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ザックによる食料問題解決策

領主によるホログラムメッセージを聞いた俺達は馬車を一旦止めて休憩することにした。


「よぉやく休憩やッ!死ぬかと思った」


ザックは馬車を止めるや否や大自然のベットに身を投げ出した。


「おつかれ、ザック」


俺もザックの隣に寝転び体で自然を感じる。


「こうやって休憩してええんよな?ほんとうに」


ザックが心配そうに見つめてくる。ザックが心配しているのは追手のことだろう。俺は安心させるように微笑んだ。


「ああ、領主の話じゃ俺達に対して手配をしていなそうだったからもうメデアに大手を振って入れるな」


さすがに娘を預けた俺らを指名手配するはずはないだろう。ない...よな。

すると後ろからピクニックのバッグを持ったアリアがやってきた。


「なんの運命かメデアにいく用事もできましたしね」


俺らの隣にお行儀よく座り、ピクニックのバッグからサンドイッチを取り出し俺とザックに渡していくれた。


「いつの間にこんなのをッ!」

「メグルさんが馬車の屋根で爆睡しているときですね」

アリアは微笑みながら答える。俺はサンドイッチを一口食べ、そのおいしさに思わず目を見開いた。

「…うまい!」


アリアは嬉しそうに微笑んだ。


「いえ、そんな大層なものではありませんよ」


いや、謙遜しているがお世辞抜きでちゃんとうまい。まずサンドイッチを挟んでいるバンズがフランスパンなんだろうか、少し硬いが歯ごたえがあってパンの香りがしてうまい。それに挟まれているサラダもフレッシュでみずみずしく、乾燥肉も臭みがなく塩っけが強く食欲をそそられる。確かに作り手の腕はあまりいらない食べ物かもしれないが、見た目が野菜と肉が詰められており美しくインスタ映えしそうになっていた。しかし、アリアは何か問題があるかのように体をもじもじさせていた。


「ですが、残りの食材が少々少なくて、メデアまで持たないかもしれません」

「まじで?」


それは死活問題だ。隣でサンドイッチにむしゃぶりついているザックの首を引っ張り、話に入れる。


「ええ、まだ食材のほうは6割ほど残っているので節食すればなんとかなるかもしれませんが、野菜や肉などが腐って食べれなくなりそうです...」

「被告人ザック、なにか弁明でもあるか?」

「なんでやねん、しゃーないやろ。兵士たちに追われて買い物どころじゃなかったやんか」


ザックは心外だっと不満を露わにして俺を睨む。


「ご、ごめんさい。私のせいで...」


アリアは責任を感じ、申し訳なさそうに顔を沈める。


「いや、別にアリアが謝る必要があるわけではないね..」

「被告人ザック...死刑ッ!」

「なんでやねん、罪重すぎやろッ!」


ザックが不服そうな顔をした。さすがに罰が重いか。しょうがない。


「じゃあ...今日の晩飯抜きで」

「わ、わかったからあんま怒んないで欲しいねん」


こいつはほんとに商人なのか疑いたくなるほどお人好しで馬鹿だな。こいつは俺らと合う前に詐欺に合ってるだろ、絶対。


「うーんまあ、一旦冗談は置いておいて、どうしたものか」

「いや、冗談重いねん。でもまあ一つワイに考えがある」


自信満々にザックがドヤ顔している。めっちゃうざくて殴りたいが、話をきてやろう。


「それは...魔獣狩りやッ!!」

「ま、魔獣狩りぃ?」

「そうや、魔獣狩りや。魔獣をここにおびき出して倒す、そんで食料ゲットやッ!!」


俺は魔獣狩りという甘美で興味のそそられる単語に反応してしまった。さっき魔法を見たばっかりだというのに続けて魔獣討伐だと。俺の子供心がくすぐられて悲鳴を上げている。俺が目を輝かせているとザックは俺の反応をお気に召したかいちいち癪に障るオーバーリアクションで魔獣狩りのプレゼンを始めた。


「ここに、でかい腐りかけの塊肉がある。俺等で食べようにも一日じゃ食いきれないから絶対腐っちまう。せやからこの肉を使って魔獣を誘い出し、それをワイらで討伐して新しい肉を手に入れそうッ!!どうや、ワイの考えは?」


