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聖女物語  作者: 野ウサギ座
Chapter2 東の大陸
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第58話

 バベルのフロアにて、四柱帝ラファエル配下のクリーチャー、アエロ、オキュペテ、ケライノーと交戦をしているアルディア達。

 ケライノーとオキュペテの攻撃でアルディアとルービィが倒れてしまい、3体を相手にすることになったザフィーア。

 その身で戦うものの、連係攻撃に追い詰められ、トリニティを発動されそうになるまでに至ったが、復活したアルディアの不意打ちにより、トリニティ発動を阻止。更に、アルディアの復活に目を奪われていたアエロに、ザフィーアの刀の一撃が放たれたのであった。


 ――――バベル内部

 アエロを両断し、フロアへ降り立ったザフィーア。

 だが、アルディアが復活するまでの間、アエロたちから受けていた攻撃のダメージが身体に残っていたザフィーアは、フロアへ降り立つと、そのまま膝から崩れ落ちた。

 一方、ザフィーアに両断されたアエロはというと、切断面から徐々に火の粉が舞い始める。そしてそのまま身体は火の粉となって散った後、アエロがいた場所から赤く光る石が現れる。

 現れた赤く光る石は、そのままフロアへ落下。フロアに転がっていったのであった。

「「アエロ!!」」

 火の粉となって消滅したアエロを見て、思わず声をあげるオキュペテとケライノー。その様子は、さっきまでの余裕の笑いを見せていた時とは大きく異なるものであった。

 そして、同じくアエロの消滅を見たエスメラルダは、

「やった……」

 と小さく呟いた。

 一方、アルディアはというと、

「ザフィさん!」

 と叫びながら、膝から崩れ落ちたザフィーアに駆け寄る。

 自身に駆け寄るアルディアに、ザフィーアは

「これで、トリニティは阻止できたな」

 と、口元を緩ませてそう言う。

 そして続けて、

「すまない、少し休む。後は、頼んだ」

 と言うと、そのままフロアの床に横になった。

 ザフィーアがフロアに倒れると、今度はエスメラルダがザフィーアの下に駆け寄り、

「アル、ザフィは僕が見る。アルはオキュペテとケライノーを」

 と、アルディアに言った。

 エスメラルダの言葉に、アルディアは何も言わず首を縦に振る。そして銀のロッドを構えて振り返り、オキュペテとケライノーを睨みつけた。

「おのれ……よくも!」

 先のアルディアの不意打ちでフロアに落ちたケライノーは、地面に膝と羽根とつけたまま、アルディアを睨み返す。そして、その状態から魔力を溜めはじめた。

 だが、そんなケライノーの顔面右側に突如、横蹴りが飛んでくる。アルディアに意識が行っていたケライノーは、その蹴りに対応できず、蹴りはケライノーの顔面に綺麗に入る。そして、ケライノーはそのまま吹き飛ばされていった。

