最初の一歩はいつも、道草から
小鳥の柔らかな囀りと温かな太陽の木漏れ日で目を覚ました。
「イテテ、こ、ここは?」
目を開けると目の前には緑の大地と青く澄み渡った空が広がっていた。平原の地平線の先辺りには街があるのだろう。遠くからでもわかる大きな城壁があった。上を向くと何百年もそこにあっただろう大きな大樹が風を受けて日を指したり影を落としたりする。
「うわぁぁ、まじで異世界来ちまったんだなぁ」
異世界にきた実感が湧いてきたところで現状の確認をすることにした。
「えーと、俺の装備はジャングルにいたときと一緒だな」
地面から立ち上がり自分の服装や持ち物を確認するが特に変わった様子はない。ワー◯マンでお買い得と書かれたウェアとパンツのセットをジャングル探索のために買い、またワー◯マンで買った自分の背中にフィットするリュックに水とカロ◯ーメイトが少し入っていて後は財布やスマホに雨具、懐中電灯などが入っていた。
「まあ本命は女神(笑)にもらったスキルだな、どうやって使うんだ?」
俺はスキルの使い方についてついて考えているといきなり俺の頭の中にスキル[トラベラー]の能力が元から知ってたかのように流れてきた。いきなり出てきた情報に脳が少しびっくりしたのか気持ち悪い。船酔いのような感覚で目が少しチカチカする。
「うげぇ、吐きそう。まあスキルわかったしいいか。とりあえず使ってみるか。[トラベラー]スキル:マップッ!!」
そう叫ぶと俺の手の上に一枚の羊皮紙が出てきた。広げて確認すると俺が視認できる範囲を示した地図だった。中央に大樹らしき木が描かれており、その近くに白い点があった。おそらく俺を表しているのだろう。その証拠に俺が10mぐらい右に歩いていみると、地図の点が右に少しずれた。その地図をよく見てみるとさっき見えた街だと思われる城壁が地図の上の端っこに書かれており、左右には大きな森が生い茂っていた。
「この地図すげーな、もしかして魔法でできているのか?」
この地図ひとつだけでも魔法が使われているのかどういう原理で手に出てきているのか考えるだけでも凄く興奮する。そうやって地図を眺めていると影が射してきた。太陽をみるとかなり傾いていて大樹の影が長く伸びていた。
「いっけねぇ、こんなところにいるんじゃなくてはやく街にいかなきゃ。泊まる場所もないし、金ももってないからまじでやばいぞ」
俺は街を目指して走っていった。
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「はぁ、はぁ、ちょっと舐めていたわ」
俺はあの後できるだけ小走りで遠くに見えていた城壁を目指していた。俺の予想だと一時間ぐらいで着くと思っていた。だが俺の背負ってるリュックがかなり重く体力をかなり消費したし足取りも重くした。まあ向かっている途中に小さな川が流れており休憩がてらに足を入れたりしたんだが。あれは途中に小川があるのが悪い。普段都会に住んでいたせいで小川なんかまったく見なかった。そんなところに透明感抜群の川が出てきたんだ。そりゃ童心に帰って川遊びするだろう。川で涼んでいたら日が少しづつ沈んできてさすがにやばいと思った俺は城壁まで走って息切れしているのが今の状況である。
体力の限界が近かったが、そこから10分ぐらい歩くと城壁がすぐのところまでやってきた。よく見ると城壁は30mほどの高さをしており、ぐるりと街を囲っているらしかった。城壁の下の方に入口らしきものがあるみたいでそこに10人ほどの列ができていた。
「ここに並べばいいのかな?」
列の先頭を見てみると商人らしき人が荷物を兵士らしき人に検問されているようだった。兵士二人組の片方が荷物を検査し、もう一人が商人に話しかけているようだった。
「俺身分を証明できないしどーしよ。まさか自動車免許証で許してくれるわけないしな。まあうまく切り抜けるか」
あれこれかんがえてもしょうがないし、その場の機転で立ち回ることに順番を待った。5分も待たないうちに自分の番が回ってきて兵士二人組が話しかけてきた。
「谺。縺ョ莠コ縲∵掠縺乗擂縺」
「まじか、日本語じゃないのかよ」
異世界にいっても日本語だと思っていた俺が馬鹿だった。だがこれ女神のミスじゃないか。異世界に行かせるのに言語が通じないとかありえないだろ。だが、あいつなら間違えかねない。
