札幌にて...
札幌編です。
農家のおじさん「お疲れ様。
君たちが手伝ってくれるとこっちも助かるよ。」
義元「いえいえ。」
よしもーが笑顔で受け答え。
今、私たちはお金を稼ぐためにでめんさんとしてあちこちの畑で働いている
理由は簡単。
来月開催される全国ゲーム大会の予選に出るためだ。
義元「のぶっち、光秀ちゃんは連れてく?」
信長「うーん...連れてこう。」
私は蛙と戯れている光秀を見た。
義元「彼女にも経験する価値はあるわよね...。」
*********
光秀「札幌...ですか?」
野外授業中、光秀は雑草毟りをしながら首を傾げた。
義元「そうそう。美味しいご飯とか~色んな服とか~がいっぱいあるんだよ~。」
なんか歯切れの悪い口調でよしもーが笑った。
光秀「面白そうですね...。」
信長「あともう少しでテレビゲーム大会が始まるんだ。
そのついでに観光しようって話ね。」
光秀「分かりました。
信長様の御命令とあらば...」
信長「いや...命令じゃないんだけど...」
金次郎「これ!!!ウツケ信長!!」
信長「はひぃ!?」
生徒「ハハハハ!!!!」
*********
大会はちょうど三連休に行われる。
だからスケジュールを組んでみた。
・一日目:到着は夜なのでホテルで宿泊
・二日目:大会。夜は違うホテルで宿泊
・三日目:観光&帰宅
という流れだ。
うん、勉強は入れない。
入れさせない。
入れさせてたまるかあああああああああ!!!!!!!!!
*********
ちょうど資金と観光用のお金も集まり、私たちは急いで札幌行きのジャガイモライナーというバスに飛び乗った。
義元「わぁ...綺麗な山...」
信長「日高はもう見慣れてるでしょ!?」
光秀「はぁ...京の都ではこんな景色はあまり見ませんでした...」
義元「マシュマロ美味し~」
信長「あ!よしもー!」
義元「小腹が空いたからお先~♪」
30分後.....
義元「うぐぅっ....気持ち悪い...」
光秀「ザマアアアアアアアァッ!!!!」
信長「だからレイプ目で人を見ない!!
ヤンデレ!?ヤンデレなの!?」
義元「ガイドさん、お手洗いは...?」
ガイド「お手洗いはあちらになります。」
義元「ありがとうございます...」
よしもーはフラフラとトイレに行くと...直後トイレに投下型爆弾が落とされた。
*********
義元「ゴメン。取り乱しちゃったね。」
よしもーは笑顔で席に戻ると、鞄からエキスパンダを取り出すと筋トレを始めた。
よほど恥ずかしかったみたい...。
*********
信長「着いたよ?光秀...」
光秀「(チーン)」
光秀、乗り物酔いでノックアウト。
光秀「申し訳ありません。
取り乱しました。」
光秀が水を飲んでから申し訳なさそうに言った。
義元「まあまあ...そんなことより見てよ!
これが札幌の風景よ。」
光秀「わぁ...」
光秀はサツエキから見る夜の札幌の風景に目を輝かせた。
信長「背の高い建物が並んでるでしょ?
