【BL・R18】最強ヴァンパイアを倒す力を手に入れたが、そのヴァンパイアに溺愛されてます(短編化)
ヴァンパイアに妹を拐われたファンは、今まさにヴァンパイア伯爵の城に忍び込んだところで情事を見てしまった!
扉から薄ら見える情事に釘付けで、終わった後もその場を動けないファンに、冷たい声が降ってくる。
「覗きとはいい趣味だな」
小さな村で妹と二人で暮らしていたファンの元から、妹が突然消えた。
方々を探し回ったファンは、最強のヴァンパイア伯爵の噂を耳にする。気に入った村人を拐っては血を吸っているという噂を。
しかしそのヴァンパイア伯爵は150年ほど前の戦争でその圧倒的な力で敵を蹴散らし、爵位を賜ったほど最強ヴァンパイア。どう頑張っても勝てない=妹を取り返せない。
そこでファンは村の近くにある誰も近づかない伝説の洞窟へ行く。そこに足を踏み入れた者は誰も帰ってきたことはないが、望む力を手に入れられるという洞窟へ。そこの最奥でファンは不思議な声を聞く。
「お前が望むものはなんだ? 取るに足らん望みであれば命はない」
「ヴァンパイアを倒す力を!」
洞窟の声によると、ファンは自らの血を毒に変えることができる能力を授かったらしい。しかしその体は常にヴァンパイアを寄せ付けるというおまけ付き。ヴァンパイアを誘き寄せて殺せるなら望むところだった。
いざ妹を助けるべく城に忍び込んだファンは、実際にヴァンパイア伯爵が血を吸っているところを見てしまう。しかも血を吸うたびに体が熱くなり、お互いを求める。
「覗きとはいい趣味だな」
見つかってしまったファンは、ヴァンパイア伯爵に血を吸われ、抱かれる。まだ能力を使ったことがなかったファンは、おかしくなりそうな頭で何とか血を毒に変える……がすぐに気づかれてしまう。
失敗したファンは当然殺される!!と思っていたが、朝起きてみると暖かい布団に包まれていた。
妹を探して、城の中を歩いてみるが何もされないどころか、城の住人たちは皆優しい。
城の住人たちは「餌」と呼ばれていた。
酷い呼び名に憤りを覚えるが、餌たちは全く嫌ではないという。
餌の一人であるキーンは頭が良くて、ヴァンパイア伯爵であるレリオ・ヴィセンテ = ムントに勉強を教わっているらしい。レリオは博識で管理している領のことや、異国のことまで様々な知識がある。ファンにも本を持ってきてくれ、いろいろ教えてくれる。
もう一人の餌であるランドルフは人当たりがよく、身のこなしが軽い。何もせずにいるのも暇だからと、ランドルフの稽古に付き合うとファンは怪我をしてしまう。そこでもレリオは優しく傷の手当てをしてくれ、傷を優しく舐め抱かれる。
餌たちがレリオに大切にされていることが分かったファンは、餌たちに「閉じ込められているのは嫌じゃないのか?」と聞く。しかしいつでも出て行っていいと知らされる。ただし出て行く時はここでの記憶を消されるらしい。
主人公はヴァンパイアを倒せる力を持ちながら、ヴァンパイアであるレリオに惹かれていく。
レリオも最初以外血を毒に変えないファンに惹かれる。
妹を探しても見つからないファンに、ランドルフが妹の居場所を教えてくれる。元々住んでいた村の領主であるルドルフォが妹を監禁しているらしい。
ファンはレリオにお願いして、ランドルフと共に悪徳領主ルドルフォの元に妹を取り戻しに行く。しかしファンのしくじりで失敗して、ルドルフォにレリオの餌であることがバレてしまう。
ルドルフォは「ヴァンパイア伯爵が餌と称して領民を拐っているのは見過ごせない。全ての領民を返還しろ」と要求する。
レリオはファン以外の餌たちの記憶を消し、ルドルフォへ皆を渡す。しかしルドルフォは餌たちを解放はせず、自らの屋敷に囲い込みこき使う。
しかもヴァンパイア伯爵悪評を流していたのも、人々を拐っていたのもルドルフォと分かる。
ファンはランドルフに何とか逃してもらって、レリオの元へ。レリオと一緒にルドルフォを倒す。
ルドルフォを倒した領の運営は酷いもので、キーンをレリオの養子にして領の運営を任せ、他の餌たちもそのサポートに回す。
結局レリオの元には一人も餌たちはいない。ファンはレリオの元に行くが、空腹で辛そうに脂汗を浮かべるレリオは「今お前の血を吸えば、殺してしまう」と追い出す。
元ルドルフォ領へ戻ったファンはモヤモヤとした気持ちを妹に話すが、レリオへの気持ちを察した妹はファンの背中を押す。
走ってレリオの元へ向かったファンは「俺がお前の餌になってやる!」と告げる。それでも振り払うレリオに「殺されそうになったら、俺の血でお前を殺してやる」と説かれ、血を吸われ抱かれる。
ちょっと10万文字行くか心配ではありますが、足りなければ餌たちを増やすこともできますし、エンディング後に他のヴァパイアが出てきて、レリオがファンを守る話とか書けそうだなーと妄想しています。