表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

This charming man 2

作者: 観原光陽


一番古い記憶は、確か保育園の入園式。

いつもより朝早く起こされた私は小奇麗なピンクのワンピースに白いレースの靴下、

少し窮屈なエナメルの黒い靴を履かせられ、

母と手をつないでカラフルな紙の花が沢山ついた看板の前に立っていた。


ワンピースの下に着た白いブラウスのパリッとした、カシャカシャした感触が気持ち悪くて、

眠たいけど寝ることもできずしかめっ面でぐずりながら、

地面に膝をついて馬鹿みたいな笑顔でカメラを抱える父親を睨んでいた。


「あずさぁ~もっとニッコリしろよっ!ほら!にっこり!

 可愛いお顔が台無しだぞぉ~ほら、笑って!笑って!」


猫なで声でパシャパシャとシャッターを切る父。

右手でカメラを持ち、左手にはアンパンマンのパペット。

お前はスタジオ●リスの従業員か。

眠い目にフラッシュを焚かれ、チカチカして余計にしかめっ面になる私。

膝をついて撮っているせいで、父のよそゆきのズボンの膝頭には砂やら桜の花びらが

ついてしまっている。


いっそこのまま地面に横になって思いっきり眠りたい。そう思っていた。

朝曇りの後の、ぽかぽかした日差しと陽気が更にそう強く思わせた。


とうとう限界がきた私は母の手を強く握り、ついに泣きだしてしまった。


「安須紗!!お前、人がせっかく晴れ姿を」


厳格で短気な父の堪忍袋が切れた。

本来ならしかめっ面をした時点で怒号が飛んでいたんだろうが、

娘の人生初の晴れ舞台。相当我慢していたようだ。


怒られる。みんなの前で怒られる。

周りには他の入園児やその親も大勢いた。

眠気はいっきに吹っ飛び、サーッと血の気が引いた。

恐怖と恥ずかしさがいっきに込み上げてきた。

その時、


「井浦さぁ~ん!やっと見つけた!もう探したのよぉ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