二話 「そういえば、お前んところの兄貴。なんか大変みたいだな」
卒業証書を受け取ったジェイクは、その足で列車の駅へと向かった。
一人暮らしをしていた下宿も、すでに引き払っている。
三年の間に買った家具類は後輩等に譲り、余ったものは売り払ってあった。
せっかく揃えたものではあるが、実家に持っていくのは難しい。
首都から実家がある街へは、列車で丸二日の距離があるからだ。
家具のような大きなものを送るとなると、かなりの料金を取られてしまう。
男の一人暮らしで使うような安物であれば、新しく買いなおせるほどの金額だ。
それではあまりにもばかばかしいので、さっさと手放してしまった訳である。
思いのほかいい値で売れ、列車代が浮いたのはうれしい誤算だった。
おかげで、荷物もだいぶ少なくなっている。
実家に持って帰るのは、着替えと多少の手荷物を詰めたカバンが一つだけ。
世話になった人や、近所へのあいさつ回りも済ませてある。
卒業証書の受け取りは、首都で最後の用事だったのだ。
駅に着いたジェイクが向かったのは、南辺境方面と書かれた路線だ。
ジェイクの実家がある方向である。
ホームへやってくると、列車はすでに停車していた。
出発まではまだ時間があるのだが、技術者や駅員達が慌ただしく動いている。
どうやら列車設備の最終点検や、荷物の搬入をしているらしい。
ジェイクが乗り込む列車は、実家がある街まで二日間かけて向かう寝台車だ。
万が一にも道中で事故などが起こらないように、整備点検は出発直前まで行われるようだ。
積み込まれている荷物は、乗客向けの食糧などだろうか。
普段こういった場所に来ないジェイクには、物珍しい光景だ。
ぼうっと眺めていると、後ろから声を掛けられる。
振り向いてみれば、台車の上に乗った大きな金属容器が目に入ってきた。
それを運んでいるのは、ツナギを着た数名の技術者らしい人物達だ。
一瞬、なんだろうと怪訝な顔をするジェイクだったが、すぐに自分が進行の邪魔になっていることに気が付いた。
人間ならばいくらでもすれ違える広さだったが、いかんせん彼らが運んでいる荷物はとても大きいものだ。
ジェイクがいると、通ることが出来ないらしい。
慌ててその場を飛びのき、平謝りする。
技術者達は「気にしないで下さい」と、笑顔を見せた。
怒鳴られるかもしれないと思ったジェイクだったが、予想外に穏やかな対応だ。
やはり、直接お客に対応する機会が多いからだろう。
これがもし、実家であるダンジョン屋の技術者達であれば。
今頃は荷台に撥ね飛ばされ、罵倒を浴びせかけられていることだろうか。
ダンジョン屋というのは、基本的に荒っぽい連中が多いのだ。
業務の内容が内容だけに、仕方ない部分だろう。
それでも、自分は先ほどの彼らのような態度を見習いたい。
理想を言えば実家の従業員達にも見習わせたいところだが、それは難しいだろう。
ダンジョン屋というのは、向こう見ずで喧嘩っぱやく、すこぶる見栄っ張りが多い。
ジェイクの実家の従業員達も、そういった手合いが殆どだ。
非常に扱いが面倒ではある。
だが、その分腕はいい。
ダンジョン屋というのは、その性質上、人当たりの良さや社会性よりも、腕前を重視されるところがある。
多少性格に難があったとしても、腕が一流であれば認められるものなのだ。
妙なものだとは思うものの、ジェイクの気性にもその風潮はあっていた。
なんだかんだ言ったところで、ジェイク自身、ダンジョン屋の血を色濃く受け継いでいるのだ。
乗車券を確認し、書かれている客車へと向かう。
ジェイクが購入した座席は、二等のものだ。
車両の内部をいくつかの個室に区切った作りになっていて、座席と造り付けのテーブルが置かれている。
