20
ディサップが暴れだしたという連絡が王とアリスティアラの耳に入ったのは
2人が訪れたその日の午後だった。
王とアリスティアラに伝えると、その伝令は泡を吹いて倒れた。
2人が駆けつけると無残にも離宮は破壊されている所であった。
庭の隅には働いていた人々が身を寄せ合っていた。
「陛下!アリスティアラ様!」
国王とアリスティアラの姿に気づいた誰かが声をあげる。
ディサップも2人の方を見る。
アリスティアラとディサップの目が合う。
アリスティアラと同じ色の瞳。
屈強な兵士に守られていながらも、アリスティアラは迫りくる身の危険を感じた。
ディサップの頭の中には王とアリスティアラへの復讐しかなかった。
気づけば身の回りのものをすべて破壊していた。
手のひらを向けると面白いように壊れていった。
それだけでは収まらない復讐の念は積もり積もって、離宮は爆発するかのごとく破壊された。
王位継承者だという自覚も、関係のない人は傷つけないという理性もなくなっていた。
「アリスティアラ、アリスティアラ、アリスティアラ!
なぜ皆してアリスティアラばかりを褒めるのだ!!!!」
ディサップはそう叫びながら目に映るものを破壊していった。
その様子に王は激しく驚き、また後悔していた。
自分の対応がこのような事態を招くとは露にも思っていなかったからである。
王は、生まれた時から体が弱かったディサップには無理やり公務をさせたくないと思っていた。
それに魔力過多症がこんなにもつらいものだという認識が無かったのだ。
ディサップよりもアリスティアラの方が王に向いていると思って下した、
王として、いわば当たり前の決断のはずだった。
それなのに息子は離宮を破壊し、国民はひどく怯えている。
何がいけなかったのか。王は頭を抱えこんだ。
ディサップの破壊はますますひどくなっていた。
離宮は瓦礫と化し、地面はめくれ、木々は根元から抜かれキャンプファイアーのように
積まれていた。
「はぁはぁ」
ディサップの動きがゆっくりになる。
久しぶりに激しく宇動いたので体がついいかないようだ。
足がもつれて、こけた。
顔を上げると額からツーと血が流れた。
「お兄様!」
咄嗟に叫ぶアリスティアラ。
仲間が負傷したのであろう筋骨隆々な兵士が1人、ディサップに近づく。
すると突然、その兵士が腰から剣を抜いた。
太陽に白刃が煌めいた。
次の瞬間にはディサップは生き倒れていいるだろうとその場にいる誰もが思った。
だがその心配は杞憂に終わった。
「近づくな」
ディサップはぼそっと呟くと、剣を払いのけみぞおちに右拳を打ち込んだ。
「ゔゔ…」
兵士が倒れこむ。
魔力を使わずとも、幼き頃から訓練を受けてきたディサップはこの場にいる誰よりも強かった。
どれだけ物を破壊していても、負傷した者はいれどもまだ誰も殺してはいないことが幸いだった。
だが、ディサップが直接手を下さずともけが人が出るのは時間の問題のように思われた。
読んでくださりありがとうございます!!
励みになりますので、☆、いいね、コメントよろしくお願いします!




