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俺(だけ)の冒険はこれからはじまるんだぜ!


つ、ついによ…冒険すんだよなあ…!


本編には関係ないけど昨日「Loop Hero」無事クリアできました!いやあ面白いゲームぞ。


 俺は冒険者ギルド"シロライオン"の受付のカウンターの前に居た。


 そうさ!今日から俺も晴れて冒険者となったのさ!俺は颯爽と今日も相も変わらず愛らしい…いやもはや周囲の他の受付嬢などもはやどこぞの洗っただけの芋に見えてしまうぜ。


「…おはようございます!アディー嬢」

「あ。おはようございます!セルさん!今日はどのようなご用件でしょうか? あ。防具の納品ですか?」

「いいや違うともさ、アディー嬢。…今日から俺も冒険者になるんだよ」

「え? という事はテンチョー様のところでのお仕事は完了されたのですか!良かったですね!」

「ああ…今日から君の為に働けるということさ。俺も超嬉しい」

「セ、セルさん…」


 顔を赤らめてパッと視線を逸らすアディー。マジ可愛いんですけど!


 そんな風に俺とアディーちゃんが仲良くキャッキャウフフしてると無粋にも横から芋が…じゃあなかったリス尻尾を揺らすデビー嬢が話しかけて来た。


「随分と早いんじゃあない? アンタ、まさか勝手に逃げてきたんじゃあないの…?」

「そんなわけないだろう。テンチョーは仮にも俺の身柄を立ててくれた恩人だぞ? そんな真似するかよ。…あ。そうだそうだコレ」


 俺はテンチョーが書いてよこした証文をアディーに手渡そうとすると、デビー嬢に無言でひったくられた。コイツ!少しばかり見た目が良いからって調子こきやがって…! 手癖が悪すぎやしねえか?


「ふーん。なるほど割と真面目に働いてたのねアンタ? …ああ~アイツらに目を付けられるとか。アンタなにやらかしたらそうなるのよ?」


 デビーはもう興味がなくなったのか証文をアディーの手元に放り投げる。


「……別に。俺はただ店の表でセールをやってただけだぞ? 恐らくだが…俺のルックスに強者の面影を見たんじゃあないかな?」

「冗談でしょ? アタシどころかアディーよりも弱いくせして」

「ちょっと…先輩…」


 ちょっとプルプルしてしまった俺に職員や他の冒険者が憐憫の視線を向けてきやがる。止めろ。こっちはここで泣いてやってもいいんだぞ? 本当に泣くぞ?


 ちなみにだが、デビーの言うアイツらとはこの街のもうひとつの冒険者ギルド"ハイイロオオカミ"のことだ。まあ、冒険者っていうよりはモンスターや盗賊相手の傭兵みたいなもんだと聞いてはいるが。


「まあアイツら悪だくみするような連中じゃあないけど、ハッキリ言って戦闘バカばっかりで物騒なのよね~。まあテンチョーの判断は間違ってないと思うわ。アンタなんかきっと練習台の的か人間爆弾になって特攻させられるかのどっちかね!」

「おい、酷えな!?」


 …いや、でも待てよ。たしかデビーは俺のスキルの詳細までは知らないはずだから当てずっぽうでものを言ったんだろうが、アイツらは俺がやたらと頑丈だと褒めていやがったな。……どっちの用途もありうるんじゃあなかろうか。


 俺は想像して身震いする。


「それと…アンタ、ギルドへの返却金は持ってきてるの? ギルドからの貸付金50シルバー。それをギルドへ納めてくれない限り、"身分保証先での労働の勤め"を果たした事にはできないけど?」

「おうさっ!払ってやんよお!」


 俺はカウンターにバシンとコインを叩きつけた。


「あら? 金貨じゃない。どうしたのこんな大金?」

「なに、俺が防具屋で稼いだ金さ」


 まあ、あの傭兵の二人組から渡されたものだけどな。


「へえ~テンチョーも太っ腹じゃない!」

「…あ。釣りはちゃんと返せよ?」


 「わかってるわよ」と頬を膨らましたデビーがトレイに金貨を乗せて奥へと去っていく。


「はは…では、改めて本日、セルさんにはC級冒険者昇進クエストと当ギルド裏にある訓練場での適正訓練を受けて頂きますね!」

「え。そんなのあるの?」

「はい。まずはこの後に訓練場でセルさんには教官と軽く手合わせして頂きます。そして特に問題が無いと判断された場合は特定のクエストを受けて頂いて。そのクエストを無事完了して頂ければ晴れてセルさんはC級冒険者になれますね」

「ほほう」


 おお。なんだか冒険者って感じでテンションがにわかに高まってきたぜ!


「はい。お釣り」


 そこへデビー嬢が清算した残りの銀貨を乗せたトレイを俺とアディーの視界を遮るように置いた。


「…ひい、ふう、みい…ん? おい、デビー嬢~? お・つ・りが足りてないようなんだが?(ニコニコ) …銀貨が47枚…47シルバーしかないように見えるんだがねえ………ボンバーの鎧オヤジ呼ぶぞ? コラ(ニコニコ)」

「あ。訓練場の利用料金(3シルバー)は差し引いておいたわよ? たったの3シルバーぽっちで2日間使い放題よ? とおっても良心的でお得でしょう?(ニコニコ) あ。訓練場では攻撃スキルは使っても良いけど訓練場の設備を破壊したら9割弁償して貰うから」

「な?! ギルド側からの強制なのに金とるのかよぉ!?」

「…スイマセン!今日の利用者がセルさんしかいないんです。パーティを申請されていた場合はその限りではないんですけど、その場合はどうしても費用が出てしまう取り決めでして…私の説明が足りずに…不快な思いをさせてしまい、本当にゴメンナサイ…!」


 アディーがその美しい赤い瞳を潤ませたので俺は思わずその手を取ってしまう。

 誰だ!? こんなに可憐な俺のアディーちゃんを泣かせようとする酷い奴は! デビー、お前か!? 絶対に許さないぞっ!


