14.想定外
最初は自分でも気が付かない位の僅かな腰の痛みが、時が経つにつれ
徐々に激しい痛みに変わっていく。
気のせいかなと思っていた痛みが、陣痛だと漸く気が付いたのは、
痛みが始まってから約五時間程経った頃だった。
自分でも余りの鈍さに呆れたが、何分初めての経験で、陣痛が
どんなものかも、良く分かっていなかったのだ。
その症状は、かなり人によって個人差があるらしく、私のは、骨盤と背骨の繋ぎ目
辺りがズキズキと痛かった。
ただただ痛かったとしか言い様がないのだが、ただ痛いだけではなく、
痛みと痛みの間に、休める時間があるのだ。
例えるなら、波線の一番高い位置が痛みで、それが下に向かって引いて行き、
また上っていく感じなのだ。
最初は緩やかだった間隔が、数時間経過し、やがて約五分程になった時、
漸く私は行き着けの産婦人科に電話をかけた。
時計は、夜の十時を回っていた。
すぐに向かっても良いものとばかり思っていた私に
対応に出た看護士の言葉は、想定外のものだった。
そのまま、自宅で待機し、朝まで様子を見るように言われたのだ。
こんなに痛いのに?五分間隔になったら、すぐ電話を下さいと言ったのは、
そっちじゃないのか!?
取りあえず痛みを訴えたものの、結局何故だかわからないうちに
看護士に言いくるめられ、朝までひたすら腰をさすりながら、
激しい痛みを絶え続けるしかなかったのだ。