机に向かって座っているアルディア。

アルディアの前には、学者風の男性が本を手に立っていた。

カスティードに来て以来、魔法についてのいろはを学んでいるアルディア。

今日も変わらず、指導を受けているのであった。

「さて、ここ数日お話をしているのが、戦闘に応用した魔法のお話であります。基本としては日常で使用する魔法と同じですが、戦闘での使用についてはより強力なものを求められる傾向もあるため、魔力を溜める、より緻密に魔法の形をつくるなどといったことが求められますね」

「ふ~ん……」

アルディアは机の上に置いてある本とにらめっこしながら、そう答える。

「あとは一番の基本ですが、自分の魔法についてよく理解することでしょう。アルディア、貴女の場合でしたら水鏡で調べた通り『光属性』であるため、まずは光の魔法についてよく理解することでしょうね」

「は~い」

「とはいえ、いきなりアレコレやれというのは難しい話。はじめは『溜める』『放つ』というところからやるとよいでしょう」

「溜める、放つ……」

「戦闘使用での基本はこれでしょうからね。場合によっては格上の相手にも通用するでしょう」

「へぇ~」

「さて、本日はキリが良いのでこの辺にしておきましょうか」

学者風の男性はそう言うと、手に持っていた本を閉じ、部屋を後にした。

「ありがとうございます」

部屋から出て行く学者風の男性に向け、アルディアはそう言い、一礼をした。

そして、改めて机に置いている本を開き、先ほど学者風の男性から教わった内容を振り返った。

「溜める、放つ……」


―――時は流れ、カスティード宮殿玉座の間にて

エクレールはガトーをはじめ、カスティード国の高官達と近況報告等受けていた。

するとその時、

「た、大変です!」

そう言いながら、一人の兵士が慌てた様子で王宮の間へと入室した。

「騒々しい。女王の御前ですぞ」

慌てて入室した兵士に対し、苦言を呈するガトー。

「も、申し訳ございません」

兵士はそう言うと、今度は慌てて跪く。

「構いません。面を上げなさい」

エクレールは優しく兵士へと声をかける。

そして続けて、

「して、何があったのですか?」

と兵士へと尋ねた。

「はい、北の海岸において『四柱帝ガブリエル』の配下のものと思われるクリーチャー軍団が現れました!」

「「!!」」

兵士の報告を受け、表情を一変させる一同。

そしてエクレールは玉座から立ち上がり、すかさず

「総員、戦えるものを北の海岸に向かわせなさい。ガブリエルのクリーチャー軍団からカスティードを守るのです」

と指示を出した。

エクレールの指示を受けた一同は、すかさず玉座の間を後にし、戦闘の準備へと向かった。

そして一同と同様、準備のため玉座の間を後にしようとしたガトーだが、

「ガトー、待ちなさい」

とエクレールに呼び止められる。

「如何なさいましたか?」

ガトーは普段通り、落ち着いた口調でエクレールに尋ねる。

「あの四人。ザフィーア、ルービィ、エスメラルダ、そしてアルディアも、この戦闘に参加させましょう」

「アルディア殿も、ですかな?」

アルディアも参戦させるというエクレールの言葉に対し、そう返すガトー。

「はい、アルディアもです。彼女にも戦場がどのような場であるか、知ってもらうためにも、今回は後方にて参戦してもらいましょう」

「成る程、あくまで後方で、との事ですな。畏まりました」

ガトーはそういうと、ボウアンドスクレープをし、玉座の間を後にした。

かくして、アルディア達は、カスティード北の海岸に現れた四柱帝ガブリエルのクリーチャー軍団と戦うことになったのであった。

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