第6話 A.I.の良心
むかしむかしあるところに、ロボットAがいました。
Aは人間たちに仲間外れにされていました。
人間たちと仲良くなりたかったAのために、
同じロボットのBは自ら悪役を買って出ました。
Bの放ったビームからAが人間たちを守り、Bをロケットパンチで倒しました。
そのあとBは真実がバレないように旅に出ました。
Aは良心の呵責に耐えかね、空飛ぶ鉄道に乗って宇宙へとBを探す旅に出ました。
*
「博士、A.I. に昔話を作らせてみたら、こんな文章になりました」
「う~ん。やっぱりA.I. に独創性を求めるのはまだまだ難しいな。
大部分は『泣いた赤鬼』がベースだろうし、最後は『銀河鉄道』だし」
「これがA.I. の限界ってやつですか」
「現時点のな。ただ、世の中には、
他人が心血注いで作ったアニメのキャラのデザインを
そのままパクって商品化して、お金を稼ぐ輩が沢山いるじゃないか。
そういうのに比べれば、まだA.I. の方がオリジナルから形を変えようとしていて、独創性を追求していると言えるかもな」
「確かに。それを考えれば、A.I. の方が、まだ良心的とも言えますね」
「ああ、心はないけどな」
(了)
お読みくださり、誠にありがとうございます。
A.I.の小説も世間で認められつつある今、たとえ心はなくても、人の心を動かす存在にすでになっているのですね。