一人から二人用の座席で、卒業したての学生が使うには少々豪華なものだ。
だが、一番下の等級である「三等」の客室を使うのは、避けたかった。
椅子は普通のもので、一日座っていると尻が痛くなってくる。
ベッドは三段になっており、伸びができない程度に狭い。
そんな状況に二日間もいると、体がバキバキになってしまうのだ。
耐えられない、というほどでもないが、つらいものはある。
家具などを売って金が出来たのは、運がよかった。
存外居心地のよさそうな客席に満足し、ジェイクは椅子へと腰を下ろす。
ふと、テーブルの上を見れば、寝るときの注意などが書かれている。
造り付けのテーブルを畳み、座席のレバーを引く。
すると、背もたれが大きく倒れ、ベッドになるらしい。
一人掛けの椅子にしてはずいぶん大きいと思ったが、そういう機能があったようだ。
ジェイクはいたく感心しながら、椅子やテーブルをいじり始める。
そんなことをしている間に、出発時刻となる。
ベルが鳴り響き、ゆっくりと列車が動き出す。
鉄製の線路と、車輪が噛み合う音。
それに交じって、細く息を吐きだすような、「シューッ」という音も聞こえてきた。
魔法動力機関の稼働音だ。
ジェイクは席に座ると、荷物の中から本を一冊取り出す。
目的の駅までは、丸二日。
列車は途中でいくつかの駅に停車するが、その時間はあまり長くない。
なので、降りる予定はなく、二日の間ひまを持て余すことになる。
それではたまらないので、いくつか本を持ち込んだのだ。
幸いなことに、ジェイクは読書を苦にしないタイプの人間であった。
何冊か持ち込んでいるので、読み切ってしまう前には目的地にたどり着くだろう。
流れていく車窓を眺めながら、ジェイクは本の表紙をめくった。
首都を出発して、丸二日。
列車は線路の上を順調に走り、ジェイクの目的地へと到着した。
荷物を片手に駅に降り、ほっと溜息を吐く。
座りっぱなしで凝り固まった体を解すように歩きながら、周囲の様子を見回す。
駅とはいっても、首都に比べればその作りは実に簡素なものだ。
構内と外を隔たるものは金網程度しかなく、よく周りを見渡すことが出来る。
やはり王都とは比べるべくもないが、駅周辺はそれなりに栄えた様子であった。
この街は南辺境と呼ばれる土地にあって、その中心部となっている場所である。
ジェイクの実家も、この街にあった。
いや、むしろこの場所にジェイクの実家や、そのほかのダンジョン屋があったからこそ、この街ができた。
と、言えるかもしれない。
ダンジョンというのは、その性質上、国の一番端。
国境沿いに作られるものであった。
言ってみれば国内を守る壁のような役割であるから、当然と言えば当然だろう。
さて。
国が国土を広げようとしたとき、まず作るものは何か。
それは、ダンジョンであった。
壁として存在するダンジョンの向こう側は、モンスターが住み着く危険な地域だ。
街や畑を作ろうにも、化け物に襲われるのではそれどころではない。
まずはダンジョンを作り、周囲一帯の安全を確保。
しかる後、入植地を作る。
それが、ジェイク達が暮らす国が、国土を広げるための手順であった。
南辺境にあるこの街も、そうした経緯を経て作られているのだ。
元々は森であったこのあたりを切り開き、様々なダンジョン屋がダンジョンを作った。
しかる後、モンスターの数を減らしてから、人々が入植を始めたのだ。
ジェイクが乗ってきた列車の路線も、元々は入植のために作られたものだった。
それまでは大きな輸送手段もなく、ダンジョンを建設するのも一苦労だったという。
ならば、先に線路などを作ってしまえば、と思うものもいるかもしれない。
だが、そういったものは安全を確保できているからこそ、作られるものなのだ。