未来にはこんなに高い建物がたくさん建ってるんだからね...」
光秀「ところで...私たちが乗ったのは?」
義元「車って言って、鉄でできた人やモノを運べる乗り物なの。」
信長「とりあえず、ホテルに宿泊しようよ。」
義元「賛成~。」
この時、私たちの背後に怪しげな人影がいたのを私たちは知らなかった。
*********
夜...私はゲーム機を引っ張り出すと多岐にわたるゲームを短時間で制覇した。
何で来られるか分からないからだ...。
信長「そろそろ寝る.....!?」
私は誰かがこの部屋を覗いている予感がした。
そっと腰の刀に手をかけてドアの穴から覗いてみた。
信長「きのせいか...。」
*********
次の日...。
念のため、光秀と義元に昨夜の気配の話をしておいた。
義元「寝顔見られちゃったの?いやーん!」
信長「(...キモッ)」
*********
光秀「義元様の言う通り...」
光秀はうっとりと微笑む。
光秀「とても料理が美味しいですね。」
ちなみに食べているのはメープルをかけたホットケーキ、コーンポタージュ、サラダ。
義元はピザ一枚分を一人で平らげ(太るぞ。)。
私はご飯、味噌汁、刺身を食べた。
信長「ごちそうさまでした。」
どんな所でも生活リズムを崩さないのが私の主義。
せめておかずくらいは張り切ろうと刺身をとったけど正直変わらない。
信長「そろそろ行こう。」
義元「待っ!タンマ!タンマ!」
よしもーは慌ててピザを飲み込み、コーラを飲むと立ち上がった。
(ちなみに光秀はもう食べ終わり、片付けをしていた。)
違和感の正体は間もなく判明した。
部屋の荷物を取りに行く途中、つけられていると感じた光秀が気配の元まで一気に距離を詰めると背負い投げを決めた。
その正体は...。
光秀「お前は...『斎藤朝信』!!!」
*********
上杉謙信から景勝まで仕えた重臣...斎藤朝信。
それがこの世界に来たら...茶髪ポニテの美少女に生まれ変わりましたとさ。
朝信「やぁ!織田と今川のお二方。」
朝信は柔軟過ぎる身体で光秀の押さえ込みをあっさりと抜け出てしまった。
朝信「交渉があるんですよ~。」
信長「交渉?」
朝信「簡単!簡単!これにサインしてくれるだけで結構ですよ~!」
もう外来語に慣れたのか...さすが、柔軟娘。
朝信がお腹のポケットから取り出した(!?)のは古風な文だった。
上杉謙信からだった。
内容は...かなりふざけて言うと。
『今大会で味方になってくれね?
今大会はチーム戦らしいから天才ゲーマーの信長しか頼めないのさ(笑)。』
ちなみに筆ではなくラメ入りボールペンで書かれている。
イメージがた落ちだよ?...謙信。
義元「どうする?」
信長「とりあえず、受け取ります。
もう少し待ってくれませんか?」
朝信「リョーカイ!
よいお返事待ってま~す!」
そういうと朝信は逃げ去った。
*********
しばらくして、今度は袋いっぱいに果物を抱えて四人の幼女たちがやって来た。
??「お姉ちゃん!」
??「山梨特産の果物だよ!」
袋にはたくさんの桃や梨、葡萄が詰まっていた。
義元「ありがと~」
信長「よしもー、落ち着いて。」
義元「あ、うん。」
光秀は四人の幼女の頭を撫でた。
光秀「お嬢さんはどこから来たの?」
??「親方様のお屋敷!」
??「『高坂昌信』だよ♪」
??「『山県昌景』だよ♪」
??「『内藤昌豊』だよ♪」
??「『馬場信春』だよ♪」
四人「よろしくね♪」
義元「くそ...幼女攻めか...鼻血が...」
信長「武田信玄の武田四天王ね?」
四人「そうだよ♪」
信長「ありがとう。
でもタダじゃあ私のメンツが立たないの。」
涙目になる幼女たち。
やっぱり可愛い。
昌信「受け取ってくれないの?」
信長「代わりにこれ、受け取ってくれないかな?
ね?もし駄目でもこれを親方様に渡してね♪」
昌景「わぁー!」
昌豊「塩飴だぁ♪」
信春「ねぇねぇ?舐めていい?」
信長「いいわよ。」
四人「やったー♪」
こうして私は幼女たちを罠に嵌めてまんまと大量の果物を手に入れたのだった。(ちなみに塩飴は100コ入ってなんとたったの800円。)
*********
光秀「美味しい梨ですねぇ。」
光秀が幸せそうに梨にかぶりつく。
義元「でも騙し取るってのも罪悪感が...」
信長「いいの!いいの!世の中、おつむが切れる人が勝つのよ!」
私は葡萄を皮ごと食べた。
よしもーは複雑そうな顔をするとそれでも甘いものの誘惑に負けて桃にかぶりついた。
*********
ついに会場にたどり着いた。
下準備と脳内であらゆる模擬戦闘を頭に叩き込むと係員に参加を申請した。
さらに光秀お手製の陣羽織を羽織り、気分は完全に戦国武将だった。
*********
着いた先では大勢の人間がそれぞれの旗を手に睨み合いになっていた。
毘の旗を掲げる方には金髪のまるで氷の女王のような風格をした女性が...。
朝信「あ♪おーい♪こっちこっち♪」
女王のような女性は私を見つけると笑顔で手を振った。
??「ちゃお~♪私、上杉謙信♪よろしくね♪」
もう片方は...。
『風林火山』の旗を掲げた幼女四人と...お姉さんのような雰囲気を漂わせた女性が立っていた。
四人「お姉ちゃ~ん♪
こっちだよ~♪」
??「あら、こんにちは~♪
私、武田信玄と言いま~す♪」
そう...この会場に...川中島の戦いが再び再現されようとしているのだった...。
謙信「で...?」
謙信&信玄「どちらにつくの?」
私はフッと笑った。
私はもう決めていた...。
この戦いで私が何をするのかを...。
信長「お前らまとめてかかって来い。」
謙信&信玄「!?」
朝信「しょ!正気ですか!?」
信長「ああ。私はいつだって正気さ。」
義元「無理だって!種目は『ブレイクルーラー』(皆さんが知ってるように言えば『ガン〇ム』の戦〇の絆みたいなアーケードゲーム)だよ!?
