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聖女物語  作者: 野ウサギ座
Chapter2 東の大陸
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第57話

 バベルのフロアにて、四柱帝ラファエル配下のクリーチャー、アエロ、オキュペテ、ケライノーと交戦をしているアルディア達。

 3体の合体魔法『トリニティ』がエスメラルダに向けて放たれたものの、辛うじて回避をし助かったエスメラルダ。

 だが、アエロ達に背を向けていたところに、背後からケライノーの電撃光線を受け倒れるアルディア。そして続けて、ケライノーに向かって跳んで殴りかかったルービィもまた、オキュペテに腹部を蹴り上げられ、フロアに落下。倒れてしまったのであった。

 倒れたアルディアとルービィの治療をエスメラルダに任せるザフィーア。ザフィーアは単独で3体を相手にすることとなった……。


 ――――バベル内部

 アエロ達を睨みつけ、刀を構えるザフィーア。

 表情こそ変えていないものの、この不利な状況に、刀を握る手は強くなっていた。

「(理想としてはケライノーを躱しつつアエロを潰し、トリニティの発動を阻止することだが……)」

 ザフィーアは心の中でそう思いながら、ゆっくりと、視線を左から右へ、そして右から左へと移していった。

「(だが、この目論見は当然、向こうもわかっているだろうな……)」

 ザフィーアはそう思いながら、フーッと一呼吸する。

 ザフィーアの懸念は当然のことであった。お互いの魔法属性の手の内がわかっている以上、自身の属性と相性の良い属性の相手を狙い、相性の悪い属性の相手は躱すというのは、基本中の基本である。故に、相手もまた、同様の読みをするのは当然のことであった。

 一方で3体横並びで飛んでいるアエロ達は、そんなザフィーアの様子を不敵な笑みを浮かべながら見つめていた。

 ザフィーアは改めてアエロ達の方を向くと、3体を睨みつける。そして、それと同時に刀を突き出し、氷の突撃をアエロに向かって放った。

 だが、この攻撃をアエロは横に移動して回避。その突撃を戦闘再開の合図と言わんばかりに、アエロ達も動き出した。

 上部からまず、オキュペテがザフィーアに向かって接近してくる。そして、右足に氷の魔法を纏うと、ザフィーア目がけて蹴りを放った。その蹴りをザフィーアは刀で受け止める。

「(やはり、オキュペテが前に来たか)」

 オキュペテの蹴りを刀で受け止めながら、後方待機をするアエロ、ケライノーにも視線を向け、そう心の中で呟く。

 しかしながら、オキュペテが前衛として動いたこの動きは当然かつ合理的なもので、ザフィーアが水属性であることがわかっている以上、同属性のオキュペテが前衛に出て応戦するのが戦い方としてはベターなものである。

「(オキュペテを応戦しつつ、ケライノーの攻撃を警戒しないといけないな……)」

 ザフィーアはそう思うと、改めてケライノーに視線を向ける。

 すると、

「戦闘中によそ見?」

 オキュペテはそういうと、ザフィーアの顔面に冷気を吹きかける。

「くっ!」

 ケライノーに視線を向けていたところに、近距離で冷気を吹きかけられ、思わず目を閉じ後退するザフィーア。

 顔に冷気を吹きかけられ、目を閉じたままの状態となってしまうザフィーア。そこに、追い討ちをかけるかのように、ケライノーが魔法の玉をつくりザフィーアの上部に浮かべる。ケライノーがつくった魔法玉は、そのまま下に一直線に雷を落とした。

 ザフィーアに向かって落ちる雷属性の基本魔法『サンダー』。だが、ザフィーアはサンダーの魔法が放たれる音で自身に向かってサンダーを放たれる事を察し、横に転がり回避。辛うじてケライノーのサンダーを回避したのであった。

