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聖女物語  作者: 野ウサギ座
Chapter1 北の大陸
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第18話

 海底城の大広間にてトリトン、ポセイドンと交戦をしているアルディア達。

 戦闘開始後、暫くは均衡状態であったが、トリトン、ポセイドン2体による魔法『サイクロン』により、状況は一変。決定打に欠けるアルディア達が不利な状況になってしまった。


 ―――海底城・大広間

「ルービィ、大丈夫?」

 サイクロンの魔法で顔や身体に切り傷を負ったルービィを心配するかのように、声をかけるアルディア。

「ありがと。大丈夫だよ!」

 心配するアルディアに顔の血を拭き両腕でガッツポーズをしながらそう答えるルービィ。

「だけど流石に何度も食らったらキツいよ、これ」

 空元気な返事をするルービィの横で、エスメラルダは苦い表情を浮かべながらそう言う。

「だが、幸いにも突破口はないわけではない」

 ザフィーアはアルディア達の方を見て、そう言う。

「突破口?」

 アルディアはザフィーアに尋ねる。

「ああ、あのサイクロンという魔法。確かに強力ではあるが、発動にあたり何点か特徴がある。まず、発動までに時間がかかるという点。発動にあたり水の環を作るための動作があっただろう? あれは直ぐには発動できない証拠だ。そして、あの水の環をつくるのに2体が同じ動作をしなければならないという点。つまり、1体だけでも足止めできればサイクロンは発動できない、というわけだ」

「なるほど……」

 ザフィーアの説明に納得をするアルディア。

 すると、

「だが、それがわかったところで止めることができるのか?」

 と、ポセイドンがアルディア達に尋ねてきた。

 急に会話に入ってきたポセイドンに、エスメラルダは思わず

「うわっ!」

 と驚き、言葉を漏らす。だが、その後続けて

「確かに、言うは易し、だけど……」

 と弱気な発言をするのであった。

 すると今度は横からルービィが、

「でも、止めなきゃこっちがやられるだけでしょ?」

 とエスメラルダに声をかける。

 またしても突然声をかけられたエスメラルダは再び

「うわっ!」

 と驚くものの、

「まぁ、そうだよね~」

 と、答えるのであった。

「だが、具体的な術がないもの事実……」

 ザフィーアは顎に手を当ててそう呟く。

 すると、

「あの、私に少し任せてもらってもいいかな?」

 とアルディアが声をかけた。

「アルディア、何か策があるのか?」

 ザフィーアはアルディアに尋ねる。

「うん。1つ、試してみたい魔法があって……」

「試してみたい、なんだ……」

 アルディアの言葉に脳裏に不安が過り、思わずそう口にしてしまうエスメラルダ。

「だが、他に策がないのも事実……」

「まぁ、そうだけど……」

 ザフィーアの言葉にそう答えるエスメラルダ。

「じゃあ、アルディアの方法で決まりだね!」

 ルービィは手のひらをパンッ、と叩き、そう言う。

 ザフィーアも、

「そうだな」

 と、ルービィの意見に賛同。

 そして続けてアルディアの方を見て、

「して、具体的には何をするんだ?」

 と、アルディアに尋ねた。

 アルディアは、

「うん。少し魔力を溜めるのに時間がかかるから、ちょっと時間が欲しいかな」

 とザフィーアに答えた。

 ザフィーアは

「わかった」

 と答えた。

 そして、刀を構えると、

「では、我々は魔力が溜め終わるまで、時間を稼げばいいんだな」

 とアルディアに言ったのであった。

「時間稼ぎだね。OK!」

 ザフィーアに続き、ルービィもそう言うと、拳を構えた。

「時間稼ぎか。わかったよ」

 先ほどまで弱気な発言が続いていたエスメラルダもそう言うと、スタッフを構え、サポート態勢に入った。

 ザフィーア、ルービィ、エスメラルダの反応を見たアルディアは、

「ありがとう」

 とお礼を言う。

 そしてお礼を言うと、早速魔力を溜める態勢に入ったのであった。

 そんなアルディア達の様子を見たトリトン、ポセイドンは

「?何か我らを止める策があるようだな」

「だが、我らがそれに付き合う理由はないな」

 と言うと、再び、サイクロンの魔法を放つため、円を描き泳ぎ始めた。

「来た!」

 トリトン、ポセイドンの動きを見てエスメラルダがそう言う。

「アルディアが準備できるまで時間を稼ぐぞ、ルービィ」

「OK!」

 ザフィーアがそう言い、ルービィが返事をすると、両者はそれぞれ刀、拳に魔力を宿し、トリトン、ポセイドンに向かって駆け寄った。

 そして、それに合わせて、エスメラルダもサポートの態勢に入った。

「あの2体を止めるために、攻撃補助の魔法を展開するよ。だから特にルービィ、攻撃には気をつけて!」

「OK」

 エスメラルダの注意に、二つ返事で反応するルービィ。

 エスメラルダは注意事項を伝えるだけ伝えると、攻撃補助魔法の紋様ルーンを展開した。

 サイクロンの魔法を発動させるため、円を描き泳いでいるトリトン、ポセイドンに駆け寄ったザフィーアとルービィは、トリトン、ポセイドンに接近すると、早速それぞれに攻撃を仕掛ける。