 アルディアはというと、ケライノーに蹴りを入れた者の顔を見ると、表情が明るくなる。そして、

「ルーちゃん!」

 と、その者の名前を呼んだ。

 蹴りの主、ルービィは、アルディアの声に反応し、アルディアの方を振り向く。

 そして、

「あたし、復活!」

 と、笑顔を見せると、右手でVサインをつくってアルディアに見せた。

「ルーちゃんも回復したんだ!」

 嬉しそうにルービィにそう声をかけるアルディア。

「うん。って言っても、まだ背中は痛むけどね」

 ルービィは笑いながら、アルディアにそう返す。

「悪いけど傷を塞ぐのと体力回復しかできないから、流石に物理的ダメージまでは回復できないよ……」

 笑いながらそう言うルービィに、エスメラルダは遠くからルービィにそう言った。

「文句言ってるわけじゃないよ。ありがと、エスメ!」

 ルービィはエスメラルダの方を振り向きそう言うと、にこりと笑い、右手の親指を立てた。

 そんなルービィの姿を見たエスメラルダは、

「……とりあえず僕はザフィの回復に入るから、アルとルーはあの二体の相手をお願い」

 と言うと、ザフィーアの治療を始めたのであった。

「了解」

「任せて!」

 アルディアとルービィは、エスメラルダにそう返すと、オキュペテとケライノーの方へと歩みを進めた。

「おのれ、ケライノーまで!」

 アルディア達が歩みを近づけると、アエロが倒される前までの冷静さを失ったオキュペテは声を荒げ、ルービィ目がけ襲いかかる。

 だが、そんなオキュペテの目の前に光の玉が横切り、オキュペテの足止めをした。

 オキュペテの足止めをした光の玉は、そのままアルディアの下へと戻ってくる。

「貴女の相手は、私」

 戻ってきた光の玉を銀のロッドの先端に纏わせると、アルディアはオキュペテにそう言った。

 アルディアの言葉に、オキュペテはギロリとアルディアを睨みつけると、

「いいわ。なら貴女から先に始末してあげる!」

 そう言うと、アルディアに攻撃の矛先を向けた。

 オキュペテの言動に反応するかのように、アルディアもまた1.2倍のオーバードライブを再び発動。応戦態勢に入ったのであった。

「じゃあ、あんたの相手はあたしだね!」

 アルディアがオキュペテとの戦闘に入ると、ルービィは両手で指を流しながらケライノーへと近付く。

 ケライノーは近付くルービィを睨みつけると、

「いいわ。私の顔を蹴った事への侮辱、貴女の肉体を刻むことで晴らさせてもらうわ!」

 というと、両翼を広げ立ち上がり、こちらもまた、応戦態勢へと入ったのであった。


 オキュペテとの交戦を始めたアルディア。

 だが、オキュペテの行動はというと、アエロが倒される前までとは異なり、接近戦を控え、距離を取ってアルディアと戦っていた。

 そんなオキュペテに対し、アルディアは光の玉を操りながら遠距離での応戦をしていた。

「くっ……!」

 光の玉による応戦に、思ったようにアルディアに攻撃が出来ない状況に苛立ちを覚えるオキュペテ。アルディアに足場のある状況では不利だと踏んだオキュペテは、地の利を得るために上部へと飛行していった。

 そんなオキュペテを追いかけるために、階段を上るアルディア。

 アルディアが階段を上り、オキュペテを追いかけると、オキュペテは自身に有利な状況になったと踏んだのか、アルディアの方を振り向き、冷気の光線を放った。

 だが、アルディアはその冷気の光線を、階段を飛ばして上り、回避。1.2倍とはいえ、オーバードライブによる強化がされているアルディアにとっては造作もないことであった。

「流石、ね」

 足場のない空中を飛びながら、オキュペテはアルディアにそう言う。

 アルディアは特に言葉を返すこともなく、ただ、オキュペテを見つめていた。

「でも、オーバードライブで身体能力を上げても、空は飛べないでしょう? フフ、地の利は私にあるわね」

 地の利を得たオキュペテは、少し前までの怒りを滲ませていた表情から一変、アエロが倒される前までの余裕な様子を見せた。

 一方、アルディアはというと、光の玉を銀のロッドに纏わせながら、オキュペテを見つつも周囲の状況を確認する。

 そして、下のフロアに視線が向くと、

「(ルーちゃん、ケライノーと交戦中か。ケライノーは、ルーちゃんに追い詰められて飛行できない状態かな?……これなら)」

 と、頭の中で考える。

 そして、改めてオキュペテの方に視線を向けると、銀のロッドを構えた。

 銀のロッドを構えるアルディアを見ると、アルディアの攻撃に備え身構えるオキュペテ。

 だが、アルディアは銀のロッドを構えた腕を上に上げると、下に振り下ろし、その勢いで銀のロッドに纏わせていた光の玉『レイビット』を下のフロアに向けて放ったのであった。

 アルディアの放ったレイビットは、そのまま下へと真っ直ぐ落ちていく。

 アルディアの放ったレイビットは、交戦していたルービィとケライノーのところへと落ちていく。そして、ルービィとケライノーの間を割って入るかのように、着弾をした。

 ケライノー相手に接近戦をしていたルービィは、このレイビットが落ちてきたことにより、ケライノーから距離を取り、後方へと下がる。

 そして、レイビットが飛んできた上方へと視線を向けた。

「アル?」

 アルディアの行動を不思議に思ったルービィは、上方を見ながらそう呟く。

 ルービィの視線の先のアルディアはというと、銀のロッドを構えながら空中を飛んでいた。

「「!?」」

 突然空中に飛ぶアルディアの行動に、驚いた様子を見せるルービィ。

 そして、同じく驚いた様子を見せたのは、アルディアと交戦をしていたオキュペテであった。

 だが、アルディアはそんな両者の様子を気にもとめる事もなく、ただ一点を見つめ銀のロッドに魔力を纏わせる。そして、魔力を纏わせた銀のロッドを突き出し、アルディアの見つめる先、ケライノーに向けてリヒトゾイレを放った。

「!!」

 先までのルービィとの交戦で、怯んでいたケライノー。アルディアが放ったリヒトゾイレに気がついた時には時既に遅し。回避することもできず、その身はリヒトゾイレの光に包まれたのであった。

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