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アリスティアラが周りの制止を振りほどき、足を一歩踏み出す。
「近づくな」
さっきと同じようにディサップは呟く。
護衛の兵士たちは、さっきの力を思い出しひるんだがアリスティアラはそのまま歩き進めた。
「来るな!」
ディサップは声を荒げる。
が、そんな言葉で己の歩みを止めるアリスティアラではなかった。
アリスティアラはディサップの前に立った。
「お兄様、このままでは死傷者が出て取り返しのつかないことになってしまいます。
そうすればもっと頑丈な離宮、牢屋のような場所にとらわれてしまうことになりますわ。
それでもよろしいのですか?」
「良いも何も、今ここでおとなしくしたところで父上はまた俺を閉じ込めるだろう」
「そんなことはありません!お父様もきっと分かってくださいますわ!」
ですよね、お父様?
アリスティアラは期待を込めて国王の方を振り返ってみた。
しかし国王の気持ちは、もうディサップからは離れてしまっていた。
馬鹿な息子に育てた覚えはないという怒りと二度とこんなことを起こさせないようにしようという
強い決意のみがあるだけだった。
「お兄様お願いです、これ以上暴走するのは止めてください」
「アリスティアラ、お前も父上の表情を見て分かっただろう。俺の病気のことなどあの人にとってはどうでもいいことなんだ」
「そうは言っても!」
アリスティアラはそう言うと、また一歩踏み出した。
しかしその一歩が僅かに残っていたディサップの理性を消し去った。
「近づくなと言っただろう!!」
丁寧な口調さえも消え去り、ディサップはアリスティアラに向かって自分の体内にあるありったけの魔力を放出した。
アリスティアラは吹き飛ばされ池に落ちた。
もちろん王宮にある池はそこらへんにあるような小さいものではない。
湖と違って水深は5メートル未満ではあるが、池というよりもプールと言った方が想像しやすいのではないだろうか。
そんな大きな池にアリスティアラは落ちたのである。
「はぁ、はぁ」
なんとか水面に顔を出し息をするアリスティアラ。
水泳も教養として学んでいたが、ドレスには銀糸がふんだんに使われたレースがついている。
かなりの重さになるのだろう、アリスティアラは息をするだけで精一杯だった。
ガシッ
立ち泳ぎでやっとのことで池のふちを掴む。
ぎゅっと力を込めるがなかなか上がることができない。
「痛っ!」
アリスティアラは顔をしかめる
ディサップに飛ばされた時の衝撃で全身に切り傷ができていた。
立ち泳ぎをするのももう体力の限界を迎えようとしていた。
ちゃぷん、アリスティアラの顔が水につかる。
体中から力が抜けアリスティアラは池の縁から手を放してしまった。
あ、と気づいたときにはもう遅い。
目には水面の揺れが映っていた。
アリスティアラは水の中に沈んでいく。
「このまま死んじゃうのかな」
口からぷくぷくと息がもれる。
酸素が薄くなるとともに意識も遠のいていく。
あ、もうだめだと諦めた
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