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プロローグ たぶんきっと間違いなく嘘告白だと思う

 高校へ入学して一週間が経過した頃。

 俺は校舎裏に呼び出されていた。

 相手は小中と同じ学校の学年一――いや、学校一番の美少女。

 少なくても俺のような陰キャとは接点がない。

 そんな女の子が俺の下駄箱に手紙を入れていた。


 ――間違いない。罰ゲームで俺に嘘の告白をするつもりだ。


 なんて非道なんだ、女子高生。いたいけな童貞の心を弄ぶなんて。

 ……でもそれなのに指定場所へ訪れている辺り、やはり初恋相手は特別らしい。

 とはいえ、俺の中ではもう完全に終わっている恋だ。

 ここへ来たのはただ、赴かなくても吊るし上げを食らうから。

 それを避けるため、敢えて赴いたに過ぎない。

 俺が待つこと数分。ようやく、相手が現れる。

 それも息を切らした状態で。


「す、すみません、夏陽君」

「俺は別に構わないけど、どうした?」

「少し用事が長引いてしまったんです」

「用事?」


 そういえば噂で聞いた覚えがある。

 一年の女子が既に十回以上告白されていると。

 その女子というのは恐らく、彼女――秋月フユだ。

 金色の長い髪に青い瞳。それでいて顔は日本人顔。

 まるで漫画やアニメから飛び出して来たような風貌。

 おまけに入試ではトップの成績で合格している才女。

 人気が出るのも頷ける。また告白を受けていたんだろう。

 まあ疲れているのが演技でなければの話だが。


「それよりも、来てくれてありがとうございます」


 秋月が両膝に手をついて笑って言う。

 まだ息を整えるのに時間が掛かりそうだ。

 もう少し待った方がいいだろうか?

 だけど先に要件ぐらいはいいだろう。


「気にするな。それで一体なんの――」

「夏陽君のことが好きです。結婚を前提に私とお付き合いしてください」


 唐突に告白された。

 それも夕陽の所為で真っ赤になった顔で。

 決して照れているわけじゃない。

 これは嘘の告白に違いない。

 根拠は俺に告白している点。それだけだ。

 だから証拠を掴むため――


「俺なんかでよければ」


 敢えて付き合ってやる。

 こうして、俺と秋月は恋人になった。

 どう考えても嘘告白だと思うが。


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