 しかしながら、そこに更に追い討ちをかけるかのように、今度はアエロが動く。横に転がった先のザフィーア目がけ、火炎放射を放った。

 アエロの放った火炎放射を、膝立ち状態のまま両腕で受けるザフィーア。しかしながら、アエロの火炎放射は容赦なくザフィーアを燃やし続けた。

 そんなザフィーアの様子を、アルディア達を治癒しながら見ていたエスメラルダは、

「ザフィ!!」

 と、思わず叫ぶ。

 だが、ザフィーアは、

「私は大丈夫だ! それよりもアルとルーを」

 と、アエロの炎を耐えながらエスメラルダに返した。

 ザフィーアの回答を聞いて、少し黙るエスメラルダ。だが、その後黙って首を縦に振ると、エスメラルダは引き続きアルディアとルービィの治療を続けた。

「ふふふ、無理しちゃって……」

 アエロはクスリと笑いながら、ザフィーアに火炎放射を浴びせ続ける。

 だが、ザフィーアは何も言わずアエロの攻撃を耐え続けていた。

 しばらくその状態が続くと、アエロも魔力が減ってきたのか、ザフィーアに向けて放っていた火炎放射の発動を止める。

 アエロの火炎放射が止まると、ザフィーアはそのまま、ゆっくりとその場で膝をついた。

「はぁ……はぁ……っく!」

 意識はあるものの、かなりのダメージを負っている様子のザフィーア。刀を支えにしながら息を切らしていた。

 そんなザフィーアの様子を見ていたアエロは、

「流石に、ガブリエルを倒しただけあって、耐久力もかなりのものね」

 と、評した。

「並の攻撃じゃあ、決定打には欠けるかしら?」

 続いてオキュペテが、軽く首を傾げながらそう言う。

「大技で、一撃で仕留める方がいいかしら?」

 ケライノーがアエロとオキュペテに提案するかのように、そう言う。

 ケライノーがそう言うと、アエロは

「そうね。それがよさそうね」

 と言うと、魔法の玉をつくりはじめた。

 アエロが魔法の玉をつくりはじめると、それに合わせてオキュペテ、ケライノーも魔法の玉をつくりはじめた。

 既視感のある魔法の玉を見たエスメラルダは、

「ザフィ、気をつけて! トリニティが来る!」

 と、ザフィーアに言葉をかける。

 だが、先のアエロの魔法攻撃によるダメージが残っているザフィーアに、エスメラルダの言葉は届かなかった。

 そんな中、アエロ達のつくる魔法の玉はどんどんと完成に近付いてくる。

「(まずい! このままじゃザフィが)」

 完成する魔法の玉を見て、焦る様子を見せる。

 一方で、ザフィーアはアエロ達のトリニティの魔法玉に気づくことはなかった。

 トリニティの発動を再び許してしまう、そんな状態だったその時。

「がっ!」

 突如、ケライノーの臀部に光の玉が直撃し、ケライノーにダメージを与える。

 死角からの攻撃に、ケライノーは思わず魔法玉の精製を止めてしまう。

 精製を中断してしまったことで、消滅してしまうケライノーの魔法玉。そして、臀部に攻撃を受けたケライノーは、そのままフロアへと落ちていった。

 そんなケライノーを見たアエロ、オキュペテは

「「ケライノー!?」」

 と、焦った様子でケライノーの名前を呼ぶ。

 フロアに落ちたケライノーは、よろけながらも身体を起こす。そして、前方へと視線を向けた。

 すると、先ほどケライノーに攻撃をした光の玉が、ゆっくりとケライノーの視線の前に下りてきた。そして、その光の玉が下りてきた場所には、銀のロッドを構えたアルディアの姿があった。

「貴女……!」

 ケライノーは立ち上がるアルディアの姿を睨みながら、そう言葉を漏らす。

「効くでしょ? 死角からの攻撃。さっきの、お返し」

 銀のロッドの先端に光の玉を浮かばせながら、そう言いケライノーを睨み返すアルディア。

 そんなアルディアの言葉と様子に、ケライノーは更に顔をしかめた。

「あの娘、復活してたのね」

 アエロはアルディアに視線を向け、そう言う。

「あのエメラルドグリーンの子の魔法かしら? あの坊やを先に潰すべきだったかしら?」

 オキュペテもアエロ同様、アルディアに視線を向けてそう言った。

 すると、

「余所見とは、随分と余裕だな」

 アエロ達の後方から突如、声が聞こえる。

 声に反応し振り返るアエロとオキュペテ。しかし、振り返った瞬間、アエロの上部に人影が現れた。

 そしてその人影は、そのままアエロの頭部に刀を振り下ろした。

 アエロに振り下ろされた刀の一閃は、そのままアエロを一刀両断。アエロの身体は綺麗に左右へと斬り分かれた。

「ザフィさん!」

 アエロを両断した人影にそう声をかけるアルディア。

 人影の正体、ザフィーアは、アエロを両断すると、そのまま刀を手にしフロアへと降り立ったのであった。

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