15.ついに迎えた日
痛みに耐え続けた、永遠に続くかと思われた長い一夜がようやく明け、漸く病院に向かうことになった。
前回の切迫流産の時に、タクシーを呼んでも来ないのは分かっていたので、また救急車を呼ぶ事にした。
ヨロヨロと救急車に乗り込み、結構激しく揺れる車体に揺られながら、約二十分程で病院に到着した。
病院に着いてすぐに診察室に直行し、検査をした所、既に子宮口が8センチ開いているとの事で、病室ではなく陣痛室に直行となった。
陣痛室とは、赤ちゃんを産む分娩室の手前にあり、分娩出来る状態になるまで待機する部屋だ。
すぐに分娩用の服に着替えさせられ、分娩監視装置という機械を取り付けられ、子宮口が全開するのを待つ事になった。
看護士さんに、陣痛を促す薬を注射され、ベッドの上で腰をさすりながら耐えていたのだが、お隣の分娩室では、丁度その時他の妊婦さんの出産の真っ最中で、妊婦さんの絶叫が聞こえてきた。
痛い、もう出して!という妊婦さんに、痛いって言わない、赤ちゃんだって頑張ってるのよ!と看護士さんの声が飛ぶ。
それを聞いた私は、絶対痛いと言わないと心に誓った…。
絶叫は出産終了まで続いたのだった。
やがて、私は看護士さんに支えられて、分娩室に移動した。
誰かに見守られる事もなく、ついに私の出産が始まろうとしていた。