8/23
8.繋がるもの
もう、何年も足を向けていなかった実家。
父親は運転手をしており、かなりの酒飲みで、何かあると理不尽に殴られた記憶しかなく、母親は常に私を否定し弟を溺愛し、父親の暴力を見てみぬふりをした。
そんな両親は、私の全てを管理したがった。
小さい頃から、私は両親にとって、都合のいいモノでしかなかった。
小学生の頃は、放課後は弟の世話と家事の手伝いに明け暮れた。友達に遊びに誘われても、断るしか出来ず、仲の良い友達は出来なかった。
中学に入学し、イラストを描くのが好きだった私は、勿論そういう部活に入りたかったのだが、帰りが遅くなるというだけの理由で反対され、寄り道も一切禁止だった。
逆らえば父に殴られるので、私はただ従うしかなかった。
高校を卒業と同時に、私は家を飛び出した。
就職先の寮に入り、その後は一切連絡を絶った。
今、あの人達はどうしているんだろう。
私の事を思うことはあるのだろうか…。
もう、何年も思い出す事のなかった両親の事を、何故か思わずにはいられなかった。




