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聖女物語  作者: 野ウサギ座
Chapter2 東の大陸
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第54話

 バベル内部にて、アエロ、オキュペテ、ケライノーと接触したアルディア達。

 アエロ達は挨拶代わりの攻撃を1体ずつ放った後、合体魔法『トリニティ』を発動させようとした。

 しかしながら、突如アエロの背後に移動したアルディアが、光の刀身を成形した銀のロッドでアエロの翼を切り落とし阻止。翼を切り落とされたアエロは、魔法で翼を再生させ仕切り直したのであった。


 ――――バベル内部

「貴女……!」

 アルディアに切り落とされた左翼を復活させながらそう言うアエロ。

「アル、いつの間に?」

 気がつかないうちにアエロのところへ移動し、攻撃をしたアルディアを見て、エスメラルダはそう呟く。

 すると、今度は一瞬のうちにアルディアはエスメラルダの横へと移動した。

 突然自分の横に現れたアルディアに、エスメラルダは驚き

「うわっ! アル!!」

 と思わず叫んでしまった。

「驚かせちゃった? ごめんね」

 驚き、叫ぶエスメラルダに、アルディアは軽く謝る。

「いや、別に大丈夫だけど……」

 エスメラルダは驚きを残した表情のまま、そう返した。

「それにしても、アル。本当に強くなったね」

「魔法で刃を形成できるようになっているしな」

 先のアルディアの攻撃を見て、ルービィとザフィーアは思わず言葉を漏らす。

「ありがとう。カスティードのオーバードライブ修行のお陰でさ、魔法のコントロールができるようになって、こういう事もできるようになったんだ」

 アルディアはそう答えると、にこりと笑う。

「オーバードライブっていえば……、そのオーバードライブはまだ使わないの?」

「?使ってるよ」

「え!?」

 アルディアの回答に、驚き、思わずそう反応をするエスメラルダ。

 そして続けて、

「だって今、あの白いオーラ、出てなくない?」

 とアルディアに尋ねた。

「ああ、オーラね。あれもコントロールできるようになったんだ」

「え? じゃああの魔力、全部身体に取り込めるようになったってこと!?」

「ちょっと違うかな?」

「どういうこと?」

 アルディアの答えに、そう尋ねるエスメラルダ。

「どっちかというと、出力を抑えられるようになったって感じかな?」

「出力制御?」

「そう。コントロールできるレベルの出力に抑えること。だからオーラとして魔力が放出してないんだよ、今」

「そ、そんなことまでできるようになったんだ……」

 アルディアの言葉に、エスメラルダは驚きを隠せない様子であった。

「うん。だからさ、今の出力は大体1.2倍くらいかな?」

「1.2倍……、刻むなぁ」

 アルディアの説明に、エスメラルダはそう言葉を漏らした。

「ま、それでも身体能力は上がってるからさ。この距離なら直ぐに移動できるよ」

「まぁ、戦闘に役立つなら成功、かな?」

 アルディアの言葉に、エスメラルダはそう返したのであった。

 一方、翼を斬られたアエロは、

「不意打ちとはいえ……流石はガブリエルを倒した娘、というところかしら?」

 と、不敵に微笑みながらそう言う。

 だが、どことなく、不意打ちで攻撃を受けたこともあり、焦りを見せている様子でもあった。

「オーバードライブ。伝説の失敗魔法よね?」

 オキュペテは首を傾げながらそう言う。

「でも、油断はできないわね。如何せん、ガブリエルを倒したのも、あの魔法によるところみたいだし」

 ケライノーは両翼を組みながら、そう言った。

「なら、先に片付けるべきはやはり銀のロッドの娘……」

「そうね」

「それがよさそうね」

 アエロ、オキュペテ、ケライノーはそう言うと、それぞれ桃色の、水色の、そして黄色の瞳でアルディアの方を見つめた。

 視線がアルディアの方に向いている事に気づいたエスメラルダは、

