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1話:唐突ですが死にました
西本達也は平凡な高校生である。
特に勉強の成績が良いでもなく、運動に秀でているわけではない。
部活動に至っては帰宅部である。
趣味はアニメの鑑賞やゲーム、世間でいうところのオタクである。
「はぁ、異世界へ行きたい…。」
学校からの帰り道、そんな独り言を吐く。
今見ているアニメでは、平凡な一般人が異世界へ行って、神の力やら才能やらで英雄的活躍をする。
達也のような平凡な人間には夢のような話だ。
現実はファンタジーではないし、それは弁えているが、そのような機会があれば、是非やってみたい
ものだと達也は常々思っている。
「帰って、ゲームやろう。」
交差点で信号待ちをしながら、気持ちを切り替えて、今日は家に帰ってゲームをやろうと誓う。
だが、それは叶うことはなかった。
達也が待っている交差点に向かって真っすぐと猛スピードで車が突っ込んでくる。
身の危険を感じて、達也は回避を試みるが、あっさりと跳ね飛ばされる。
1トン弱ある鉄塊がスピードをつけて突撃してきたのだ。
西本達也の人生はあっけなく幕を閉じた。