「何を言うんだアディーちゃん!? 俺がそんなケチをつけるような男だとでも? ふん!払ってやるともそれくらい。…てかよお、デビー嬢は先輩受付嬢としてどうなのよその対応はさあ? 流石に金銭のやり取りくらいキチッと事前に説明…」

「あ~そういえば証文に他の冒険者ギルドからの接触、そこからの身柄の危惧。の他に、住み込みの職人見習いとのトラブルの疑いあり…って書いてあったんだけど? …確かテンチョーのとこで居候してるのってあのちっこいドワーフ人の娘よねえ? 背の割にはやたら発育が良かった気がしたけど…」

「…………セル、さん?」

「訓練場に行ってきまぁ~~~す!? あ。そこの職員さん!訓練場ってどっち? あそこを真っ直ぐね? イヤ~適性訓練たっのしみぃ~~~!!↑ アハハ!アハハ!アハハノハ!!」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 バコォン!


 俺の頭上目掛けて振り下ろされた木剣が砕け散る。


「痛ってえ!? だからアンタらさっきから容赦無さ過ぎんだろが!」

「…痛がっとる割に全然ダメージがなさそうだがの? のうナッパム?」

「うむ。レベル100のくせしてステータスは一般人というギルド史上類を見ない問題児…。武器の扱いも防御すらまともにできん。さらに攻撃スキルどころか、硬化のスキルしか使用できぬとは」


 俺が恨まし気な視線を送っても、ものともしない黒い鎧姿のドワーフがふたり。

 訓練場の教官のふたり、シーホーとナッパムだ。

 ●リーちゃんのパパみたいな髪型をした方がシーホーで、ハゲがナッパムだ。

 なんでもあのフルアーマー副ギルドマスターの従兄弟らしい。納得。


「でもまあ、合格じゃろ」

「そだの。これだけ丈夫なら昇級クエストでよほどのヘマをしなければ死なんだろう」


 折れた木剣を地面にポイと捨てると俺を最後にぶっ叩いたシーホーがスタスタとギルドへと帰っていく。訓練場に残った眩しく磨き上げられたスキンヘッド(天然もの)のナッパムがゴホンと咳払いすると俺に投げやりな助言をくれる。


「強いモンスターを倒すことは難しいの。まあ、冒険者は深追いはせずに諦めることが肝心じゃぞ? まあC級に上がったらまずはどこぞのパーティに入れて貰うべきじゃなあ。坊主ひとりじゃあどうせ何もできんじゃろうしな? せめて攻撃役と補助役はひとりは必要じゃぞ。あ、誰も組んでくれないからといって変な野良には混じるなよ? どうなっても知らんぞい。まあ、坊主お前は若いんだ、冒険者になることが全てじゃあない。めげずに生きろよ!ガハハハッ!」


 俺は自身が唯一使えるスキルを硬化スキル。単に重ね掛けできる防御力上昇スキルということにしといた。

 …もしかたらそうじゃあないかもだが、俺も未だによくわからんしな? てかバグってるし。


 なんか合格したらしいが…釈然としないよなあ。ただ延々と殴られただけだったし、俺の攻撃(俺は木剣じゃあなく普通のソードだった)は当然のように当たらんし、弾かれるし…ちょっと自信なくしたわあ~↓ まあ冒険者デビューした者の宿業だろうなコレは? 相手はベテラン。マトモにやり合うにゃあレベル…はもう無理だから、俺には圧倒的な経験が足りないな!そこを今後どうにかしていこう。…それとパーティかあ。…できれば巨乳エルフと爆乳女戦士と魔乳魔法使いと聖乳聖職者と是非ともパーティを組みたく思う所存であります。


「…ああ~あとは坊主の硬化スキルは多用すると体の身動きが取れなくなる恐れがある。普段からセーブできる段階を見極めておくんじゃぞ? あと坊主は丈夫だが恐らく状態異常の類には滅法弱いかもしらん。弱いモンスターでも毒種は命取りになるぞ? 少し値は張るがギルドで対状態異常用のポーションを買っておくといいぞい」

「なるほど…毒種(ポジ持ち)か。…今回は大変参考になりました!ナッパ教官ありがとうございました!」

「おう!頑張るんじゃぞい!…それと俺の名前はナッパム(・・・・)、な!」



 ナッパムの親父さんのダイマを聞き流し、俺の頭には何故か自分から胸を揉みしだく巨乳エルフと爆乳女戦士と魔乳魔法使いと聖乳聖職者の幻影しかなかった。


 …俺の目標。決まったな!




 でもちゃんと最低限の武器と防具とアイテム、下級治癒ポーション2本と解毒ポーションを3本。ギルドで買ったった。しめて42シルバーなり。

 てか解毒ポーションが地味に高い。1本8シルバーもしやがったぜ。チキショ~!



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