信長「なら余計ちょうどいい。」
謙信「ハンデは」
信玄「どのくらいつけるかしら?」
二人とも完全にキレている。
信長「無くていい。
私一人で十分よ。」
係員「ルールはバトルロイヤル制です。
撃墜された方からご退場下さい。」
操縦席に案内されると係員はさっさといなくなった。
信長「光秀。」
光秀「はい。」
信長「この戦いが終わったら...一番美味しい料理を食べようね?」
光秀「信長様...はい!」
光秀は後ろの観客席に座った。
係員「では機体を選んで下さい!」
おやおや...みんな強い機体ばかり選んで...ならこちらは。
謙信「な...今作一番使いにくいとされる『テンペスト』だと!?」
信玄「喧嘩を売ってますの?」
信長「一言宣言しておきます。」
私はビシッと決めた。
信長「この戦い、勝つのは私よ。」
謙信「(なんなの...あの娘からでる闘志は...?)」
信玄「(直感で分かる...彼女は...)」
謙信&信玄「(化け物だ)」
係員「試合開始!!!!」
私の選んだ機体『テンペスト』はドラゴン型のロボット。
機動性、破壊力に優れている反面、動きにクセがあり使いにくいのが難点だ。
だからまずは武田&上杉連合軍総勢100機の機銃掃射を滑空でかわし様子見をすることにした...。
*********
義元「すごい...」
光秀「早過ぎて何が起きているのか分かりません!!!」
義元「(のぶっち...余裕でガム噛んでるし!!)」
*********
信長「そろそろ...」
私はテンペストを旋回させて突撃に移る。
朝信「甘い♪甘い♪」
朝信の操る最も使いやすい機体『ルノワール』がラスターカノンを連射する!!
信長「甘いのは!」
ここで匠の逆襲が始まる。
前にも言ったけど、ゲームとは欠陥品なのだ。
必ずどこかにバグがある...。
今回はその中の一つを使う!!!
朝信「な!?」
私はテンペストの時間を止めた。
時間そのものが止まるということはそのままルノワールを通過するということ。
つまり...。
信春「みゃあああああああ!!!」
馬場信春、撃墜。
朝信が撃ったラスターカノンが武田軍の機体を撃ち落としたのだった...。
昌景「よくもぉ!!!」
朝信「いやああああああああ!!!」
残りの武田軍が朝信を血祭りに上げると...。
謙信「許さないわあああああ!!!!!信玄んんんんんんううううぅっ!!!!!!」
上杉軍も反撃に出た。
*********
光秀「なるほど...元から仲の悪い両者をあえて組ませてその二つを相打ちにさせる...なんて斬新な発想...」
義元「(あれは確か運営も知らないバグの一つ...やるな...)」
*********
私は次の段階に入る。
テンペストから援護ユニットを数台展開して乱闘になっている塊に狙いを定める。
信長「必殺!!!!
『ナガシノ・テンペスター』!!!!」
謙信「しまった!!!!」
長篠の戦いが再現された。
次々とレーザーガンが発射されて機体を撃ち落としていく。
謙信「くそっ!!!」
信玄「まんまと嵌められたわ...。」
気がつけば残るは信長・謙信・信玄のみ。
謙信「強すぎる...。」
信玄「腕も頭もよい武将の末裔がまだ生きているとはな...。」
信長「二人まとめてかかって来いや!!!」
テンペストからショットガンマシンガン『ガルム』と圧縮粒子砲『ヨルムンガンド』を展開し一斉射撃。
二機とも撃墜して見事完全勝利を収めた。
*********
信長「ふぅ...」
信玄「林火山!!!」
信玄が目を輝かせて私に抱き着いた。
信玄「ますます気に入ったわ!
