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聖女物語  作者: 野ウサギ座
Chapter1 北の大陸
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第25話

 ルービィに直撃しそうになったサイクロンを、レイの魔法で相殺させたアルディア。

 身体から滾っている白いオーラから、ようやくオーバードライブを発動させるほどに体力、魔力が戻ったのであろう。

 サイクロンの魔法を相殺されたガブリエルは、今度は右手に溜めていたサイクロンをアルディアに向けて放つ。だが、これも先のサイクロンと同様、アルディアの放つレイによって相殺されてしまったのであった。

「アルディア……」

「ようやく魔力も戻ったんだ……」

「これで少しは希望が持てたか?」

 オーバードライブを発動させるアルディアを見て、それぞれ口にするルービィ、エスメラルダ、ザフィーア。

 一方、ガブリエルは、

「ふん、ようやく復活したか」

 と、アルディアに話しかける。

 だが、アルディアはそんなガブリエルの言葉に何も返さず、ただ、銀のロッドを前に構え、応戦態勢を取った。

 そんなアルディアを見たガブリエルは、右手に持っている槍を自身の上部で振り回し、少しの間回し続けた後、アルディアに向かって槍を突いた。

 だが、この攻撃をアルディアは回避。姿を消したかのような回避をしたアルディアは、その後、ガブリエルの後方上部に姿を現し、銀のロッドを振るい光の玉をガブリエルの後頭部にぶつける。

 後頭部に光の玉をぶつけられたガブリエルは、頭から前面に倒れ込む。

 だが、直ぐに態勢を立て直し、アルディアの方へ視線と身体を向けた。

「流石だな」

 ガブリエルはアルディアに声をかける。

「オーバードライブによる身体強化の恩恵で、その消えるかのような移動を可能にしているのか。そして、それを実現できるだけの基礎身体能力。それをお前のような小娘が持っているとはな」

 引き続きアルディアにそのように話をするガブリエル。

 だが、アルディアはそんなガブリエルの話に特に返答をすることはなかった。

「だが、先ほどから距離の長い移動しかしていない辺り、身体能力強化のコントロールが出来ていないのも事実なのだろう?」

「?何が言いたいの」

 ガブリエルの話に、ようやく返答をするアルディア。

「不完全な状態で俺の下に来たのは間違いだったという事だ!」

 ガブリエルはそういうと、左手の人差し指からアルディア目がけ水鉄砲を発射する。

 不意打ちであること、そして先ほどまでの魔法と比べても速度の速いその魔法に、回避が間に合わず防御態勢を取って受けるアルディア。防御したとはいえ、速度も相まってアルディアは大きく後方へ押し出された。

「アルディア!」

 水鉄砲の魔法を受けたアルディアを見て、思わず声をかけるエスメラルダ。

「大丈夫、威力は大したことないから」

 アルディアはガブリエルの方を見たまま、エスメラルダにそう答えた。

 ガブリエルはまた人差し指をアルディアに向けて、水鉄砲の魔法を放つ。

 だが、アルディアは銀のロッドからレイの魔法を放ち、今度は水鉄砲を相殺させた。

 水鉄砲の魔法を相殺されたガブリエルは、今度は両手の人差し指より、水鉄砲の魔法を連射する。

 その魔法を、アルディアはレイの魔法で相殺をさせ続けた。

 ひたすら水鉄砲を連射するガブリエル。ガブリエルの放つ水鉄砲をレイで相殺し続けるアルディア。両者はそんな魔法の応酬を応酬を繰り広げていた。

 一歩も引かない、しかしながら攻撃も入らない状態が続いている両者。しかしながら、

「ふふふふふ」

 水鉄砲を放ちながら笑いはじめるガブリエル。

「均衡しているようだが、オーバードライブ状態でいつまで持つかな?」

「……」

 水鉄砲を連射しながらそう話しかけるガブリエル。そんなガブリエルの言葉に、アルディアは何も返さずただただレイの魔法で相殺を続けるのであった。

「ザフィーア……」

「むぅ……」

 オーバードライブ状態をただただ消耗しているだけの状況に、思わずザフィーアに声をかけるエスメラルダ。

 だが、ザフィーアも目の前の状況に下手に手を出せないと思ったのだろう。言葉を詰まらせた返事をしただけであった。

 すると、二人を横目に、無言で一歩前に出るルービィ。

 ルービィは一歩前に出ると、左腰付近で両手を合わせ、魔力を溜めた。

 そして、魔力が溜まるとガブリエルに向かって火炎砲を放った。

 ルービィの放った火炎砲は、ガブリエルの右横顔に衝突。ダメージこそ与えられなかったものの、横から飛んできたその攻撃にガブリエルは思わずルービィの方へ視線を向けた。

 そして、このわずかな隙をアルディアは見逃さなかった。ガブリエルの意識が逸れた事で水鉄砲の連射に隙が出来、その間にアルディアはガブリエルの正面から左へわずかに移動。その後、ガブリエルの腹部へリヒトゾイレを放つ。アルディアから意識を逸らした状態からのリヒトゾイレを受けたガブリエルはそのまま後方へと吹き飛んだ。

