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魔法少女ユウカちゃんの秘密  作者: 一二三五六
第三章 人妻若菜さんとの秘密
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第三章4 『プロフの写真にご用心』

「はぁ〜、若菜ちゃんのおっぱい柔らかかったな〜。なんて言うだろう?火花ひばなちゃんとはまた違った温もりみたいなものがあったよ〜」

「あっそ、ていうか人の母親のことを名前で呼ぶな」


 俺はベッドの上で寝転がってライトノベルを読みながら、パソコンをイジるマーチと会話する。あいつがウチに来てからはこういうのが普通になったきている。側から見たら完全に頭おかしい野郎だけど。


「そういえばさぁ、若菜ちゃんって見た目すっごい若いけどいくつなんだろうね?」

「俺も気になってさっき母さんに聞いたんだけど、今年で三十三だってよ」

「あれで三十路超え!?女子大生にしか見えないよ……」

「母さんも割と若く見えるけど、若菜さんはあれ以上だな」

「ちなみに火花ちゃんはいくつなの?」

「確か四十二だった気がする、っていうか名前で呼ぶのやめろっつうの」


 人の母親を名前で、しかもちゃん付けで呼ばれるとか聞いてて身震いするわ。


「でも良かったね夕斗」

「何が?」

「だってあんな美人でおっぱい大きい人妻とお近づき出来たんだよ?最高じゃん!」

「いや、だから何が言いたいんだよ」


 俺は体勢を変えてマーチの方を向く。

 するとマウスを動かす手を止めて、とてもいい笑顔で振り向いた。


「知ってるかい夕斗、人妻っていうのはね――大抵は欲求不満なんだよ」

「…………意味わかんねぇんだけど」

「だから!うまくいけば美人巨乳人妻で童貞卒業可能だってことだよ!」

「お前なぁ……」


 俺はマーチの発言に呆れて元の体勢に戻って読書を再開した。それを見てマーチは机から降りて俺のお腹の上まで移動してきた。


「また僕がアホなこと言い始めたって顔をしてるね?」

「当たり前だろ」

「チッチッチッ、甘いね夕斗!世の中っていうのは割とあり得ないことで溢れてるんだよ!その証拠に、二次元の世界にしかないはずの魔法少女やら異世界なんかも存在しているわけだし」

「確かにそれはその通りだけど、それと人妻は関係ないだろ」

「だーかーらー!あり得ないことがあり得るんだったら人妻ともエッチできるかもしれないってことだよ!実際僕なんか友達のお母さんと――」


 何かヤバイことを言いかけたマーチの顔面を鷲掴みにして黙らせた。もう聖獣じゃなくて性獣でいいんじゃないかと本気で思えてきた。


「で?さっきからお前は人のパソコンで何やってるわけ?」

「あっそうだ、聞いてよ夕斗!なんとこの間、魔法少女派遣センターの公式サイトが立ち上げられたんだよ!今丁度それを確認してたところなんだ!」

「公式サイト?」


 俺はベッドから起き上がり、マーチを連れてパソコンの前まで移動した。

 自分が所属している会社の公式サイトとなると興味はある。というよりも、こんなファンタジーな存在がどんなサイトを作ったのかかなり気になる。

 画面には企業方針や仕事内容などが記載されているページが開かれていた。こう見るとどこにである普通の企業に見える。


「なんていうか、割と普通だな」

「まぁこのページはね、でもこれ見て」


 机の上に戻ってきたマーチはマウスを動かしてカーソルを合わせた。


「魔法少女紹介?」

「なんとこのページでは、ウチに所属してる魔法少女のプロフィールが見れちゃうのです!どう?超気にならない?」

「た、確かに気になる」

「でしょ?じゃあ早速見ていこうか」


 マーチがページを開くと、日本列島の画像が現れた。


「何これ、日本地図?」

「都道府県別でそこにいる魔法少女がわかるようになってるんだよ」

「ほえー、気合い入ってんなー」

「そりゃウチの商品みたいなもんだからね」


 カーソルを東京都に合わせると、小さいワイプのようなものが現れた。そこには東京都を担当している魔法少女の数が記されていた。どうやら東京都だけでも二〇人いるらしい。

 さらにそこからダブルクリックすると、今度は鮮やかなページに飛ばされた。ここでは東京都を担当する魔法少女が見れるようだ。

 そこで俺はあることに気づく。


「えっ、一番上俺なの?」


 二〇人もいる魔法少女の一覧の始まりに、ユウカの顔写真があった。この中じゃあ魔法少女歴が一番浅いはずなのに、俺なんかがトップでいいんだろうか……


「そりゃ当然だよ、今じゃ魔法少女といえばユウカだってくらい有名になってるんだから。公式サイトのトップ画だってほら……」


 そう言ってマウスを操作すると、魔法少女派遣センターのトップページが出てきた。そこにはユウカの写真が大々的に使われていた。しかもこれ、一週間前にインタビューの後で撮ったやつじゃねぇか。こんなところで使われてるとは。


「じゃあ気を取り直して、ユウカのページを見てこうか」

「うわー、自分の紹介ページ見るとか恥ずかしいんだけど」

「君が書いたわけじゃないのに何が恥ずかしいのさ」


 さっきのページに戻り、ユウカの写真をダブルクリックした。するとオレンジ色をベースにしたページが開かれる。そこにはユウカの全身の写真とプロフィールが書かれていた。


 私の愛よ、黄昏に届け――!