あなた!甲府に来なさい!!!」
謙信「何言ってるの?
私が越後に連れてくのよ!!!」
義元「喧嘩になってるから帰るか。」
信長「賛成。」
係員に表彰状と日本大会への切符をもらうと私たちは大通りへ向かった...。
*********
光秀「なんて戦法なのでしょう!敵の裏をかく頭脳戦...私、感動しています!」
信長「そんな大袈裟な。」
義元「いや...のぶっちの戦法はすごいと思う。
まさに戦国武将だな。」
信長「そうかな~?
あ、そうだ!
新しい服買いに行こうよ!
この時間を有効的に使うわよ~!」
一同「お~!!!」
*********
信長「乾杯~!」
私たちは札幌の某回転寿司で祝勝会をすることにした。
光秀「しかし...京の都ではめったに手に入らない鮮魚がこんなに安くたくさん食べられるなんて。」
光秀はご機嫌な顔で大トロを食べている。
光秀「我が一生に悔いなし...。」
大トロって人を満足させる麻薬みたいなものなんだよね...。
義元「美味しい...で?
のぶっちはなんで下手物ばっかり食べてるの?」
ちなみに今食べてるのは『マンボウ』。
意外とイケますよ?
(作者も口にしたそうですが、思わずお代わりしたくなるほど美味しいらしいです。)
さっきは『青鮫』を食べていた。
鮫って臭いイメージあるけど実際とれたては臭くないし美味しいんだよ?
本当に。
(作者も食べてみましたが美味しいらしいです。)
信長「次はエンガワかな~?」
エンガワを手にとるとツルツルと飲み込む。
そして山葵の香りを楽しみつつもお茶で流す。
これ常識。
??「信長は
意外と下手物
好きなよう」
義元「なんで芭蕉さんもいるのよ?」
??「遅れましたよ、芭蕉さん。」
芭蕉「利休さん
回転寿司は
イケますよ?」
??「はぁ...」
義元「まさか...あなたは...」
??「?私は『千利休』ですが?」
確かに茶人の服装はしてるけど...。
抹茶の色の服を着ている彼女は口が大きめ。
かつ切れ目のためちょっと怖い。
目元に泣き黒子があるのは気になるけど...。
利休「それにしても、この粉をばらまいてお湯を注ぐだけでお茶ができるなんて.....これで私も仕事しなくていいですね」
信長「そうだね~.....っておいおいおいおいおいおい!!!!!!!!
働けよ!!!」
利休「...めんどくさい。」
芭蕉「利休さん
カルチャーショックで
凹み中」
義元「....」
芭蕉「ところでさ
バイトの方は
順調かい?」
利休「はい...。
大分慣れてきました。
あなたのおかげですよ。
芭蕉さん。」
義元「何のバイトしてるの?」
利休「手打ちうどん屋」
信長&義元&光秀「あらっ!?」
私たち三人は勢いよくテーブルに頭を打った。
義元「お茶となんも関係ないじゃねぇか!!!」
利休「店員さん、コーラ下さい!」
義元「お茶飲めよ!お茶!」
利休と義元の二人漫才はスルーして私は光秀にいろいろな下手物を紹介した。
最初は嫌がっていたけど慣れてきたようで大変満足。
義元「わびさびの心はどうした!?
っていうかさっきからウォークマンで何聞いてるんだ!?」
利休「EXI〇E」
義元「.......」
よしもーは両手を広げて一言。
義元「\(^o^)/」
次の日...
私たちは芭蕉&利休を含め総勢五人で札幌観光を楽しんでからじゃがいもライナーに飛び乗った。
利休「ふぅ...『烏龍茶』が自販機で売ってるなんて...これで私も安心して...」
義元「こらこら。」
利休「突然ですが、お願いがあります。
明智殿。」
光秀「なんでしょう?
同じ茶人としてご相談には乗ります。」
利休「私、家がないのです。」
光秀「はあ」
利休「私を養っていただけませんか?」
信長「いいわよ。
光秀も私の家に居候してるし。」
利休「あ、ありがとうございます!!!
信長様!!!」
こうして居候がまた一人増えたのだった。