 決定打とは言えないものの、ガブリエルに有効打を与えられた事に一同はわずかに希望を抱いた。

 一方、ガブリエルはというと、リヒトゾイレを受け、吹き飛ばされた先で態勢を立て直し起き上がる。そして、ゆらりと泳ぎ、アルディア達の方へと近づいた。

「……」

 何も言わずアルディア達の方を睨みつけるガブリエル。だが、流石に先の攻撃で怒りを感じているのは表情から見てわかる程ではあった。

 いよいよ怒らせたガブリエルがどのような行動に出るのか。相手の出方を伺いながら、応戦の構えを取るアルディア。

 するとガブリエルは、手に持っていた槍を両手で自分の前に構えた。

「あの構え……」

 見覚えのある構えを見たザフィーアは、嫌な予感がよぎりそう言葉を漏らす。

 ザフィーアの嫌な予感は当たっており、槍を目の前に構えたガブリエルは、魔力を溜め始めると、どんどんとガブリエルの下部から水が湧き出てきた。

 湧き出した水はガブリエルをどんどんと上昇させ、部屋の天井付近まで押し上げていく。ザフィーアの悪い予感は的中、ガブリエルはタイダルウェーブを放とうとしていたのであった。

「オーバードライブごときの強化で、随分と調子に乗ってくれたな」

 魔力で作り出した水で天井付近まで上昇したガブリエルは、アルディアを見下ろしそう言う。

 そして続けて、

「だが、これで終いだ!」

 そういうと、右手で槍を持ち上にあげる。そして、上にあげた右手を振り下ろし、ガブリエルは自身の作り出した水を津波としてアルディア達に向けて放った。

「しまった!」

「タイダルウェーブ!」

「ど、どうしよう!」

 ガブリエルの放ったタイダルウェーブを目の当たりにしたザフィーア、ルービィ、エスメラルダはそれぞれ言葉を口にする。

 するとアルディアは

「皆、私の後ろに下がって」

 と一同に言う。

 三者はアルディアに言われた通りアルディアの後ろへと移動した。

 アルディアは、銀のロッドを両手で強く持つと、大きく振りかぶり、巨大なレイをガブリエルが起こしたタイダルウェーブへと放つ。

 アルディアの放ったレイは、ガブリエルのタイダルウェーブに衝突すると、そのまま襲いかかるタイダルウェーブの勢いを止め、均衡状態へと持っていった。

「貴様……」

 ガブリエルはタイダルウェーブを止めたアルディアを睨みつけると、槍を持っている右手を強く握り、タイダルウェーブへ魔力を更に送る。

 アルディアも銀のロッドを更に強く握り、レイへ魔力を送り、更に威力を増加させる。

 アルディア、ガブリエル両者とも、自身の放った魔法にどんどんと魔力を送る。

 それにより、両者の魔法は更に勢いを増していき、魔法同士の激突はどんどんと激しさを増していく。

 共に一歩も引かない状態の魔法激突はそのまま続いていく。

「うわあぁぁぁぁぁ!」

「おおおぉぉぉぉぉ!」

 アルディア、ガブリエルは手に持っている武器を更に更に強く握り、魔法の威力を増し続けていく。

 更に更に勢いの増す両者の魔法による激突は、いよいよ魔力衝突による衝撃波すら発生させ、部屋の装飾や壁面等にひびが入り始めた。

 アルディアの後ろに隠れていたエスメラルダ達も、この衝撃波に、吹き飛ばされないようその場にとどまっている事で精一杯の状態であった。

 そんな両者の魔法衝突だが、いよいよ決着がつく。勢いを増し続け激突していた魔法は、突然、双方とも霧散し、消滅をした。両者均衡のまま相殺という結果となったのであった。

「タイダルウェーブを、止めたのか……?」

 タイダルウェーブを相殺した結果を見て、思わずそう口にするザフィーア。

「すごいや……、アルディア」

 エスメラルダもまた、タイダルウェーブを相殺させたアルディアに対し、驚きの表情を浮かべながらそう言った。

 だが、タイダルウェーブを相殺させたアルディアは、その相殺に魔力を全て注いでしまっていた。

 タイダルウェーブ相殺と同時に、アルディアのオーバードライブは効果が切れてしまったのであった……。

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