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聖女物語  作者: 野ウサギ座
Chapter1 北の大陸
29/43

第28話

 ガブリエルとの戦いに勝利したアルディア達。

 海底城を後にし、メリュジーヌの案内で一同はカスティードまで戻った。

 そして、アルディア達がカスティードに戻り、数日が経過した……。


 ―――カスティード宮殿・ゲストルーム

「!!」

 カスティード宮殿ゲストルームのベッドの上で目を覚ますアルディア。

 最後に見ていた海底城と大きく異なる景色と、着ている服が明らかに上質なものになっている事に、アルディアはベッドの上で少し戸惑っていた。

 すると、そんな所にカスティードのメイドがアルディアの様子を見に、部屋に入ってきた。

「!アルディア様、目を覚まされたのですね!?」

「え、はぁ……」

 メイドの驚いた様子の声かけに、状況が理解できず更に戸惑うアルディア。

 現状を理解するために、アルディアはメイドに対し、今の状況を尋ねた。

「ごめんなさい。私、海底城に居たと思うんですけど……」

「ええ、勿論知っていますよ!」

 アルディアの問いかけにメイドはそう答える。

 そして続けて、

「まさかあの四柱帝を倒されて戻られたなんて……。数日間眠られたままでしたが、本当にご無事で……」

 と、涙を流しながらそう話した。

「四柱帝を倒した? 誰が?」

「勿論、アルディア様ですよ!」

「え゛!? 私が!?」

 メイドからそう言われ、驚きのあまり大きな声を出すアルディア。

「ええ。海底城から戻られた際、ザフィーア様からそのように伺っておりますよ」

「嘘でしょ……?」

 メイドから真実である旨を聞かされるも、いまいち実感の湧かないアルディア。

 3度目のオーバードライブ発動後、リヒトゾイレをガブリエルに向かって放ったところまでは覚えているものの、それ以降については気を失っており、ガブリエルの消滅を自身の目では確認していないアルディアにとって、目を覚まして直ぐに自身がガブリエルを倒したという話を聞いても、にわかに信じがたい話ではあった。

 すると、アルディアの部屋の扉をコンコンコン、とノックをする音は聞こえた。

「どうぞ」

 ノックの音に対し、メイドがそう答える。

「失礼します」

 そう言いながらアルディアの部屋に入ってきたのは、ガトーであった。

「ガトー様!?」

 突然訪れたガトーに思わず驚き、立ち上がるメイド。

 ガトーはメイドに向かって手のひらを出し、

「いえ、そのままで結構ですよ」

 と言う。

 そしてそのまま、アルディアのところへ歩み寄ると、

「数日間眠ったままと聞いていましたが、丁度目を覚まされたようで」

 と話かけた。

 そして続けて、

「まずはご無事で何よりです。さて、積もる話もありますが、1時間ほどしましたらお食事の時間でございます。その際、伺うとして、先ずはそれまでの間、数日間何も召し上がっていないでしょうから、菓子でもつまんでお待ちいただけますかな」

