始まりの日。
その日、とある王国にて、ダンジョンの発生が観測された。
と言っても、迷宮と言うのは初めは極々小規模で、中には何もない事も多い。
規模が大きくなるまでに、斥候隊で位置の捜索、その後冒険者なり、騎士なりが叩き潰す、これが鉄則である。
現在、この世界で確認されている数多あるダンジョンの中でも、攻略の目処が立っていないのは数える程度しかない。
世界最大の火山、ボドンガ=ルガ火山火口に入口がある『灼熱の庭』
外海深部、海の底にあると言う『竜宮城』
嵐に守られ、雷雲に乗る空飛ぶ城『スヴェルドラップ城』
世界樹を守る大森林、キトトリア大森林の沼地『清めの不浄』
いずれも人類が到達する事すら、多大な労苦が伴うダンジョンである。
今回観測されたのは、世界最大の山々が連なるタナルナ山脈からその近郊の穀倉地帯であるパナップ平野。
王国の中でもそれなりの人口を抱える地方であり、山脈の奥深くでなければ、それ程の困難はないかと思われた。
だが、人類は知る事になる。
殺意と悪意。
人ならざる者がそれを持ち得た時、いかなる不吉が撒き散らされるかを。
種族:人間
地上を統べる種族。亜種にエルフ、ドワーフ、魔人、獣人、魚人等多数。
一部の魔物とすら交配できる、非常に強い生殖能力と、多種多様な才能を生み出す種族柄、様々な文化や発明によって地上を統べるに至った種族。
自らを地上の最も普遍的な種とし、亜種の人族を亜人と呼び、人から別れた種族と考えている。
伝承に寄れば、太古の神々が自らの強さ故に世界を滅ぼしかけた為、姿形を似せた人を創造し、地上を統治させたのが種族の始まり。