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天空の男


本日最後の投稿です!続きます!


ウェルカーム! ディーバっ!!


「ちょっと待って。ねえ!ちょっとだけ待ってって言ってんだろ!? このケーブルフェチめ!!」

「ここはシリアスな場面だろう? そんな照れ隠しはカッコ悪いぞ♪」


 俺の尻が徐々にテレビ画面へと吸い寄せられる。俺は内心でも外でも焦っていた。


「な、なあビープ様? 俺はその世界でどう生きればいいの? かったくなるのスキルしか使えないんでしょ? 無理じゃね? 積んでね? 死んじゃわね?」

「やだなあ~セールゥ♪ 君とボクの仲じゃあないか? そんな他人行儀はよしてくれよ」

「…なあ、実は俺がお前に付き合わないことに、機嫌悪くして、ないよな?」

「………やだなァ♪ ボクはこれでも神なんだぜぇ? 君ご・と・き・にフラれたくらいで拗ねたりするわけないだろぉ~? ああ因みに、君が死んだらソッチの世界の神の担当になるからねン♪ 輪廻転生神によろしく言っといてね? まあ、魂に重大なエラーが出るはずだからろくな転生にならないだろ~けどんねっ」

「メッチャ怒ってんじゃん!?メッチャ根に持ってんじゃん!? 落ち着こ? ね?落ち着こうよっ!?」


 だがビープはテレビ画面に俺を押し込んで行く。その力は万力の如し。俺に神に抵抗する手段はない!


「あああああぁ!?もうダメぇぇっ!? 完全にケツ以上出ちゃった!もう手足が画面の縁に引っかかってるだけだよ?!」

「…じゃあ、ボクと一緒になってずっとゲームしてくれる…?」



 ビープの真剣な表情と眼差しに、つい。俺はッ………!!



「ゴメン。俺、もうちょっと人生、楽しみたいかな? メンゴ★」


「いってらっしゃい♪」


 ドン!満面の笑みで俺は画面の向こうへとバンプされた。


「おわぁぁぁ?! …てここどこに出たの?」

「セル君、下を見てみて?」

「下? …!? うわあ!凄く綺麗な世界だ!これが…」

「ボクがこの仕事に就く前に創造に携わったこともある世界。ディーバだよン♪ 凄いでしょ!」

「うん! …うん。凄いんだけどさ? なんかフワフワしてやたら寒いんだけど? してアレって世界地図だよね。どういう仕組みなの?」

「世界地図って世界そのものだよン♪ 頑張れば好きな位置に降りられるよ?」


 ………降りる。というか頑張るって何を?


「…ビープが優しく俺をこの天空からあの陸地までそっと降ろしてくれるんだよな?…なぁ!」

「グッドラック♪」



 俺は浮力を失い高速で落下した。



「ぎゃあああああああああああああああああああああああアああああああああああぁぁあああぁアああああああああああああああああああああああいいああああああぁぁぁっあっあぁついぁつアアアァァ!!?!」


 もはや遠く頭上にあるテレビ画面から俺をこの世界に突き飛ばしたビープの声が聞こえる。


「取り敢えずスキル使ってみたらァ~~~~? そのスキルはこの世界の~~~~理から~~外れた~~~~スキ~~ル~~だか~~らぁ~~意外とぉ~~~~イケ~~る~~か~~~~~もぉ~~~~~~~よ~~~~♪」


「クッソ!? ビープめっ!最初から俺を殺す気だったなぁ!? かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!絶対に許さんぞぉぉぉぉぉ!!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったく必ずあの部屋に戻る方法を見つけかったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かった復讐してやるからなかったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!覚えてろよぉぉぉぉぉ!!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったくなる!かったく…!!」


 俺がスキルを叫びながら振り返るとビープが遥か果てにビープが見えた? いやそんな気がするんだけか。…しかし、その口元は「またね」と言ってるように感じた。



 俺は火の玉となって異世界ディーバへと降り立った。


 いや、墜ちた。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ところ変わって、ここはドワーフ人の街。その名をエピックツルハシ。

 実はこれは別称で、正式な名はエピック・ピックだ。しかし、呼びにくいので先の名前か単純にピックの街と呼ばれる。


 そんな街の衛兵詰め所。


「おおいっ!大変だっ!」

「んんっ!どうしたどーした?! そんなに慌てて…」


 駆け込んできたのは近くの村、メテオフォールの駐屯兵のゴンドンだった。


「…ハァハァ。実は村に、天空から火の玉が降ってきたんだ!!」

「なに!?火の玉だとっ!まさか隕石(メテオ)か!」


 ざわりと周囲に驚愕の声と緊張が走る。メテオフォールの由来はかつてその地に火の玉が墜ちて途轍もない破壊を周囲にもたらした。しかもその正体は悪魔の化身で、周囲にさらなる隕鉄を降らせたという。悪魔の火の玉として語り継がれているのだ。


「そうなんだ!村は悪魔の再来だって大騒ぎさ。直ぐに応援を頼みたいっ!」

「ああわかったぞ!テップ!城までひとっ走りしてくれるか?」

「了解です!隊長!」


 これは大事だと衛兵隊長は国王へと急使を送ろうとするが、思わぬ人物から待ったがかかった。


「ちょ!ちょっと待ってくれ!」

「どうしてだゴンドン? 悪魔がまた降ってきた可能性があるのだろう? なら、応援もそうだが早急に村人を避難させ…」

「イヤ、火の玉は降ってきたがもう消火は済んだ。それに村への被害も屋根が少し燃えたり、家畜が騒いだくらいで微害もいいところだ…」

「…? どういうことだ?」


準備を終えたテップも困った表情をした。


「いや応援を頼むは本当だ。だが運ぶのに、ひとりかふたり貸してくれればそれでいいんだ」

「運ぶって、何をだ? 隕石か? 流石にそんな人数じゃあ無理だろ…」

「イヤ、隕石じゃあないんだ。火を消して出てきたもんは…」

「出てきたものは…」


 受け取った水を飲み干したゴンドンはごく真剣な表情で口を開いた。


「俺達と同じ人間だ。ただし全裸の…」


「俺達と同じ人間だあ? しかも全裸の?」


 後ろでキャッという可愛い悲鳴が上がる。


 テップは高身のトールマンだが、実に乙女であった。



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