いつモンスターに襲われるともしれない場所では、悠長にそんなものも作っていられない。
まずは安全の確保が先決であり。
安全の確保とダンジョンの建設は、イコールなのだ。
そんな理由からか、この国でのダンジョン屋という職業への評価は、総じて高いものになっている。
多くの人が、ダンジョン屋に一目置いているのだ。
もちろん、例外もいるが。
駅を出たジェイクは、実家に向けて歩き出した。
三年ぶりに帰ってきた故郷だが、風景はほぼ変わっていなかった。
どの建物も見知ったものばかりで、目新しいものはほとんどない。
少しは変わり映えがしてもいいんじゃないか、等と思いつつ、ジェイクはのんびりと歩き始める。
目指すのは、街の一番端にある実家だ。
それほど大きいとは言えない街ではあるが、歩くとなれば面倒だった。
暮らしていたころは移動用の魔法道具で動いていたのだが、残念ながら今は実家にしまってある。
面倒でも、歩くしかないのだ。
そんなジェイクに、声をかけてくるものがいた。
「お前、ジェイクか!」
振り向いてみると、そこには荷物を載せた馬車があった。
御者台に座っているのは、ジェイクの見知った顔である。
「おー! アントン! 元気そうだな、おい!」
それは、商店街にある八百屋の息子であった。
ジェイクと同い年の彼は、子供のころのよく遊んだ友達の一人だ。
「お前、学校で資格とってるんじゃなかったのか? 脱走してきたわけ?」
「んなわけあるか! 卒業してきんだよ!」
「はっはっは! じゃあ、これから帰るところだろ? 乗ってけよ。送ってってやるからさ」
「マジでか! 仕事中じゃねぇの?」
「どうせ配達の途中だよ」
ならばと、ジェイクは馬車に乗り込んだ。
ホロもついていない荷台の上は、野菜の入ったカゴでいっぱいになっている。
動き出した荷台の上で、ジェイクは感心した様子でそれらを眺めていた。
「繁盛してるなぁ。こんなにたくさん、どこに届けるんだ?」
「ウッドブックさん所のダンジョンだよ」
「あそこか。草食の大型魔獣使ってるからなぁ」
ウッドブックというのは、ジェイクの実家と同じ、ダンジョン屋の一つだ。
内部におびき寄せたモンスターを、魔獣を使って倒すという形式のダンジョンを経営している。
堅実で手堅く、安定した成果を出し続けていることで有名だ。
ジェイクの実家にとっては近所の同業者であり、お互いに協力関係にあるダンジョン屋の一つであった。
「しかし、ありゃ大食いだろ。その辺の草、食わせてるんじゃなかったっけ?」
「おやつだよ、おやつ。ご褒美でこういうのをやると、頑張って働くんだってさ」
「なぁーるほど。最近始めた試みってやつね」
「俺が提案して社長さんにOK出してもらったんだよ。小規模店舗はそういうところで差をつけないとな」
「マジかよ。やるねぇ、若社長」
自慢気なアントンの言葉に、ジェイクは感心したような声を上げる。
どうやら、幼馴染は同業者を説得し、商売の手を広げたらしい。
子供のころからしっかりした性格だったが、大人になってそれが磨かれたようだ。
「一応、跡取りだからな。食ってくには頑張らないと」
「大変だねぇ、長男は。次男暮らしは気楽なもんよ」
「そういえば、お前んところの兄貴。なんか大変みたいだな」
「うちのアニキが? どうかしたのか?」
突然出てきた自分の兄の話に、ジェイクは驚いたように目を丸くした。
何か大事があれば、首都にいるとはいえ、ジェイクにも連絡ぐらいは入りそうなものである。
だが、そういったものは一切届いていなかった。
ジェイクの様子を見たアントンは、不思議そうに首を捻る。
「なんだ、何も聞いてないのか?」
「いや? 全然?」