 夕焼けの魔法少女ユウカ

 年齢:9歳

 身長:130cm

 スリーサイズ B:77 W:50 H:72

 好きな食べ物:ショートケーキ、ココア

 嫌いな食べ物:青じそ


「……なぁ、身長はともかくとしてスリーサイズはいつ測ったの?」

「別に測ってないよ、アフターグローから君のデータを送ってもらっただけだから」

「アフターグロー、そういうのは早く言おうな」

『モウシワケアリマセン、マスター』


 全く、このプロフィールの写真とスリーサイズといい、俺の知らないところで個人情報が飛び交い過ぎだろ。しかも写真に関しては出版社が撮ったやつっぽいし、すげぇ不安なんだけど。

 それにしても、77か……子供にしては大きいな。まぁ揉めるくらい大きいし納得だけど。


「今バストのこと考えてたでしょ?」

「何故バレたし」

「いつか君のおっぱいも堪能したいから、その時はよろしくね」

「おいやめろ、今全身から寒気がしたぞ」

「あっそうだ、ついでクレアちゃんのも見てみようか!えーと確か……」


 一覧のページに戻り、クレアのプロフィールへと飛んだ。真っ赤なページには渾身であろう決めポーズを取るクレアと彼女について記載されていた。


 我が炎よ、煉獄へ誘え――!

 隻眼の魔法少女クレア

 年齢:9歳

(正式名称:クレデリアス・リベリオン・ヴェルメリオ・パーガトリー13世)

 身長:132cm

 スリーサイズ B:65 W:50 H:66

 好きな食べ物:漆黒なる種子と世界を構築せし元素の集合体にミノタウルスの生き血を混ぜし物、大地を模した甘美なる誘惑

 嫌いな食べ物:名状しがたき真紅の劇物


「先輩………」

「こらこら夕斗、そこはクレアちゃんの名前を出してあげなよ」

「マーチはなんのことだかわかった?」

「いや全く、特に大地を模した甘美なる誘惑」


 俺はバクを撃退するための作戦を練る並みに頭を使った。漆黒なる種子と世界を構築せし元素の集合体にミノタウルスの生き血を混ぜし物……ミノタウルスの生き血ってなんだ?牛の血?いやそんなもの使う料理なんて……いや、もしかして牛乳のことか?だとしたら……


「漆黒なる種子と世界を構築せし元素の集合体にミノタウルスの生き血を混ぜし物……まさかカフェオレのこと!?」

「……え?いまいちわからないんだけど」

「ほら、漆黒なるってのはコーヒー豆で、世界のーってやつは水、そんでミノタウルスは牛乳」

「あ……あー!ほんとだ、カフェオレだよこれ!」

「ていうか普通に書いてくださいよ先輩、謎解きじゃないんですから」

「まあでも、個性的でいいじゃないか。これも注目される一因になるだろうし」


 個性ねぇ……ウチに所属してる魔法少女が全部で何人いるかは知らないけど、その中でも生存競争みたいなものがあるんだな。


「さて、僕はお風呂に入ってくるよ。今日は火花ちゃんが洗ってくれるんだー」

「はいはい、変なことするなよー」


 マーチを適当に送り出してから、俺はパソコンの画面に視線を戻した。折角だから色々見てみよう、もう魔法少女を始めて一ヶ月以上経つけど、この会社についてあんまり知らないからな。

 俺はマウスを操作してページを移ろうとした。だがその途中でクレアの写真をクリックしてしまった。すると、クレアのポーズが別のものに変わった。


「ん?」


 俺はもう一度クレアをクリックしてみた、すると今度は別のポーズに変化した。どうやらクリックすると別の写真に変わるらしい。

 そこで俺に、一つの疑問が生じた。

 クレアの写真はクリックする度に変わる、ということはだ。俺の写真もクリックする度に変わるということになる。一体なんの写真を使ってるんだろうか……


「えーと、ユウカユウカーっと……」


 カーソルを操作して、もう一度ユウカのプロフィールページへと戻る。ユウカはさっき見た時と同じポーズを取っている。俺はユウカの写真にカーソルを合わせ、クリックした。


「な……ッ!」


 そこに現れたのは、ヌメヌメした液体にまみれて衣服が乱れた状態で顔を真っ赤にしているユウカの姿だった。確かこれって、カエルバクノイドと戦った時のやつじゃねぇか!なんでこれが――ていうかなんでプロフィールの写真に使われたんだよ!


「て、ていうことは、まさか!」


 俺は恐る恐る写真をクリックした。

 すると、現れたのは予想通り、アブソーバードレスを水と融合させたことでほぼ全裸の状態になっていることに気づいて、腕で体を隠しているユウカの写真だった……


「ま――マァああああああああチィいいいいいい!!」


 俺の叫びが夜の住宅地に響き渡る。

 それから数日後、俺のプロフィール写真は普通のものと差し替えられた。

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