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13.嵐の前
定期健診でも、数値にも特に異常は認められず、エコー検査でも問題はなかった。
予定日は、あくまでも予定なので、心配しないようにと先生は仰って下さったのだが、やはり不安は拭えなかった。
ただ、余りにも陣痛が来ないようなら、陣痛を促す薬を使いましょうとの事だった。
2月に入り、遂に腹囲は100センチを超え、今にもはち切れんばかりになった。
元々50キロ前後だった体重が20キロ以上増え、歩くのもやっとの有様だ。
このままだと、帝王切開もあり得る為、次の健診の結果如何では、人工的に陣痛を誘発する事も考えましょうとの事だった。
私に出来たのは、ただ祈る事だけだった。
お願いだから、出て来て…!
果たして、その声が届いたのかは定かではなかったが、それは、微かにやって来た。
腰に走る、小さな痛み。
徐々に激しくなっていくそれは、誕生への足音だった。