第52話
天空宮に行くため、エメラルドドラゴンの力を借りにバベルを上ることになったアルディア達。
ルベンから小舟でバベルの建っている孤島に着き、バベルへと入った一同は、頂上を目指しバベルの内部を上り始めたのであった。
――――バベル内部
頂上を目指し、階段を上りはじめたアルディア達。
内部は老朽化して脆くなっている箇所もあったが、危ないながらも何とか最初のフロアへと到着した。
「とりあえず最初のフロアに着いたな」
最初のフロアに到着すると、ザフィーアがそう言う。
「この時点で既に足場が悪かったね……」
エスメラルダは苦笑いしながらそう言う。
「かなり老朽化しているからな。その点は気をつけるしかあるまい」
苦笑いするエスメラルダに、ザフィーアはそう返した。
一方、アルディアはというと
「やっぱこの先もあるんだね」
と、上を見ながらそう言う。
アルディアの視線の先には、入口でも目にした通りの天井が、またしても肉眼で確認できる高さに存在していた。
アルディアの言葉を聞いた一同は、アルディア同様、視線を上に移す。
「まぁ、予想通りだな」
ザフィーアは視線の先にある天井を見ながら、そう言う。
「当たってほしくなかった予想だけどね……」
エスメラルダは溜め息をつきながら、そう言う。
そして続けて、
「またあの危なっかしい階段を上るのかぁ~……」
そういうと、壁伝いに取り付けれている階段に、視線を移した。
「ま、頑張ってのぼろーよ」
ルービィはそう言うと、階段を上りはじめる。
「あ、まってよルーちゃん」
アルディアはそう言うと、ルービィを追うように階段を上りはじめた。
「アル、ルー……」
先に上るアルディアとルービィを見つめ、そう呟くエスメラルダ。
そんなエスメラルダに、
「……我々も行こう」
と、ザフィーアは声をかけた。
ザフィーアの言葉に何も言わず頷くエスメラルダ。そしてエスメラルダとザフィーアの両者はアルディアとルービィの後を追うように階段を上りはじめたのであった。
頂上を目指し、引き続き塔を上るアルディア達。
塔の内部構造は大きく異なるところはなく、ひたすら壁面に設置された階段を上り、フロアに到着、また壁面に設置された階段を上る、という繰り返しであった。
道中、クリーチャーとの遭遇もあり、場合によっては足場の悪い階段での戦闘もあった。だが、クリーチャー自体はそこまで強力なものではなく、また、数も少ない為、今のアルディア達にとっては苦もなく対処できる相手であった。
そんな調子でどんどんと上に上っていくアルディア達。そして、道中のとあるフロアに到着したところで、少し足を止めた。
「ここで少し、休憩しよう」
ザフィーアはそう言うと、フロアに腰をかける。
「上り始めて、どれくらい時間が経ったのかな?」
アルディアも腰をかけると、そう尋ねる。
「外の様子わからないから、昼か夜かわからないよねぇ」
アルディアの問いかけに同調するかのように、ルービィもそう言う。
すると、エスメラルダが懐から懐中時計を取り出し、
「結構時間は経ってるね」
と言った。
「実感がわかないけど、やっぱり時間経ってるんだね」
エスメラルダの言葉に、アルディアはそのように反応をした。
「キャンプできる準備をしてきて正解だったな。完全に、1日で上りきれる場所じゃない」
ザフィーアはふーっと一息をつき、そう言う。
「こんなクリーチャーのいるダンジョン内でキャンプかぁ」
エスメラルダは溜め息をつきながら、そう言った。
「ま、でもそんなに強いクリーチャーじゃなかったけどね」
溜め息をつくエスメラルダに、ルービィはそう言う。
「四柱帝のクリーチャーという感じではなさそうだったな。恐らく、迷い込んだただの野良クリーチャーなのだろう」
ザフィーアはそういうと、携帯食料を鞄から取り出し、アルディア達に配った。
そして食料を配り終えると、続けて
「とりあえず交代しがてら休息をとり、それで先に進もう。これだけの高さの塔を、休みなしで進むのは、それこそ命取りだ」
と言った。
「まぁ、そうだよねぇ」
エスメラルダはそう言うと、受け取った食料の梱包を開け口へと運んだ。
「焦らず、ゆっくりと進むしかないって事だね」
アルディアはそう言うと、両手に持った携帯食料を勢いよく食べ始めた。
こうして、一同は塔内のフロアにて、しばしの休息を取ることとした。
食事を取り、仮眠を取り、再び上り始めるアルディア達。
今まで来た道のりと同じような、壁面の階段を上り、道中のフロアに到着し、また壁面の階段を上る、を繰り返すのであった。