 しかし、

「!?」

「うわっ!」

 魔法発動のため、泳いでいるトリトン、ポセイドンにザフィーア、ルービィの攻撃は弾かれてしまった。

「どういうこと? 僕の魔法で攻撃強化してるのに……」

 トリトン、ポセイドンに攻撃を弾かれてしまったザフィーア、ルービィの様子を見て、思わず言葉を漏らしてしまうエスメラルダ。

「くそっ。魔力負けしたか……」

 弾かれて崩れた姿勢を立て直しつつ、そう言うザフィーア。

「魔力負け? どういうこと?」

 ザフィーアの発言を聞いたエスメラルダは、ザフィーアに尋ねる。

「あの遊泳、魔法発動の為のものだろう。だから魔力を纏った状態だった。それだけの話だったんだ。失念してたがな」

「成る程。でも僕の魔法で補助をした状態の攻撃でも負けるなんて……」

 エスメラルダはザフィーアの説明を聞き、納得はするものの、自分の補助を受けた状態のザフィーア、ルービィの攻撃が弾かれてしまった事に、少なからずショックを受けている様子であった。

「だが、とにかくアルディアの準備が終わるまで足止めする必要があるだろう。とにかくやるぞ」

 ザフィーアはエスメラルダにそう言うと、刀を構え、また、トリトン、ポセイドンに向かっていった。

 そして、ルービィもまた、手足に炎を纏い、トリトン、ポセイドンに向かっていった。

 トリトン、ポセイドンはというと、自身に向かってくるザフィーア、ルービィに構うことなく、サイクロンの魔法発動のための遊泳を続けていた。

「とりあえず片方だけでも止められればいい。私に続けルービィ」

 ザフィーアはルービィにそう言うと、刀に魔力を纏い、氷の刃を作り出し、ポセイドンに向かって刀を振り下ろす。

「OK!」

 ルービィはそう答えると、ザフィーアの攻撃に合わせ、彼女もまた、ポセイドンに向かって炎を纏った両手の拳で殴りかかった。

 エスメラルダの魔法による補助に加え、先ほどよりも強力な両者の攻撃。しかしながら、今回の攻撃もまた、弾かれてしまった。

「くそっ、ダメか……」

 攻撃が弾かれバランスを崩した状態で、そう呟くザフィーア。

 そんなザフィーア、ルービィを見てエスメラルダは、

「アルディア、まだかかりそう?」

 とアルディアに尋ねる。

「ごめん、もう少し……」

 アルディアは申し訳なさそうに、そして焦りを見せた表情で魔力を溜めながら、エスメラルダにそう答えた。

 そんなやりとりをしていると、トリトン、ポセイドンの遊泳からどんどん水の環が出来はじめ、今にも魔法が発動しそうな状態にまでなっていた。

「!やばい」

 水の環が出来ている事を確認したエスメラルダは、攻撃補助の紋様ルーンを解除。急いで水属性防御の紋様ルーンを殴り描き、水属性防御の魔法を展開する。

 だが、エスメラルダが水属性防御魔法を展開するのと同時くらいに、トリトン、ポセイドンもサイクロンの魔法を発動。アルディア達はとうとう2回目のサイクロンの魔法発動を許してしまったのであった。

 サイクロンの魔法を発動させると、トリトン、ポセイドンは遊泳を止め、魔法を受け倒れているアルディア達の方を見る。

 一方、アルディア達は、間一髪エスメラルダの魔法が間に合い、被害としては1回目の魔法を受けた時と同じような状態であった。

 しかしながら、魔法展開により防御態勢をとれなかったエスメラルダは受け身を上手くとれず、地面に倒れ込んだまま、うめき声を上げていた。

 そして、水属性が弱点のルービィはというと、1回目の時でも切り傷を負っていたが、今回の魔法で更に傷を増やし、更に青く血まみれになっていた。

「アル……ディア~~……」

 エスメラルダはうめき声を上げながら、アルディアの名前を呼ぶ。

 アルディアは、

「ごめんね……お待たせ」

 というと、ゆらりと立ち上がる。

 そして、溜めた魔力を使い、魔法を発動させた。

「……オーバードライブ」

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