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マッチ売りのずんだもん

ここはコペンハーゲンの繁華街。


「ぼくはマッチ売りのずんだもん。今夜もゼニ持ってそうな紳士に高値でマッチを売るのだ」


「マッチ、マッチ、マッチはいかがですか、なのだ……くそっ、全然売れないし、雪も降ってきたのだ……寒いのでマッチで体をあたためて……ああ、おばあちゃんの幻覚とか、山盛りのずんだ餅が見えるのだ……」


「こんなところで何してるの、ずんだもん」


「あ、あんたはめたん。実は……」


と、事情を話すずんだもん。


「可哀想だから10箱ぐらい買ってあげるよ。でも、この商売は無理よ、まず、マッチ売りの少女が多すぎるうえ、どのマッチも同じような商品じゃない。美少女が売ってるならともかく、ずんだもんは枝豆の妖精でしょ?」


「どうすればいいのだ? 美少女の数を減らすとか?」


「それも手ね。いやそれは冗談だから。具体的に言うと、古くする、安くする、それから、あ、ちょっと待って、ずんだもん」


人の話を最後まで聞かないずんだもん、でもすぐに競争相手に同じようなことをされてぼこぼこに。


「うぅ、ライバル女子はどんどん新製品を作るし、値段はどんどん安くなるし、で、いくら作っても売っても儲けにならないのだ」


「商品のコモデティ化、ってやつね。その場合は、付加価値をつけるしかないわね。このマッチのパッケージを、こういうものに変えるの。日本のヒロシゲって画家が描いた、トウカイドウ53ツギって絵なんだけど、これだとなんか、ひとつだけじゃなくて、できれば全部そろえたくならない? で、絵にレア、とか、スペシャル・レア、とか作って、53箱ワンセットで買わせるの。それが売れたら、次はホクサイの……あ、待って、ずんだもん!」


そしてコペンハーゲンの、マッチを売っているだけの多くの少女は死ぬか商売替えをしました。もともと、火をつけるだけのマッチなど、需要に限界があるのです。付加価値商売で成功したずんだもん。


「わっはっは、需要など関係なく、付加価値でいくらでもマッチは売れるのだ! この町のマッチ売り王に、ぼくはなるのだ!」


と思ったのも束の間……。


「警察だ。わいせつ物販売の容疑で逮捕する」


「え……ぼくは何も悪いことしてないのだ。誤認逮捕なのだ」


「このマッチのパッケージを見ろ。どう見てもエロ絵じゃないか」


「・・・」


「くわしいことは署で聞こう」


「その絵は、ジャパンではシュンガと言って、東洋の芸術絵画じゃないっすか! うちらだって全裸の女子の絵とか彫刻とか昔からあるのに! 人魚姫の像だって、渋谷のハチ公だってすっぽんぽんだし!」


人魚と犬を証拠に、必死に言い訳をするずんだもん。しかし、どう見てもイチモツや秘部が丸見えのうえ、交合しているシュンガを、ヒロシゲ同様セットで販売しようというのは、昔の法律でも許されませんでした。


おしまい。

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