6/23
6.白と黒の命
病院に到着し、連絡を受け待機していた看護婦さんに案内され、
すぐに診察を受けた。
診断は「切迫流産」だった。
簡単に言うと、お腹の赤ちゃんが流れてしまうところだったのだ。
「今の所落ち着いてるから、栄養剤を点滴しながら暫く様子を見ましょう。」
との先生の言葉に、一週間程度入院する事になった。
先生によると、流れてしまうかどうかは、赤ちゃんの生命力に
かかっているので、今はこのまま様子を見守るしかないという事だった。
まだ不安は残ったが、ひとまず胸を安堵が過ぎった。
今まで通っていた会社近くの産婦人科では、エコーを見せて貰えなかった私は、
そこで初めて、エコーでお腹の子と対面したのだ。
黒と白で構成された画像は、素人の私では判別しずらかったのだが、
先生が丁寧に解説して下さった。
大きさは、約五センチ。心臓が力強く脈打っていた。
とくんとくん。
(ママ、大丈夫だよ。)
お腹の子が、そう言った様な気がした。
私は、溢れる涙を止める事が出来なかった。