俺とアリアはお互い顔を合わせるが、アリアは若干困り顔をしている。どうやらそんな簡単に行くとは思ってないようだ。


「ザックさん、そんな簡単に事が運びますか?私はあんまり想像できないんですけど...」


アリアらしい配慮ある否定の仕方だ。だが、甘いぞアリア。そんなんじゃこのバカは止まらない。


「いいや、行けるでッ!ぜったい出てくるッ!」

「わかったわかった。とりあえず30分だけだぞ。それでだめなら他を考えよう」

「うっし、任せとけ。でっかい魔獣捕まえてやるで」


結局なし崩し的にザックの作戦に乗ることになった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ザックの作戦はこうらしい。でかい塊肉を平原のど真ん中に置き、少し離れた草むらで隠れて魔獣が来るのを待つらしい。聞いた俺等が馬鹿だったがこんな中身のない作戦とは思わず俺もアリアも開いた口が塞がらなかった。ザックがみんなで草むらで監視しようと提案してきたが、冗談じゃない。あんな虫がいそうなところに隠れられるか。俺とアリアは人が多いとばれちゃうというそれらしい理由をつけ、馬車で休憩することにした。俺はザックが監視している間にアリアのスキルについて気になったから聞くことにした。


「なあ、アリア」

「はい?なんですか」


アリアは俺の呼び声に反応し、荷物の整理をやめ、俺の隣に座る。


「アリアのスキルは、紅茶を飲むと強くなるスキルであってるか?」

「”血の紅茶”ですね。ええ、だいたいメグルさんの考え通りです。ただ強くなる変わりに理性が飛び、暴走も引き起こしてしまいますが...」


アリアは、少し照れくさそうに頬を掻く。可愛らしいが言っている内容は可愛くない。


「それって制御しようとしてもできないのか?」

「ええ、本能といいますか、頑張っても無理ですね。ですが、紅茶の種類でスキルの強化も変わることに気付いたんです」


アリアは、喋りながら自分のバッグから何種類かのティーパックらしき物を取り出した。


「これは前回お見せしたアールグレイですね。この味は基本の型と良いますか、全般的に運動神経が強化される代わりに、理性が弾けて本能のままに凶暴化します。次にダージリンですね。これは、爆発的なスピードと瞬発性、脚力が強化されますが、狂化の影響で、その...涙もろくなります。それで今手持ちにあるのではこれが最後ですね、セイロン。これは、全ての感覚が研ぎ澄まされて、第六感を感じるようになり、動体視力と魔力の扱いが跳ね上がる効果ですね。ですが、この紅茶の狂化は、...その...あまり人には言えないので、これはあまり使いたくないですね」


アリアは、 自分のスキルをとてもわかり易く説明してくれた。なるほど、飲む紅茶の種類で効果が変わるのか、興味深い。


「強力だがやばいスキルだな。そんな扱いにくそうなスキルをよく調べて自分の物にするなんてすごいよ」


アリアは褒められて一瞬顔を赤くしたが、軽く咳払いをしてすぐ戻った。


「ありがとうございます。ですが、私もまだまだうまく扱えずすぐ凶暴化してしまいます。ですので、いつものは別のスキルを使っているんですよ」


アリアは自慢げにもう一つのスキルを説明しだす。アリアにもう一つのスキルがあったのか。俺はきになり、体を前のめりにする。


「私のもう一つのスキル、”高貴なる剣舞”ですね。このスキルはまるで舞踏を踊るかのように優雅なステップを踏みながら、高速で敵を切り裂きます。基本的に私はこのスキルの方を多用していますね」


「そんなスキルを持っていたのか」

「はい、お父様との一騎打ちの際に最後使いました」


そんな強いスキルを持っていたのか。それなら、そのスキルを使って敵は倒せそうだし、もし強敵が相手なら紅茶のスキルを使って殲滅すればいい。その編成なら抜け目もなく最強だ。


「今度はメグルさんのスキルのスキルが知りたいです。どんなスキルなんですか?」


アリアが興味津々に目を輝かせて俺を見つめてくる。


「俺のスキルは実は俺自身もわかってなくて...ていうか薄々感づいていると思うけど俺は異世界出身者なんだ」


そういえばアリアには説明していなかったな。まあでもあのバカザックですら俺の出自に気づいたのだからアリアも既に築いているはずだ。だが、アリアを見ると目を見開き、口をぽかーんと開けていた。いつもキリッとした表情だからだらしない顔をしてアホっぽくて面白い。


「異世界出身者って勇者様とかポテトを持ち込んだ方と同じとこから来たんですか?」

「あ、ああ。その異世界で間違いないと思うぜ?」

「ええぇぇッ!!そうだったんですか?もっと早く言ってくださいよ」


普段静かで落ち着いているアリアからは到底考えられないようなでかい声がでてびっくりした。


「い、いや。ザックが人目で気づいたからてっきりアリアもわかってるもんだと思った」

「わかりませんよッ!はぁ、メグルさんも少し抜けてますね」


ええ、これ俺が悪いのか?まさかアリアが気づいてなかったとは。実はザックは優秀だったりして。そんなまさか。すると後ろから間抜けな声が響いた。


「うわぁ、草むらからヘビがでてきたわぁッ!」


うん、さすがにないな。忘れよう。俺は、ザックの間抜けな声にため息をついた。


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