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聖女物語  作者: 野ウサギ座
Chapter1 北の大陸
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第10話

 カスティード国北の海岸に現れた海帝ガブリエルのクリーチャー軍団。

 ザフィーア達の活躍により、カスティード軍は従来までとは比べものにならないくらいの戦果を挙げていた。

 しかしながら、それ故にガブリエルの側近であるトリトン、ポセイドンという強大な2体のクリーチャー、そして海帝ガブリエルまでもが、一同の前に現れる事態にまでなった。


 ―――戦場・前線にて

「あれが……四柱帝『海帝ガブリエル』」

「なんかでっかい鯨の尾びれした人って感じだけどねー」

 四柱帝ガブリエルを前に、そのように口にするザフィーアとルービィ。

 他の前衛の兵士、傭兵達も、初めて見る四柱帝の姿に、トリトンやポセイドンが出てきた時以上に動揺していた。


 ―――戦場・後衛にて

「嘘でしょ……まさかこんな早くに四柱帝と遭遇するなんて……」

 負傷者の治療にあたっていたエスメラルダも、四柱帝の姿を目にし、そう呟いた。

 他の治療班も、四柱帝の出現によって、前衛の者以上に動揺している者も多く、また、負傷者に至っては、いよいよ最期かと悟り、絶望の表情を浮かべる者まで現れた。


 ―――戦場より一歩後ろにて

「あれが四柱帝『海帝ガブリエル』ですか……。まさかこの目で見ることとなるとは……」

 いつも通り、眼鏡をクイッとあげながらそういう学者風の男性。

 一方その横でアルディアはガブリエルの姿を凝視すると、

「四柱……帝……」

 と呟き、どんどんと険しい表情へと変わっていった。

 そんなアルディアの顔を見て、学者風の男性は、

「どうしましたか? アルディア」

 と声をかける。

 声をかけられたアルディアは、

「いえ……」

 と答えると、そのまま俯いたのであった。


 ―――再び、戦場・前線にて

「お前達が出て行ったから何事かと思えば、まさか俺のクリーチャー達がここまでやられていたとは……」

 ガブリエルは自ら作り出した水柱の上に座りながら、辺りを見渡し、そう言う。

「申し訳ございません、ガブリエル様」

「我々が来たときには既にこの有様で……」

 トリトン、ポセイドンはガブリエルの方を向き、そう言った。

 しかしガブリエルは自分のクリーチャーがやられた事にはさほど気にもとめない様子で、

「地上の奴らは雑魚ばかりだと思っていたが、中々骨のある奴もいるじゃあないか。で、誰がやったんだ?」

 とトリトン、ポセイドンに問いかける。

「はっ、恐らくではございますが……」

「あそこにいる両名かと……」

 トリトン、ポセイドンはそう言うと、ザフィーア、ルービィの方へ顔を向けた。

「成る程、あれらが……」

 ガブリエルはそういうと、ザフィーア、ルービィの方へ顔を向ける。

 ガブリエルと顔が合った二人は、応戦できるよう、態勢をとった。

 そんな二人を見たガブリエルはニヤリと笑うと、

「おいおい、俺と殺るつもりか?」

 と話しかける。

「このまま引き下がってくれるなら、それに越したことはないのだがな……」

 ザフィーアは刀を構えたまま、ガブリエルにそのように返す。

「このまま引き下がるかどうかは、お前達次第だが?」

 ガブリエルはザフィーアにそう返すと、海の中から三叉の槍を出し、それを右手に持つと矛先をザフィーアとルービィの方へ向けた。

 四柱帝との一触即発の状況に、トリトン、ポセイドンも含め周囲は何も言わず、ただその場に一切動くことなくガブリエル、ザフィーア、ルービィの様子を見ていた。

 するとその時、戦場の後方が急に光り始めた。

 そして、光り始めたと思ったと同時に、

「うわあぁぁぁぁぁ!!!」

 という叫び声と共に、何かが戦場の後方から飛び出した。

 その光と声に反応し、一同はその声の主の方へ目を向ける。

 なんと、その声の主は、巨大な光を纏った銀のロッドを天に掲げ、大きくジャンプをして現れたアルディアであった。

「え?」

「アルディア!?」

「何だあの光!?」

 急に戦場に飛び出してきたアルディアを見て、そう口にするルービィ、ザフィーア、エスメラルダ。

 また、戦場より一歩後方にてアルディアと共に居た学者風の男性も、

「アルディア殿、いつの間に!? いや、それよりもあの魔力は……」