「縺ゅs縺溘?∬ィ?闡蛾?壹§縺ェ縺??縺九?」
どうしようか悩んでいた時にふと頭の中に[トラベラー]のスキルに言語翻訳があるのを本能的に思い出した。すこしめまいと頭痛がして気持ち悪い。慣れないな、これ。
「[トラベラー]スキル:言語翻訳」
「おいどうしよう言葉通じないじゃないか」
「あ、あー、言語チェック言語チェック、俺の言葉わかる?」
「うわッ!喋れるなら最初から喋れよッ!!」
「悪い悪い、これで通じたな」
目の前の兵士は俺を怪訝そうな顔で見てくる。その目を向けるなら女神に向けてくれ。俺は無実だ。
「あんた荷物のチェックはいいかい?」
「ああ、いいぜ。あんまり乱暴に扱うなよすげー商品が入っているんだから」
「おう、そっちの弟に渡してくれ」
どうやらこの兵士達は兄弟らしい。よく見れば顔も似ているな。もう一人の兵士に荷物を渡し、中を調べられる。
「兄ちゃん、この人面白い魔道具持っているぜ」
そういって兵士弟が俺のリュックから取り出したのは懐中電灯だった。
「あんたこれは?」
「ああ、おれは懐中電灯っていうまあ魔道具みたいなものだな。おい兵士弟、そこのボタンを押してみ」
「兵士弟?まあいいや、これか?」
兵士弟が懐中電灯のボタンを押すと、兵士弟の眼の前が明るく照らされた。それにビビった兵士弟が手から懐中電灯を落とす。時間帯的にも夕方のためかなり目立つためか後ろに並んでいた人もこっちを見ている。
「うおおぉ、なんだこれ」
「おいあんたこれは何なんだ?危険じゃないだろうな?」
さっきからこの兄弟の視線が痛い。どうやらこいつらは俺を危険人物だと思ってそうだ。兵士弟が投げた懐中電灯を手に取り、ボタンを消した。
「懐中電灯は周りを明るくするための道具だ。この程度でビビるなよ兵士だろ」
「び、ビビってないが。あんた何者だ?アリシア語がじゃなかったし」
兵士弟が俺に槍を向けてくる。おいそんなへっぴり腰じゃさせるものもさせないだろ。
「俺は遠くの地方からやってきた商人だ。まだリュックの中に商品が入っているだろ」
そういうと兵士弟が槍を置いて俺のリュックを漁った。中からスマホを取り出し、光ってまた転ぶ。学ばないなこいつも。
「そ、そうみたいだな。疑って悪かった。最近このあたりの治安が悪化したのか領主様が門の警戒を上げてな。」
「いいってことよ。それより早く通りたいんだが」
「おお、悪い。急いでいるみたいだな。商人だから価格は銀貨3枚だな」
その言葉を聞いた瞬間俺は石みたいに固まった。銀貨だって?お金なんかもってないわバカヤロー。俺が焦っているのが伝わったのかまた兵士兄弟が俺を疑い始めた。
「わ、悪いな、 さっき財布を落としてしまったみたいでよ。後で渡すからとりあえず中に入れてくれないか?」
「駄目だ。規則なんだ。ないなら入れることはできない」
やばいなぁ。早速俺の異世界ライフは詰んだかもしれん。このまま街に入れず狼とかに食い殺されるのか。そう途方に暮れているといきなり俺の後ろから突然声が聞こえた。
「その人のお金をワイが払うから入れてやってよ」
と本物の女神のようなことを言うやつがいた。振り返って見てみると商人の格好をした二十歳くらいだろうセピア色の少し天パ風の髪をした青年が立っていた。
「でもなぁ規則があんだよ。いくらあんたが払ってくれるからって」
「ではワイの分は二倍払うでッ!!それでどうや?」
「ならいいぜ。だがこの話は誰にもいうなよ。言ったら」
「わかってるで。ワイは曲がりなりにも商人やから口はかたいで。ほないきましょか。」
そう言って俺の服を勝手に引っ張っていく。ぐいぐい引っ張るなこいつ!!服が伸びるだろ。兵士達も何も言わずに俺等を見守る。
そうして城壁をくぐり抜けてまず第一声
「お前誰だよッ!!ありがとなッ!!」
「怒っているのか感謝しているのかわからんわ!」
「ありがとうございますバカヤローッ!!」
「だからどっちやねん!もう...」
いかにも苦労してそうな男である。俺と会う前にもこうやって面倒事に関わっていそうだ。被っていた高価そうな帽子を手に取り、俺の目を見て微笑み
「紹介遅れてもうたわ、ワイは商人のザック・ルーベン。よろしゅうな。」
そう名乗った。
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