二話
「月島さん~?月島朱莉さん。」
学校中、転入生を探してもどこにもいない。屋上から探そうと思い、僕は屋上へ行った。でも、屋上の上から学校の周りを見ても、やっぱりいない。本当に、先生が言っていたことは嘘だろうか。もし、嘘ならば笑えない。なぜなら、先生は、生徒に信頼されてる人物だから。
「・・・・いない。」と言って、僕は、ため息をした。もう、教室に戻って先生に「すみません。月島さんさっき見かけたのですがどこかへ行ったみたいで・・。」と嘘をついて言うしかない。
とりあえず、教室に戻ろう。そう思ってドアを開けようとした時、後ろの方から声が聞こえた。僕は、振り返ってみると知らない女子生徒が目の前に立っていた。そして・・
「あの・・。1つだけ聞いていい?」と僕に言った。おとなしそうな雰囲気で、表情が落ち着いてる。この人か・・。先生が探していた転入生『月島朱莉』「えぇと・・とりあえず、教室に戻ってからでいい・・?みんな心配してると思・・」「本当に?」と不思議そうな顔をして言った。
『本当に?』って何が・・?僕には、その言葉が理解できなかった。
「あ、質問だけど・・。」「質問は、教室で・・」僕が続きを話そうとした時、月島さんは僕の話を無視して「どうして、嘘をつくようになったの?」と聞いた。その言葉に対して僕はただ黙ることしかできなかった。でも、少しだけ考えてみる。『嘘をつく理由・・?』そんなの・・「ただ、嘘をついて人をだましたいから・・?」と僕が、少し笑った表情で言うと月島さんは、無言になった。
そして、少しだけ間が開いた。僕は、少し焦って、「そんなことより、教室に・・。」「うん。嘘だね、さっきの答えも。」と言った。何が嘘・・?もしかして、月島さんって・・おとなしそうな雰囲気だけど・・「ごめん。私、嘘が嫌いなの。」あ・・やっぱり、本当の事しか話さない人だ。
いるんだ・・。嘘が嫌いで本当の言葉しか信じない人が。そういう人、あんまり好きじゃない・・。「でも、『嘘が嫌い』って言っても、いつか・・嘘をつく日が来るんじゃないのかな?」月島さんは、首を横に振った。「そんな日来ないよ。本当のことを言えば。」
来ないって・・。そう簡単に言い切れるの・・・?「そういえば、どうして嘘をつくか本当の理由・・」また、月島さんに同じ質問をされた。でも、僕は・・
「残念ながら、月島さんと僕は住む世界が違うようだね・・。」
質問には本当の答えを返さなかった。
月島さんは、嘘が嫌いで本当の言葉を使う。だから、本当のことだけ言って・・自分の・・本当の物語を作り上げている。逆に僕は、違う。
もう・・月島さんと関わることをやめよう。関わっても、意味がない。僕は、無言で屋上のドアを開け一人静かに屋上から去った。