 そう言うと、アルディアのベッドサイドにあるテーブルに、紅茶の入ったティーカップ、角砂糖、そしてジャムのかかったスコーンの皿を置いた。

 その菓子を見てメイドは、

「ガトー様、そのスコーンはエクレール様用の……」

 と言葉を漏らす。

「構いませんよ。なにせアルディア殿はかの四柱帝の一柱、海帝ガブリエルを倒された英雄なのですからね」

 メイドの言葉を遮るようにそう返すガトー。

 そして、アルディアに紅茶と菓子を出すと、皿が乗っていた銀のトレイを持ったまま、

「では、失礼いたします」

 と一礼をし、アルディアの部屋を後にしたのであった。

「英雄……、英雄……?」

 ガトーの言葉に、やはり違和感を覚えるアルディア。

「とりあえず、お菓子でも召し上がったください」

 メイドはアルディアにガトーが用意した菓子を勧める。

 アルディアは一礼をし、紅茶に角砂糖を5個ほど入れ、かき混ぜるとゆっくりと紅茶を飲み、スコーンを一口、食べるのであった。

「おいしい!」

 スコーンを口にしたアルディアは思わず言葉を漏らす。

 そして、角砂糖をたくさん入れた紅茶をまた更に一口飲み、甘い紅茶に思わず笑みを浮かべた。

「甘いもの、お好きなんですか?」

 甘い紅茶で笑みを浮かべるアルディアに、そう尋ねるメイド。

「あ、はい。昔からすごく甘いものが好きで……」

 アルディアはちょっと恥ずかしそうに、そう答えた。

 そんなアルディアの姿を見て、メイドは優しく微笑み、

「まだお食事までのお時間はありますから、ゆっくり召し上がってください」

 とアルディアに声をかけたのであった。


 ―――1時間後、カスティード宮殿・食堂

 アルディアが目を覚ましてから小一時間ほど経過した頃。

 食事の用意が出来たとの事で、アルディアは食堂へと呼ばれた。

 食堂には既にエスメラルダ、ルービィ、ザフィーアと、そしてエクレールが待っており、アルディアが着席すると、テーブルに食事が並べ始められ、食事の時間が始まったのであった。

「ガツッガツッガツッガツッ」

 テーブルに並べられた食事を次々と、豪快に食べていくルービィ。

 横には次々と空いた皿が積まれていった。

 そして、ルービィほど豪快ではないものの、アルディアも次々と食べ進めていく。

 その食欲は、とても小一時間ほど前に数日ぶりに目を覚ました者のものではなかった。

 そんな両者の食事を、あぜんとした様子で見ているエスメラルダ。

 ルービィとアルディアの様子にあぜんとし、食事の手が止まっていたエスメラルダに対し、ガトーは思わず、

「お口に合いませんでしたかな?」

 と尋ねる。

「いや、そういうわけでは……」

 突然声をかけられたエスメラルダは、驚きつつも苦笑いをしながらそう答えた。

 そんなエスメラルダの様子を見て、ザフィーアは

「まぁ、わかる……」

 と言いながら、食事をフォークで口に運ぶのであった。

「皆さん、食事をしながらで結構ですのでよろしいですか?」

 食事をしている一同に、声をかけるエクレール。

 一同は食事をしながら、エクレールの方を向く。

 自身の方に顔が向いた事を確認したエクレールは、

「まずは四柱帝ガブリエルを倒していただいたこと、カスティードの女王として、この世界に生きる一人の人として、お礼申し上げます。本当にありがとうございます」

 そう言うと、頭を下げるエクレール。

「よろしいのですか? エクレール様」

 頭を下げるエクレールに、そう尋ねるガトー。

「構いません。彼女たちはこの3年間、誰もが成し遂げることが出来ず、諦めていた四柱帝の一柱を倒したのです。感謝してもしきれません」

「仰るとおりですね。失礼しました」

 エクレールの言葉にそう返すと、ボウアンドスクレープをするガトー。

 そしてアルディア達の方を再び見ると、

「さて、貴女たちが四柱帝の一柱を倒したという事は、そんなに遅くないうちに世界中に広まるでしょう。勿論、四柱帝をこの世界に呼び寄せた、ルクレツィア教皇の耳にも……」

「まぁ、そうでしょうな」

 ザフィーアは手に持っていたナイフとフォークを置き、エクレールの言葉にそう返した。

「ニルヴァーナ側が今後、どのように出てくるかはわかりかねます。そしてまだ、四柱帝は三柱残っているのも事実。私たちは貴女方を全力で支援するつもりですが、貴女方は今後、どうされるおつもりですか?」

 エクレールはアルディア達に、今後の予定を尋ねる。

「そうですね……」

 ザフィーアはそう言うと、紅茶を飲み、一息つく。

 そして、

「アルディアも目を覚ましたばかりですし、休息と情報収集も兼ねてとりあえず一月ほどこちらでお世話になれればと思っております。その後は、一度、東の大陸に戻ろうと思っております」

 と答えた。

 ザフィーアの言葉に、

「わかりました」

 と答えるエクレール。

 そして、

「皆様が当国にいらっしゃる間は、こちらでお世話いたします。今度は志願兵ではなく、四柱帝を倒した英雄と、して」

 と、アルディア達に伝えた。

「ありがとうございます」

 エクレールの言葉に、一同を代表し礼を言うザフィーア。

「さて、野暮は話はこれくらいにして、食事を続けましょうか。折角の食事が冷めてしまいますからね」

 エクレールはそう言うと、話を切り上げ、ナイフとフォークを手に持った。

 しかしながら、エクレールの話の最中も、お構いなしに食事を続けていたルービィとアルディアを見ていたエスメラルダは、

(ルービィとアルディア、これ以上まだ食べるつもりなのかな……)

 と、心の中で呟くのであった。

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