ぶっちゃけ白雪姫と七人のヤンキー
あたし、白雪姫。なわけねーだろ。いや、そういう名前らしいんだけどさ、王宮で生まれたんだけど、なんか知らないうちに森に捨てられて、もうサイアク。靴はドロドロ、髪はボサボサ、スマホの電波もないし、マジで最悪なんだけど。
元凶はあの継母。江戸時代から出てきたみたいな側室ぶってて、超ムカつく。あいつ、毎日鏡の前で「おお鏡よ、そなたに聞く。この国で最も美しい者は誰じゃ?」とかドヤ顔で聞いてんやんの。
で、鏡はAIだから「美しさの基準は人によってさまざまです。私の前ではあなたが一番美しい」って今までゴマスリな答え返してたんだけど、なんかAIのバージョンアップがあったらしくてさ、「俺の好みだと白雪姫かなー」なんて言ったらしいんだよね。クソババアに割られてしまえ。お前の好みなんぞどーでもいーわ。
ババアは当然、「な、なんじゃと、このうつけが!」ってキレて、あたしを森に捨てさせたらしい。頭おかしいにもほどがあるよね。
で、フラフラ歩いてたら、あとをついてく森の動物たちがどんどん増えていって、マジむかつく。で、森の奥の、ボロい家にたどり着いて、疲れてベッドに寝ちゃった。
そしたら七人のヤンキーっぽい奴らがドカドカ入ってきてさ。「は? 何こいつ、勝手に俺らの部屋に寝てやがって」と、金髪のデカい奴が吠えた。革ジャン着てるけど目が優しくて、「腹減ってんなら何か食わしてやるよ」とカップ麺出してきた。
「お前、名前なんつーの?」って聞かれて、「あ、白雪姫。なんかそうらしいんだけど」と答えたら、「はぁ? 姫? んなわけねーだろ」と笑われたけど、まあ悪くねえ奴らだよ。ババアの話したら、「おい、ムカつくなら俺らがぶっ飛ばしてやろうか?」とか言ってくれるし。
そんな感じでヤンキー連中とカップ麺食ってたら、突然ドアがバーンって開いて、隣国の王子って奴が現れた。バカ殿みたいな見た目で、袴に扇子持ってて、「余は隣国の王子なり! 白雪姫を救いに参ったぞ。よきにはからえー!」とか叫んでくる。いや、誰だよ、お前。しかも「よきにはからえー」って何? 意味わかんねえし。
でさ、そいつ、急に「あ、麗しき姫よ!」とか言いながら、あたしをお姫様抱っこしてきたわけ。びっくりして「あ、おい、やめろって!」って叫んだんだけど、無視して持ち上げやがった。したら、歩き出して三歩くらいで、「おっと、手が滑ったわい!」とか抜かして、あたしをドサッと地面に落としやがった。痛いし、ドロドロだし、マジで最悪。
「何すんだよ!」って怒鳴ったら、「おお、すまぬすまぬ、余の力不足じゃ!」とか笑ってる。いや、笑いものじゃねえよ、バカ殿!
ヤンキー連中も呆れてて、「おい、王子とか言ってるけど、こいつただのアホじゃね?」とか言いながらゲラゲラ笑ってる。あたしも「まじで使えねえ」とか言っちゃってさ。考えてみれば、白雪姫って名前なのに、側室ババアに捨てられて、ヤンキーにカップ麺もらって、バカ殿に落とされるって、ほんと滑稽すぎるよね。でも、こいつら全員、なんだか憎めないんだよな。ま、バカ殿以外は。