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7.暗闇の中で
病室に案内される前に、病院の待合室にあるピンク色の公衆電話から、彼に電話をした。
今度は繋がったので、彼に病院名と場所を簡単に告げ、着替えを持ってきて貰うように頼んだ。
暗い廊下を看護婦さんに案内されて着いた一人部屋の病室は、ホテルみたいに綺麗だった。
1日幾ら位かかるんだろうと内心心配をしつつ、手際よく取り付けられた点滴がポタンポタンと落ちるのを眺めながら横になった。
真っ暗な天井を見つめながら、明日は会社に電話して事情を説明しなきゃと思いつつ、目を閉じた。
…それともう一つ。
脳裏に浮かんだのは、もう何年も会っていない、両親の顔だった。