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side アピア
アリスティアラが5年ぶりに目を覚ましたらしい。
あの方からそう教えていただいた。
もうこのまま目を覚まさないと思っていたのに。
アリスティアラが目を覚ましたからトマス様は彼女と結婚することになるだろう。
ー
トマス様と初めて出会ったのは夜会でのこと。
いつもは楽しいんだけどなぜかその日は疲れてしまって、バルコニーに出て風にあたっていた。
怖く見える顔ときついと言われる性格のせいで私がバルコニーに出たところで誰も気に留めない。
「はあ」
口から自然に出たため息。
「アピア様、でしたっけ?ビシェル家の」
「はい・・。あなたは?」
突然話しかけてきた人物こそ、そうトマス・シューマン様だった。
髪の色と目の色がとても美しく、背がとても高いその人を見たときに私は一瞬にして恋に落ちてしまった。
なんてかっこいいんだろう。そう浮かれていたのも少しの間だけ。
トマス様が王女であるアリスティアラの婚約者だと知ったのはその日のうちであった。
夜会が終わり、寝る前に侍女にブラッシングをしてもらっている時。
私は今日見たトマス様のことについて一方的に語っていた。
「髪の毛と瞳の色がとてもきれいなー色だったの。背も高くて優しそうだったわ」
「お嬢様、その方は何と言われるのですか?」
「名前?トマス様よ。トマス・シューマン様。」
「シューマン様・・・」
「あら、あなたトマス様の事知っているの?」
「いえ、聞き覚えのある苗字だなと思いまして」
「そう。それよりトマス様みたいな方と結婚できたら幸せよね。私の婚約者はひょろひょろしてていて、実力もそこそこ。出世も目指せなさそうだし。いっそのことトマス様が良いと、お父様に頼んで変えてもらおうかしら?」
はっ!何かに気づいた侍女。
「お嬢様、それは無理な話です」
「分かってるわよ。あなた、もしかしてトマス様の婚約者が誰か知っているの?」
「はい」
「一体誰なの?」
私よりも身分が低かったら蹴落としてやるわ。
「アリスティアラ様です」
「アリスティアラ様?えっ、アリスティアラって、王女の?」
「はいこの国の王女様です」
私の夢は一瞬にして打ち砕かれた。
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