「やっぱアルを狙ったか」

 と言った。

「まぁ、予想通りだろう」

 ザフィーアは刀を構え、そう言う。

「なら、あたしらはアルを守るように戦えばいいんだね!」

 ルービィはそう言うと、拳を構え炎を纏わせた。

「みんなありがとう。行こう!」

 アルディアはそう言うと、改めて銀のロッドを構え、自身を見つめてくるアエロ、オキュペテ、ケライノーを見つめ返した。

 アルディアが3体を見つめ返すと、

「ふふ、ならこれならどう?」

 アエロはそういうと、上にとびあがり両翼を広げる。そして、広げた翼を大きく一振りすると、炎の羽根を発生させた。

 アエロが発生させた炎の羽根は、無数の矢のようにフロアに立つアルディア達に襲いかかった。

 だが、アエロの放った羽根をザフィーアは刀で、ルービィは拳で次々と払い落とす。そして、無数の炎の羽根はザフィーアとルービィによって散らされ、火の粉として舞い散ったのであった。

「あら、やるわね」

 自身の放った炎の羽根を払い落としたザフィーアとルービィを見て、そう言うアエロ。しかしながら、アエロの言葉と表情は、どことなく余裕のある様子であった。

 そんなアエロの様子を見て、ルービィは

「あいつ、まだ余裕ありそうだね」

 と、息を整えながらそう言う。

「まぁ、大技ではなさそうだしな」

 ザフィーアも刀を構え直すとアエロの方を見つめ、そう言った。

「ところでさ、どうやって戦う? あいつら、トリニティとかいう合体魔法もあるんだよね?」

 息を整えるルービィとザフィーアの横から声をかけるエスメラルダ。

「そうだな。トリニティの魔法については注意する必要はあるな」

 横から声をかけてきたエスメラルダに対し、ザフィーアはそう返した。

「ま、どんな魔法かわからないから、注意って言われてもだけどね」

 今度はルービィが、軽く笑いながらそう言った。

「発動条件がわからないけど……。とりあえず3体が近寄れないようにしながら、1体ずつ倒せばいいんじゃないかな?」

 3者の横から、今度はアルディアが声をかけた。

「そうだな。各個撃破が一番の防止策かもしれんな」

 アルディアの発言に、ザフィーアはそう肯定した。

「各個撃破かぁ。……とりあえず僕は皆のサポートにまわればいいかな?」

 エスメラルダは苦笑いをしながら、そう言った。

「そうだな。私と、アルと、ルーがそれぞれ相手して近付かせないようにする。エスメは後方支援を頼む」

「了解」

 ザフィーアがそう言うと、エスメラルダが右手に持ったスタッフを前に構えた。

「それじゃあやることは決まったし……。行きますか!」

 ルービィはそう言うと、両手の拳を腰の位置に構え、炎を纏わせ戦闘態勢に入る。

「作戦会議は終わったのかしら?」

 オキュペテはクスリと笑いながら、アルディア達に尋ねる。

「ああ、待たせて悪かったな」

 ザフィーアは鼻で笑いながら、オキュペテにそう返した。

「レディを待たせたのだから、楽しませてくれるのでしょうね?」

 ケライノーはそう言うと、意地悪そうに微笑んだ。

 ケライノーの言葉を聞いたエスメラルダは、

「クリーチャーにレディとかいう概念あるの……?」

 と、乾いた笑いを浮かべながら、そう突っ込むのであった。

 そんなエスメラルダに、

「野暮なことをいうのね」

 と、少し右頬を膨らませながらそう言うケライノー。

 そしてケライノーは、

「私たちも、ラファエル様も、レディよ?」

 と言葉を続けた。

「ラファエルも女性型クリーチャーなのね……」

 ケライノーの言葉を聞いたエスメラルダは、またしもて乾いた笑いを浮かべながらそう返したのであった。

「どうでもいい情報、感謝する」

 ケライノーとエスメラルダのやりとりを断ち切るかのようにザフィーアはそう言うと、手に持った刀の柄を強く握る。

 そして、

「では、行かせてもらうぞ!」

 ザフィーアがそう言うと、アルディア達はアエロ達に向かっていったのであった。

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