「そっか。いや、俺もウワサ聞いただけなんだけどな? なんか、お前んところの兄貴が少しバタついてるみたいだって。まあ、大したことはないって話だったんだけど、内容が全然わかんなくてさ。お前なら知ってるかと思ったんだけど」
「何にも聞いてねぇぞ。そのウワサ、ホントにあってんのか?」
いろいろと頭を巡らせるが、ジェイクにはまるで覚えがない話だった。
高い料金を払い、遠距離通話魔法を使って実家の母と話したのは、つい先週のことだ。
無事に卒業できたことと、実家に帰ることを伝えたのだが。
もし何かあったのなら、その時に話をされるだろう。
そんな話をすると、アントンも納得した様子を見せる。
「そうか。じゃあ、デマってやつかな。内容もはっきりしなかったし」
「じゃねぇの? なんかあったら、流石に俺にはしらせるだろうよ」
「そりゃそうか。いやだね、田舎ってのは。変な噂がすーぐでまわるから」
「大方、情報の出どころは買い物に来たオバチャン達ってところだろ?」
客商売の八百屋だからこその情報源。
ジェイクのそんな予想は、どうやら的中したようだった。
「その通り。八百屋は主婦の戦場だからね。お姉さま方のうわさも集まるんだよ。これが案外バカにならないんだぞ?」
「そりゃそうだろ。世界一目ざとい人種だぞ、オバチャン連中ってのは」
「いいよなぁ、お前は。客商売じゃないから。オバチャンなんて口が裂けても言えないぞ?」
「じゃあお前、ウチと商売変わってみるか?」
「勘弁しろよ! 俺は腕っぷしには自信ないんだからさ。野菜の目利きなら自信あるけどな!」
久しぶりに会った友人同士だが、子供のころからの付き合いだ。
三年ほど会わない時間があったとしても、会話はすぐに弾む。
あれこれとくだらないことを話している間に、馬車は街の外れへと進んでいく。
民家や商店などが少なくなり、周囲には大きな建物が目立つようになってきた。
掲げられている看板を見れば、会社の事務所や、倉庫等であるらしいことが分かる。
共通しているのは、どれもダンジョン関係のものである、というところ。
ダンジョンは、人の住む場所と、モンスターが出現する地域の中間にあることが殆どだ。
そのため、関連する施設はさらにその中間。
ダンジョンと、人が住む場所の間に作られることが多いのである。
色々な利便性を考えた結果、こういった場所に集中しやすくなってしまうわけだ。
「着いたぞー」
そういうと、アントンは大きな建物の前で馬車を止めた。
看板には「ベルウッドダンジョン株式会社」と書かれている。
ダンジョン屋「ベルウッドダンジョン株式会社」の、倉庫兼事務所。
さらに、兼、自宅でもあった。
つまるところ、ジェイクの実家である。
ジェイクは荷台から降りると、アントンに向かって片手を振った。
「有難う、助かったわ」
「お礼は今度うちに寄ったときにしてくれ。たっけぇ果物仕入れとくからさ」
「マジか。少しはまけてくれよ?」
「友達料金なら、むしろ割り増しだろ?」
「おいおい、勘弁しろよ!」
ひとしきり笑った後、アントンは再び馬車を出発させた。
手を振ってそれを見送り、ジェイクは改めて「ベルウッドダンジョン株式会社」の建物を見据える。
ここは、事務仕事をこなしたり、ちょっとした資材などを置いておくための場所であり、ベルウッド家の自宅でもあった。
書類の作成や費用の計算、装備を調達するための準備に、季節ごとに変わる到来魔獣への対策、などなど。
ベルウッドダンジョン株式会社が持つ二つのダンジョンの事務作業や行動立案などは、ほとんどここで行われている。
会社の頭脳、と言ってもいいだろう。
常にダンジョンにかかわる会話が飛び交い、モンスターに対抗するための方法が話し合われる。
ジェイクはそんな諸々を、子守歌代わりに育ったのだ。
ダンジョンマスターの資格をることになったのは、ある種当然のことかもしれない。