 と、驚いた様子でそう口にしたのであった。

 突然のアルディアの行動に驚く一同であったが、アルディアはそんなことを気に留めることもなく、真っ直ぐにガブリエルの方だけを見て、

「みんなの仇ー!!!」

 と叫ぶと、ジャンプ中のまま銀のロッドをガブリエルの方へ向け振り下ろし、溜めていた光を巨大な光線としてガブリエルに向けて放った。

 自身に向けて飛んでくる光線を見たガブリエルは、

「……いかん」

 と声を漏らすと、椅子代わりにしていた水柱を解除し、そのまま海へと潜った。

 また、ガブリエルの側にいたトリトン、ポセイドンも無言で海へと潜り、アルディアの攻撃を回避したのであった。

 一方、回避が間に合わなかったガブリエルのクリーチャー達は、アルディアの一撃で消滅し、ガブリエル、トリトン、ポセイドンこそ攻撃を躱されてしまったものの、結果としてアルディアの渾身の一撃はガブリエル軍に大きなダメージを与えることに成功はしたのであった。


 ―――戦場より一歩後ろにて

「大丈夫ですか? アルディア殿」

 先ほどの魔法の反動で戦場後方まで吹っ飛んだアルディアに近寄りながら、声をかける学者風の男性。

「だ、大丈夫です~……」

 魔法の反動で吹っ飛んだアルディアは、頭からひっくり返り、お尻が頭の上に来たまま足を大の字に開き、ワンピースが思いっきりめくれ上げ、かぼちゃパンツ丸出しの状態のまま、そのように返事をした。

「あのような吹き飛び方をしたら、普通は大丈夫ではないとは思うのですが……」

 学者風の男性は、安心したような、呆れたような感じで、アルディアにそう答える。

「しかし……まさかあれ程の魔力を持っていたとは……。貴女は一体……?」

 学者風の男性はそう言うと、また、眼鏡をクイッを上げるのであった。


 ―――再び、戦場・前線にて

 アルディアの一撃より、海中に潜ったままのガブリエル。

 一同はいつ、どのタイミングで出てきても迎え撃てるよう、構えの体勢をとっていた。

 すると

『中々やるじゃあないか』

 と、海中より声が聞こえてきた。

 先ほどまでやりとりをしていた声と同じだった為、その声の主がガブリエルであるということは、直ぐに理解ができた。

『我が軍の被害も甚大だ。今日のところはこのくらいで引いておこう』

 ガブリエルがそういうと、ガブリエルのクリーチャー軍団は、どんどん海の中へと入っていった。

 その様子を見て、ホッと胸をなで下ろす一同。

 しかし安心したのも束の間であった。

『あと、こいつは先ほどのお礼だ。受け取れ』

 ガブリエルがそういうと、なんと、海面がせり上がり、津波として一同に襲いかかってきた。

 突然襲いかかってきた津波に、絶望する一同。

 というのも、ガブリエルが放った津波は、海岸にいる一同を飲み込むには十分な規模のものであった。

 折角四柱帝が引いて安心をしたいたところにこの津波。もはや助かる見込みはないのかと、殆どの者が諦め始めていた。

 すると、

「エスメラルダ、援護を頼む」

 そういうと、海に向かって走り出すザフィーア。

 そして、海沿いまで行くと、海面に向かい刀を突き刺し、柄を両手で強く握った。

 すると、ザフィーアが突き刺した刀を起点とし、海がどんどん凍り始めたのであった。

「援護……。そーいうことね」

 エスメラルダは先ほどのザフィーアの言葉を理解すると、スタッフで地面に紋様を描き始めた。

 そして、紋様を描き終えると、エスメラルダもまた、紋様にスタッフを強く突きつけた。

 すると、紋様が光り始め、それと同時に、海が凍る速度が上がっていった。

 ザフィーアの刀から放たれている氷の魔法は、エスメラルダの援護のおかげもあり、どんどんと海面を凍らせていった。

 そしていよいよ、ガブリエルの津波も凍らせはじめ、どんどんと進行する氷は、とうとう津波すらも氷漬けにし、津波の進行を止めたのであった。

 津波が凍ったことを確認すると、ザフィーアはその場で膝から崩れ落ち、

「はぁ……はぁ……」

 と息を上げた。

 一方、他の一同は、津波が凍ったことを確認すると、

「「「た、助かった~……」」」

 と、腰が抜けたように、その場に座り込むのであった。

 こうして、カスティードの海岸に襲いかかったガブリエルのクリーチャー軍団および四柱帝ガブリエルとの対峙は、負傷者こそ出したものの、無事にカスティード防衛に成功したのであった。

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