道中、塔の内部劣化により、危険な箇所もあった。
「うわっ!」
エスメラルダが壁面の階段の一段を踏んだ時であった。エスメラルダが踏んだ段が外れ、そのまま下へと落ちていった。
「エスメ、大丈夫か?」
咄嗟に後ろに下がったエスメラルダの身体を支え、そう言うザフィーア。
「ザフィ……、助かったよ」
エスメラルダは冷や汗を流しながら、ザフィーアにお礼を言った。
「道中でも思っていたが……至る所が劣化しているな」
「でもだからって、階段が外れる程劣化してるとは流石に思わなかったけどね」
「劣化して外れる可能性もあるんだな。その辺りも気をつける必要がありそうだな」
「はぁ……そうだね」
エスメラルダがそういうと、エスメラルダは落ちた段差を飛ばし、上の段へと移動する。
エスメラルダの後ろを歩いていたザフィーアも、落ちた段差を飛ばし、上へと移動。そのまま進み、次のフロアに到着した。
フロアに到着すると、休憩を取る一同。
休憩中、エスメラルダは先ほどの出来事をアルディアとルービィにも話をした。
「階段、落ちたんだ……」
エスメラルダの話を聞き、言葉を漏らすアルディア。
「ほんと、色々とボロボロな塔だよねぇ」
ルービィもまた、エスメラルダの話を聞き、そう言った。
アルディアは壁面に向かって歩くと、
「壁も壊れてるもんね。ほらここ、外の景色見えるし」
と、外を見ながらそう言った。
「うわ、本当に見える。どんなけボロボロなの……」
エスメラルダはアルディアの横に並び、外の景色を見て、そう言う。
「雲、下に見えるね」
「結構な高さまで上った証拠だよ」
外の景色を見ながら、そのような会話をするアルディアとエスメラルダ。
アルディアの言うとおり、外の景色は青空が広がっており、下の方に雲が広がっていた。この景色が、アルディア達がかなりの高さまで上っている事を物語っていた。
「塔の中をずっと上ってるだけだったから、高さの実感は湧かないけどね」
「それはそう」
アルディアの言葉にエスメラルダはそう返すと、両者は共に軽く笑った。
横並びになり、他愛ない会話をしながら外の景色を見ているアルディアとエスメラルダ。すると、青く広がる景色の遠くに、何かがちらりと見えた。
「?なんだろ、あれ」
「え? どれ?」
ちらりと見える物を指差し、そういうアルディア。そして、アルディアが指を指した先を見つめるエスメラルダ。
僅かに見えた物は、肉眼では正体がわからないものの、どんどんとこちらへと近付いてきていることは確認できる。
「なんか、近付いてきてるね」
「鳥かな?」
近付いてきている物を見ながら、そう言うエスメラルダとアルディア。
一方、近付いてきているその物は、更にバベルへと近付いてくる。そして、一定の距離まで近付いてきたあたりで、それは複数であることも確認できた。
「どんどん、近付いてきている……」
「っていうかさ、アレ、クリーチャーじゃない?」
どんどんと近付いてくる物を見ながらそう言うアルディアとエスメラルダ。
そんな会話をしている最中でも、それはどんどんどんどんとバベルの、アルディア達がいる層へと猛スピードで近付いてくる。
そして、近付いてきたそれは、そのままバベル壁面の穴から猛スピードで侵入。外の様子を見ていたアルディアとエスメラルダは、その勢いに思わず吹き飛ばされてしまった。
「わっ!」
「うわっ!」
吹き飛ばされた勢いで、地面に叩きつけられるアルディアとエスメラルダ。
「アル!? エスメ!?」
「何事だ!?」
吹き飛ばされたアルディアとエスメラルダに、ルービィとザフィーアは言葉をかけながら両者の下へと駆け寄る。
「いたたた……」
アルディアはお尻をさすりながら、起き上がる。
「外から侵入者が……」
エスメラルダも起き上がりながら、そう言った。
「侵入者?」
エスメラルダの言葉にそう返すザフィーア。
すると、
「とうとう見つけた、銀のロッドの娘……」
ザフィーアの後ろから、アルディア達とは別の声が聞こえた。
その声を聞いたザフィーアは、素早く後ろに振り向く。すると、視線の先には、3体のクリーチャーがフロア上部に滞空しながらアルディア達の方を見ていた。
「誰?」
「銀のロッドの娘って。アルのこと、知ってるみたいだけど……」
アルディアとエスメラルダは、初めて見るそのクリーチャー達に、そのように反応をする。
一方、ルービィとザフィーアはそれぞれ拳を構え、刀に手をかけた。
「あの鳥形のクリーチャー……、ハインの時に居た奴!」
「ああ、覚えているぞ! アエロ! オキュペテ! ケライノー!」