建物の門を潜り、建物の中へと入ってく。
声をかけたりはしなかった。
どうせこの時間は、殆ど人がいないのだ。
ダンジョンの管理運営をしている従業員は、ダンジョンの方へ行っている。
事務作業専門の中にも、外回りで忙しいものも多い。
居るのは、常に事務所に詰めているものか、自宅部分に母親と祖母が居るぐらいのはずだ。
ならば、先に母親と祖母に挨拶をしてしまおうと、ジェイクは考えたのである。
会社建物の中を突っ切り、いちばん奥にある居住スペースを目指す。
仕事場の奥に家がある、というのもどうかと思うが。
生まれたころからのことで、すっかり慣れてしまった。
荷物を担ぎなおしながら歩いていると、不意に物音と話し声が耳に飛び込んでくる。
「んん? アニキとオヤジか?」
それは、聞きなれた兄と、父の声だった。
ジェイクはそれに気が付き、首を捻る。
本来この時間、二人はダンジョンに居るはずなのだ。
おかしいと思いつつも、ジェイクは声のする方へと足を向ける。
居るなら居るで、挨拶をしてしまおうと考えたのだ。
声がしてくるのは、従業員用の休憩室だった。
お茶でも飲んでるのだろうか、等と考えながら、ドアノブに手をかける。
その時、内部からこんな声が聞こえてきた。
「ジェイクのやつには申し訳ないが、やっぱりそれしかないか」
「アイツならうまくやってくれるだろう。小器用だからな」
何処までも不穏なやり取りである。
ジェイクの中に、すさまじく嫌な予感が走った。
なにか、自分の生き死ににかかわるような、嫌な予感だ。
どういうわけか、こういう時に限ってジェイクの勘はよく当たった。
いいのか悪いのか判断はつきにくいところだが、とにかく今、その勘が「マズイことが起きている」と盛大に警鐘を鳴らし始めたのである。
以前にも、これと同じレベルの「いやな予感」を感じたことがあった。
諸事情あって、冒険者として仕事をしていた時の事である。
森の中を進んでいるとき、どういうわけかドラゴンと鉢合わせして、追いかけまわされたのだ。
その時は何とか生き残ることに成功したが、今思い出しても背筋が凍る出来事だった。
今この扉の向こうでは、その時に近い、何かが起きているらしい。
もっとも、あくまで勘の話なのだが。
一瞬、開けるのをためらうジェイクだったが、首を振って考えを切り替える。
久しぶりに帰ってきた実家だ。
そうそう命にかかわることがあって堪るものか。
どうせ、なにか軽い頼み事か何かに違いない。
そう考えなおし、ジェイクは思い切ってドアを開けた。
「うーす。ただいま。二人とも、なんでこっちにいるんだ?」
ジェイクはあくまで、軽く声をかけただけだ。
だが、かえって来たリアクションは、予想以上に大きなものだったのである。
「うぉおおお!? っいってぇえええええ!! デコっ!! デコ打ったっ!!」
「っとぁああ!! ジェイク!? お前なんでいるんだ!?」
最初の悲鳴は、兄のものだ。
椅子から転げ落ち、額をしこたま打ち付けたらしく、もんどりうっている。
父の方は、どういうわけかジェイクの姿を確認し、どういうわけか酷く慌て始めた。
状況についていけないジェイクは、唖然とするばかりだ。
そんな中、父の口から出た言葉に反応したのか、兄が勢いよく顔を上げた。
「ジェイク!? おまっ、なんでここにっ!? って、いや、今日は帰ってくる日だった! 違う、違うんだ! いろいろと事情があって!」
「そう! とりあえず話を聞け! なっ!」
「いや、オヤジたちが落ち着けよ」
あまりに慌てる父と兄を前に、ジェイクは眉間を押さえた。
どうやら、嫌な予感は的中してしまったらしい。
久々に帰ってきた実家で、一体何を聞かされるのか。
こみあげてくる頭痛に、ジェイクは大きなため息を吐いた。